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心理的に過酷なサバイバルモードで幼少期・思春期を過ごし、消耗したまま大人になった「わたしたち」。そんなわたしたちが抱いてしまいがちな理想の未来図で、実は、心理的成熟を阻むものがあります。

それが、「幸せ」に対する間違った期待、幻想です。

これが、ヒーリングにおいてとても毒性が強く、ひいては、心理的成長や自己実現を難しくしています。

その一つが、

心の傷が癒えたら、これまでとは違う、理想の人生が待ってる

というものです。

これ、アダルトチルドレンをはじめ、複雑性PTSDによく見られる、幸福に対する間違った認識です。

はっきり言って、幻想です。

ちょっと冷静に考えれば、トラウマのあるなしに関わらず、嫌なこと、面倒なこと、がっかりすること、関わりたくない人なんかは、人生を通して、無数に降りかかってくるわけです。

それが、分かっていないはずがないのに、どうしてこんな幻想を抱いてしまうのかというと、発育段階で、心理的な成長が(一時的に)後回しになったまま大人になってた「わたしたち」は、「これさえ乗り越えれば、あとは楽園が待ってる」という、幼児的な幻想をモチベーションにしてしまう傾向があります。

過去のわたしもそんなところがありました。

どっかで、心の傷が癒える=あれもこれも自然と解決して、いろんなことが楽に実現可能なスーパーパワーが手に入る・・・「Magic-Wand Fantasy」ですね。「魔法の杖」を手に入れるかのような期待をしてたと思います。

本気で、心理的に成長して自分らしい幸せを掴みたいと決意するなら、まず、ここで成長痛を経験していくことが必須だと私は考えます。というか、独学と実体験から断言します。

その成長痛とは、

生きてる限り、傷つくこと、落胆、絶望、嫌な奴、面倒なこと、拒絶されること、など、そういった幸福感を下げそうな、ありがたくないことは、無数に降りかかってくる、と認めること

です。

生きてる限り逃れることはできません。

ヒーリングの大前提、というか入り口に立てるのは、この現実を認めて幻想を手放した時だけです。おっかなびっくりでもいいから、その現実から逃避しないと肚を決めた人だけです。

そして、ヒーリングのプロセスが心理的成長と心のスタミナ回復に繋がっているか否かは、幻想を幸せと勘違いしない、その代りに、「今この瞬間」と四つに組む選択ができているかどうかにかかっています。それがバロメーターです。

その覚悟が、考えただけでもしんどいってくらい消耗しているなら、人の手を借りてもいいと思います。

でも、言っときますけど、
専門家にかかっても、何の揺さぶりもかからないような「偽物の幸せ」に執着していたら、絶対に幸福感を味わうことはできません。

むしろ、「そこ」に到達できない自分を、「うまくヒーリングできないダメな自分」と責めてしまう、そして、うまくいかない恐怖と自責から逃れるために、逃避行動がさらに深刻になったり、「もっといい専門家」を探してさまよい続けるジャンキーへの道が待っています。

こうなると、どこへ行って誰にかかっても、もう同じです。
同じループで堂々巡りか、さらに不満を溜め込んで、幸福感は遠のくだけです。

逆に、腕のいい相性のいい心療内科医やセラピスト・カウンセラーに巡り合ったら最後、そんな「偽りの幸せ」への執着は、どんどん薄れていきます。

その霧が晴れていく過程は、とても怖いかもしれません。

でも、その恐怖は成長痛です。

自分の心の歴史を正しく理解すること、自分の感情を認めて健全に発散すること、一方で、情動に流されずに自分の内面で起きてることを認識できるようになること、などなど、ヒーリングには何段階もプロセスがありますが、どれも、経験したことのない感覚であるが故に、不安と恐れの連続だと思います。

でも、それこそ、成長の証です。

でも、その成長の証を味わうためには、「トラウマから回復すれば、万事一挙解決」みたいなオール・オア・ナッシングな幼稚な幻想を手放さなければなりません。

その絶望がスタートです。
その諦めが、本当の自分らしさと幸福感の入り口です。

幻想に期待してしまうのは、心がまだ疲れているからです。

でも、パラドックス的ですが、その恐怖にひるまずに、幻想を捨ててしまえば、心のスタミナはどんどん回復していきます。自分で自分が変わった・成長したと実感できるくらいはっきりとヒーリングは加速します。

好きなことも見えてきます。
苦手なことは、「苦手」「やりたくない」とはっきりと認識できるようになります。
自分らしい方を選ぶセンスとスタミナと積極性も湧いてきます。

そして、そうやって成長・成熟した結果、「自分らしい幸福」は必ず手に入ります。

この「おとぎ話が消える絶望」という過程なくして、本物の幸福感はありません。

今回は、いつもより好戦的な口調になってしまったような気がしますが、でも、実体験と実感と独学をもとにした、偽らざる確信なので、そのまま伝えてみました。

いつも読んでいただき、ありがとうございます。
では、また次回!


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