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[Unspoken]

プレハブの焦げ跡を踏んで
無口な君と藍色のシューズ
改札をゆっくりと抜ける間
僕が帰るのを君は恨むだろうか

君を優しく包みたい気持ちも
口にしたならタバコの煙
抱き合うことは一番じゃなく
ただ会話よりマシな答え

疲れ切った君が
今にも手放しそうなものを
しばらく背負ってやるような
後ろ向きでもいいか?
愛を感じていて

凍えた夢を
無性な孤独を
僕は君に宛ててしまう

こぼした涙を
無粋な言葉を
君は僕を許してくれるかい

幼い頃のこと覚えている
プラットホームに列車が来れば
弁当売りで辺りは賑わった
出迎える君を綺麗と思った

ヒトの嫌いをかき集めたら
僕の体がもう一人できた
言い争うごとなお辛くなる
鏡を覗くこと

どこかで聞いたことが
いつでもその不思議な本を
開けば魔法に包まれて
やがて笑顔になれるって
愛を感じられるって

疲れ切った君が
知っていても知らなくても
しばらく背負ってやるような
後ろ向きでもいいか?
愛を感じていて

怠惰な神と
無辜むこの民々を
ひっくり返す知恵の実を

かじったところで
君の体を
僕は二度と取り返せないんだ

疲れ切った君が
今にも手放しそうなものを
今度は背負ってやるような
インスタントでもいいか?
「話を聞かせてよ」

厄介払いのような回送車
追い越されて暗闇の中
チョークで刻みつけたって
街はまるでヒマワリのようだ

晩夏の涼しに重ねてしまった
こよみのページを破くように
いっそ僕を粉々に砕いて
知らないところで答えを空に
飛ばして

凍えた夢を
無性な孤独を
僕は君に宛ててしまう

こぼした涙を
無粋な言葉を
君は僕を許してくれるかい

凍えた夢を
無性な孤独を
僕は君に宛ててしまう

こぼした涙を
無粋な言葉を
君は僕を許してくれるかい

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