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神戸の思い出

大学生の頃、神戸に引っ越した幼馴染みを何度か訪れたことがある。夏には長期滞在もした。神戸の町はきれいで、人が優しかった印象がある。

幼馴染みがバイトをしていたお洒落なカフェ兼バーと、オリックスの試合に何度も足を運んだ。昼はカフェ、夜はオリックスという感じ。

当時、オリックスにはイチローがいて、外野の安い席も、いつもすごく盛り上がっていた。緑の芝生が広がる球場は、外野から眺めているだけでも気持ちいい。応援団の歌う各選手の応援歌を覚えて一緒に歌えるくらい、何度も試合に行った。広々とした球場を目の前に、夜空の下で大声で歌うのは気分がよかった。

そう言えば、オリックスにはパンチ佐藤という選手もいて、代打でたまに出るくらいだったけど、パンチパーマで有名な選手だった。試合の帰り、駅のホームで電車を待っていて、ふと横を見ると、パンチ佐藤がいた。何をしていたのか覚えていないけど、試合の後少し時間が経っていたから、駅にはほとんど人がいなかった。そこに普通に一人で立っている、さっき球場で試合に出ていたプロ野球選手!若かった私達は色めきだって、一緒に写真を撮ってもらえるか聞いた。彼は快く対応した後、電車が来ると普通に同じ電車に乗った。その姿を見て、プロ野球選手が電車で球場まで通ってるんだ、と心底驚いた。不思議な町、神戸。

その後、神戸を阪神大震災が襲い、幼馴染みは神戸を離れることになったので、もう訪れることはなくなった。きっとどこに行っても、何をしても楽しかった若い頃だけど、青々とした球場の芝生のように爽やかで、夜空に小さく輝く星のようにきらきらした思い出が神戸にはある。

そういう思い出は、きっと掘り返してみればたくさんあるはず。それらを思い出して、幸せを噛みしめながら、これからも色々な思い出を作っていきたい。特に若い頃は、もっと色々な場所に行って、色々なことができた気がするけど、そう思うからこそ、これから色々な思い出をたくさん作っていこう。

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