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【半農半学生!?】〜急に農家を継ぐことになった25歳の人生に迫る〜


神奈川県大和市。駅から路地を抜け、住宅街に囲まれた場所に農園が広がる。人々の往来に負けないように、作物がいきいきと育っている。

今回取材を行った、沖津和明(おきつ・かずあき)さんは、大学卒業後大和で農家を継ぎ、ジャガイモやサツマイモ、トマトなど多くの種類の野菜を育てている。現在は農家と社会人学生の二足の草鞋を履いており、その他にも地元の若手農家とコラボしたマルシェを開催するなど、その活動は多岐にわたる。

バイタリティ溢れる沖津さんのパワーの源はどこから湧いているのだろうか?今回は、そんな新進気鋭の若手農家である沖津さんの人生に迫る。

書き手:関根 章斗


がむしゃらだった学生時代

「いつかは自分が継ぐんだろうなとは思ってましたね」

農家の息子として生まれた沖津さんは、ぼんやりと祖父・父と続いた農家を継ぐのだろうという思いはあったそう。高校生の頃から本格的に農家を継ぐことを意識しだし、大学では新潟の農業系の大学に進学。

「自分の興味に素直に従うことを大切にしていた」

と語るように、大学時代は専門の栽培学をはじめとして、その他の課外活動にも精力的に取り組んだ。「やらない後悔よりもやって後悔」をモットーに、地元から離れた新潟での限られた4年間やりたいことをやり尽くそうと、とにかくがむしゃらに色々なことに挑戦した。そして、その選択が現在の原動力にも繋がっているそう。社会において人の縁が大切なのは農業界ではなおさらである。

突然だった就農〜覚悟と苦悩〜

3、4年生のときに、祖父・父が相次いで亡くなった。規模的にも精神的にも母1人だけで農家を続けることに限界を感じ、実家を守るために大学卒業してすぐ新潟から実家に戻り就農。しかし、いきなり農家を継ぐということは並大抵のことではなかった。

「正直大学で学んだことを生かしきれてないというか、いい意味で現実知ったっていう感じですかね」

覚悟をもって地元に帰り農家を始めたものの、初めは大学の教室で学んだことと、実際の現場で起こることのギャップに苦しんだ。もちろん学んだことをいかせた部分もあるが、現場では何が起こるかわからない。農薬散布のタイミングを失敗してしまったり、農場管理がままならなかったりなど、四苦八苦していたそうだ。

学び直し〜再び学校へ〜

そのなかで、沖津さんは神奈川県立「かながわ農業アカデミー」に入学し、再び学校へ通うことを決心した。ここでは大学で学んだ以上に実践的に農作業を学んでいる。

例えば、さまざまな野菜の栽培技術や知識を習得している。また、同じ志を持つ仲間や神奈川県内の農家さんとの横の繋がりも得られるそう。そして、農作物だけでなく加工や販売の実習を行うことで、生産から加工、流通、販売までのトータルな実践的農業経営を学ぶことができる。

学んだ知識や技術は自分の農園に活用している

農家は常に忙しいといったイメージを著者は持っていたが、その中で学生としての側面を持つ沖津さんのバイタリティーには脱帽だ。筆者は現在大学に通っているが、今の自分が学生生活に加えて農家としての生活を送ることは到底考えられない……。

母やサポーターさんの支え

こうしたなかで、今でも農家を続けられているのは母・シゲ子さん(写真左)の支えがあってこそだと沖津さんは語る。沖津さんが再び学校へ通うことになったのもシゲ子さんのアドバイスがあってこそだった。沖津さんが学校に通っている間、思うように農作業に手が回らないときもシゲ子さんが力の限り支えてくれたのだ。お母さんが元気なうちに一人前になりたいというのも、再び学校に通おうと思った理由の1つだそう。

また、沖津さんが継ぐ以前から農園に足を運んでお手伝いをしているサポーターさんの存在も欠かせない(※)。5〜6名ほどが日毎に農作業のお手伝いを行っている。取材時にいらっしゃったお二人は、沖津さんのお父さんの代からこの農園に足を運び、共に6〜7年を超える古株サポーターだ。初めは農作業を行いたいという理由で始めたという竹下さん(写真左)。

「自分が植えた作物が成長して収穫できる喜びを感じています」

と子育てのような農作業の面白さに引かれているそうだ。また、サポーターを続けられているのは間違いなく、シゲ子さんの人柄に引かれているからだそうだ。常に対等な関係でいてくれて、優しいところに魅力を感じているそう。

こうして、いきなり就農した沖津さんだったが、懐の深い母シゲ子さんや、長年支えてくれているサポーターさん、先輩農家さんなどさまざまな人たちに支えられてここまで続けてこられたそうだ。

インタビュー中も和気藹々とした雰囲気が伝わってきた

(※)サポーターとは?
大和市援農サポーター
農家の農作業をボランティアで支援するサポーターのこと。大和市独自の制度である。

これからの未来を担う若手農家としての思い

今後はより直売にも力を入れていきたいと語る沖津さん。

「野菜農家として、野菜を通して地元に貢献したり、地元と繋がっていきたい」

生まれ育ち、現在も農家として地元に帰ってきた沖津さんにとって、大和というまちは特別だ。現在は、同じ地元の若手農家と企画した野菜販売イベント「ふかマルシェ」を月1回開催している。

若手農家として、「今まで先輩農家さんにお世話になったことや、先輩方から受け継いだ知恵や技術を受け継ぎながら、さらに次世代の若手の土台作りも考えていきたい」とさまざまな世代を繋いでいきたいという意識も芽生えている。

まだ就農して2年目。常にチャレンジを続ける沖津さんにとっても、今はまだ途中過程にすぎない。まだまだ試行錯誤の段階だと本人は語るが、沖津さんの目からは希望の光が増すばかりだ。

Okivege
Twitter:
https://twitter.com/okivege_yamato

Instagram:

ふかマルシェについて。
地元の若手農家が販売を行うことで、もっと若い世代の方々や家族世代の方々にも地元野菜を知ってもらえるきっかけになれたらと思いイベントを開催。地元、"深見"の野菜を通じて、自分達(生産者)と地元の方々(消費者)との絆が"深まる"ようなイベントにしていきたい。


(以前開催時の宣伝)


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