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うなぎの釣り方徹底解説!(※無料ですがめちゃ長いです)

今日は鰻釣りについてお話したいと思います。私の場合は一つの川の二つのポイントでしか鰻釣りをしていないので様々なシチュエーションでの鰻釣りに明るい訳ではありません。

なぜ限定的な釣りをするかというとそこで十分に美味しい鰻が釣れるからです。

鰻釣りで注意をしないといけないのが漁業権問題や釣りの可不可、水質で、合法的に美味しい個体が釣れる場所を知っている上で色々釣り場を広げる理由はないのです。

私は食べるための釣りをしているのでそこで食べ物が手に入るのであれば動く理由はないという生物的発想を抱いています。

身の周りの鰻釣り師と比べてどれだけ釣っているとかは分かりませんが、毎年食べたい時に必要なだけ鰻を確保しているのでその方法やコツについてお話ししたいと思います。

この中の一番大きいのは63cmくらい


【タックル ※60cmの鰻を想定】

まずタックルについて。正直何でもいいですが抜き上げを想定するのであればMHくらいの硬さはあった方がいいです。私はシチュエーションによっては磯竿を使いますが3号竿であれば余裕です。

メインラインは5号程度、ハリスも4号で問題なく抜き上がっています。

針は鰻針ではなくセイゴ12号を愛用しています。鰻針は飲ませる形状をしているのでその後泥吐きのために生かす事を考えればなるべく使用したくないのです。

内臓に針が刺さった状態の鰻を抜き上げたら?結果は想像に容易いです。口先の致命傷に至り難い場所に針掛かりさせるにはセイゴ針がいいと思っています。


【餌】

お金をかけたくないのであればドバミミズを掘ってくる、時間をかけたくないのであれば市販の熊太郎がいいでしょう。私はほぼ熊太郎で、一本の針に数匹つける房掛けです。

外道が少ない時期であれば一箱で十分ですが外道が増える夏場は恐ろしい勢いで餌がなくなるので釣率を高めたいなら二箱準備するといいでしょう。


【錘(天秤)】

私は25号天秤を使用しています。複数本竿を出す時は天秤の重さを揃える事が重要です。流されるにしても同じスピードなので残念なセルフお祭りが起こりにくいです。

川の流れが激しい時は25号でも余裕で流されるのでそれ以上の錘を使う人もいますがそこまで激流になった時の釣果はあまり期待できないので私はそれ以上に錘サイズを上げようとはしません。


【流れ】

これが最も議論を呼ぶポイントでどんな流れの時に鰻が釣れ易いのか傾向をまとめようとするのですが長年やってきた者としては「よく分からない」というのが結論です。

私が釣りをするポイントは河口から7kmくらいなので潮も関係するし、上流には塩害を防ぐための水門も設置されているのでその人為的開閉も多分に影響するでしょう。

私は水面に全ての景色が映るほどの凪ぎはあまりいい印象はありませんが、底の流れがなければ大遠投も可能になるので、普段探らないポイントに投げて釣れたという経験は多々あります。

とても悪い印象があるのが流れ過ぎている時です。川の流れに対して垂直の動きで根掛かりしない水域でも流される事で平行の動きが加わるとよく根掛かりします。

それで釣りにならないのもありますが仮に上手く固定できてもあまりに激しい流れの時は釣果は極端に悪いです。

最高にいい印象があるのが潮変わりです。川の水は上流から下流に流れていますが川底にある天秤が常に同じ様に流される訳ではありません。上げ潮の時、水面は上流から下流に流れても川底は下流から上流に流れています。

それはラインの動きを見ていれば分かるのですが満潮をきっかけに川全体が層に関係なく下流に流れ始めるのです。その潮変わりの瞬間と緩やかに全体が下流に流れている時には釣れる印象があります。

ただ何時間かすると激流になってしまい釣りにならないパターンも多いので分かり易く潮の影響を受けている時は潮変わりの短時間にしっかり釣り切る事が大切です。

気性が荒い子は個室に移す事も



【鰻マンション】

我々は“鰻マンション”と呼んでおり鰻のたまり場なのか通り道なのか兎に角よく釣れるポイントがあるものです。5mずれても全然釣果が違ってくるのだから何かしら理由はあると思うのですが勿論原因は分かりません。

私が鰻釣りをしているのはその川のポイントAかポイントBのみで、2022年はポイントA,B共に絶好調、2023年はポイントBのみが好調でした。AとBとの距離は100m程でその周辺200mくらいは徹底的に調査していますがこのAとBに鰻マンションはあります。

それさえ見付けてしまえばかなり高確率に釣れるので来年以降もマンションからの立ち退きがない事を願うばかりです。

たまに釣りポイントや“鰻マンション”の位置をSNSのメッセージ機能で聞いてくる人がいますがその場合は『一緒に釣りをしましょう!』と返すようにしています。ほぼ返信はないか一緒にはやらない方向になりますが私としてはベストな対応だと思っています。

それを聞いてしまっては鰻釣りの意味がないと思うのですがそういった連絡は定期的にあるものです。


【障害物の把握】

川には様々な障害物があります。沈没船や捨てられた自転車、違法に建築された桟橋やその残骸など。それを干潮時によく観察しておき投げ込む場所や巻き取り時のルートを考える訳です。

「そんな障害物が多い場所ではなくやりやすい場所に行けばいいじゃないか?」と思うかも知れませんが、鰻はそういった障害物がある環境を好むのです。

せっかく鰻がヒットしたのに障害物の把握を怠ったせいで引っ掛かったり鰻をバラすという事は何度も経験しました。満潮時であればそれらの障害物も水中に沈んでいるので慣れない内は干潮を避ける事をお薦めします。


【リールの巻き方】

鰻がヒットしたらポンピングせず一定の速度で“巻き続ける事”が大切です。巻いている最中に一瞬軽くなり外れてしまった様な感覚を覚えますが、身体をくねらせて抵抗していた鰻がまっすぐ伸びただけなのでそこで巻き取りをやめてしまうと鰻に根や障害物に潜るチャンスを与えてしまいます。

冷静に考えれば仮に外れたとしても巻き取りをやめる理由がどこにあるでしょうか?新しい餌をつけて投げ直さなければならず巻き取りをやめる事は無意味です。

決して騙される事なく最後まで一定で巻き続けましょう。


【複数人で釣る時のポジショニング】

冬から春の東京湾は魚が釣れないので鰻釣り師が増える印象があります。釣り場に着いたら既に誰かが釣り座を確保していたとしてあなたならどうポジショニングしますか?

私は満潮またぎと下げを意識して釣りをするならその釣り師よりも上流に釣り座を確保します。下げ初めで上流から鰻が下ってきて食い出すとは限りませんがそれでその釣り師との差をつけた経験は多々あります。

仮に複数人の釣り師が既にいたら?私は兎に角挟まれないようには意識します。全体で10本近く竿が出ていても最初に食うのは一番外、その後はどれか一つの竿だけに連発するというのは傾向としてはあるように思います。

何人に挟まれようとも“鰻マンション”前が空いているならそれを信じるのもありです。鰻というのは10mおきに10本の竿が並んでいるとしても均等には釣れない事が多いのでポジショニングで釣果が決まるかも知れません。


【鈴や竿先の観察】

これは経験でしょう。鰻は分かり易く鈴を鳴らすばかりではないので竿先の確認は重要です。よく観察していると流れによる竿先の反応とは違うものを感じる時があり、鈴は全く鳴っていないけど既に鰻が針掛かりしている事があります。

その場合小さな固体かというとそうでもなく巨大な鰻がサイレントで掛かる事も珍しくありません。耳だけに頼ってこの兆候を逃すと彼らはデスロールして針を外してしまい回収した時に鰻のヌメヌメだけが残っていたり仕掛けがグチャグチャになっています。

他の釣りに比べれば鰻釣りはゆったりまったりしていられますが本気で釣りたいのであれば他の釣り同様竿先や水面をよく観察する必要があります。

釣り上達の秘訣は常に考え周囲をよく観察し何でも試す事でしょう。それは鰻釣りでも同じです。

稀ですがハクレンが釣れる事も!



【外道のリスク】

川と餌、季節によって釣れる外道は違うでしょうが、私が鰻釣りをしているポイントでは主にニゴイとアメリカナマズが釣れます。餌に青イソメやテナガエビを使い始めるとシーバスやクロダイ、アカエイなんかも食ってくるので私はなるべく使わないようにしています。

以前鰻釣り仲間がアカエイに磯竿を持っていかれてしまった事件がありました。そうならないためにはドラグを緩めておくのがいいのですが、大きな鰻が食ってきた時、最初の潜りを阻止すべく強引に闘わないといけないのでドラグ緩めはリスキーです。

私が釣りをしているポイントでは春先は99%鰻で外道は釣れません。2023年の3~5月に関しては100%鰻でした。

餌取りも外道も少ないので私は「桜から母」=「桜の咲く3月終わりから5月半ば」をベストシーズンと位置付けています。


【鰻の管理と泥吐き】

鰻は管理が簡単な魚と感じていましたがそれは春の話で夏は管理が難しいです。釣った鰻をバケツに入れておくと地熱の影響か弱っていくので夏場はクーラーボックスで管理し凍ったペットボトルを縦に置いてクーラー内の気温や水温が上がらないように努力しています。

そういった気遣いが全く不必要なのが春なのでやはり「桜から母」がベストシーズンです。

自宅では水槽をいくつか使って管理していますが小さな水槽に複数匹入れると時折バトルロワイヤルが勃発します。これは特に大型の鰻同士で起こる印象がありますが一度私の目の前で一匹の鰻が殺されるのを見た事があります。

それぞれ個室管理すれば殺し合いも起こりませんがなかなかそうもいきません。年や季節、個体の組み合わせによっても管理の難易度は違うようで、他の魚に比べれば簡単ですが時々非常に難しく感じる瞬間もあるといったところでしょうか。


【鰻釣りの必需品】

私は川の水で手を洗いたくないので大きなペットボトルを二つ用意し水道水を入れていきます。鰻は水道水でも生きるので釣った鰻をその水で管理できるし自分の手洗い用にも使えます。

夏場であれば温度変化の少ないクーラーボックス、そして虫除けです。夏の釣りは虫のストレスが半端ではないのでスプレーは必需品ですしその辺りのストレスがない春がお薦めです。

ただ先程もご紹介した春のベストシーズンは花粉症シーズンでもあるのでアレルギーの人はその関係のグッズも用意した方がいいでしょう。


【ポイント探しのコツ】

地面がアスファルトやコンクリート、石畳などであれば鰻の痕跡を辿るといいです。烏賊墨の痕があるポイントでエギングをするのと同じ発想でしょう。

鰻はヌルヌルしており釣り上げられた時はそのぬめりもピークに達しているのか地面に痕が残ります。

釣り場でよく会うおじさんが夕方の散歩時に釣れているか聞いてきたのでその時は『まだですねー』と答えました。数日後そのおじさんが『あの日は鰻が釣れたみたいだね!』とまた私に話し掛けてくれました。

個人的には繋がっていないので情報を共有した事はないのですが、おじさんは我々が会った日の次の朝にもそこを散歩したようで地面の痕跡を見て釣果があったと察した訳です。

もし自分が見付けた鰻ポイントを知られたくないのであれば鰻を釣った痕跡を消していくのがいいです。

蒲焼きで混ぜごはんを作ると美味しい


いかがだったでしょうか?なかなかの文章量になってしまいましたがこれでも書き切れないくらいです。鰻は謎の多い魚で鰻釣りに関しては非常に奥が深いと思っています。

ベストポイントを見付けるとその後はある程度単純な釣りになるので「何の技術もない釣り」と下に見る人もいますが、本当の意味で鰻釣りを極めようと思うと何年かかるのか、一生賭けても極められないのではないかと不安になります。

以前鰻漁師の方が色々とご意見を下さり勉強になる部分もありましたが鰻に関して漁と釣りは全く別の行いです。そして釣りでも地域によって全然事情は異なってくるでしょうから、私の意見の中にも他では通用しない事はあると思います。

やはり鰻釣りは奥が深いという事です。

最近は土用の丑の日に鰻を食べる文化が定着していますが、この食文化は江戸時代に平賀源内によって仕掛けられたものです。

鰻の消費が落ち込む夏場に鰻を売るための商業戦略だった訳ですが、暑さにばてる時期に底物の魚を食べて元気を出そうというのは理にかなっていたので現代でも定着しているのでしょう。

しかし現在の鰻はほぼ養殖です。養殖は美味しいですし味が安定するので商売上は使い勝手がいいでしょう。ただ江戸時代に庶民が口にしていた鰻は天然であって釣り物の鰻を食べれば時代を旅する事もできてしまいます。

鰻を釣るという行為は何百年も前から続けられてきた事。それを思うと鰻釣りはまた特別になります。





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