『ゆびきり、みずきり、ひとりきり』
拙いのはむしろ神頼みのほうだとしても、何年続けても上達しない水切り。名前すら与えられなかった頃の方が下手だとは思わずにいて、1個だけの水飛沫と無邪気な扁平石につく悪態。
成長とは負の過程なのかもしれません。
あるいはあなたものだと、思いこむのをやめたら?七とか、八の倍数をよろこぶにしても、時間を流れさせているのは投げた石でも弾んだ水滴でもあなたでもない。実はいつだって、変わらずに足元で見えない糸を操るのは万有引力とやら、でしょう。高いお金を払って宇宙に行かずとも、どうか知っておいてね。
絶望の話か希望の話かと問われたら、その権利すらない。水平線の話だと答えましょう。すーさいど、はろーわーるど、はっぴいえんど、「またこんど」…。ぜんぶ、あなたや僕が決めるものじゃないと、聞いたことがあるよね。
人間は液体でなくて固体なので、自分が特別わがままであることに気づけません。直立二足歩行なんて、生意気といったらない。
成長とは負の過程なのかもしれません。
しかしながら、「負はよくない」って決まりもまた、疑わしいのだと思えてくるのです。もしも万有引力を振り切れたら、マイナス1回と数えてあげます。でもそれは、マイナスれーてんれいさんとか、マイナスれーてんにとか、数えられない無限個を数えた先の話。
わからない子を賽の河原に連れてってくれる地獄の鬼は優しいけれど、あなたならわかると知っている。
神様と鬼は離れ離れだけど、あなたと僕だってそうだ。本当は同じなんだよね。神頼みをして、水切りをしていてね。
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