高速道路には眠気防止のために様々な工夫がされている。そのひとつ、段差による振動。

そのリズムを高速道路の下の道で聞いていた。
トスン、トスン、感覚をあけてトスン。

下水道工事の発電機が、細かいビートを刻む。
ドッドッドッドッ、ドッドっどっどっ。
一般道を車が通り過ぎる、ビュッ、ビュッ、ビュッ。

私は脈拍も血圧も低い。
タバコはやめたので、コーヒーがなければ心臓から脳に送り込まれる血流も弱い。
すなわち、ボーッとしている。

ランニングが好きなのは、脳に血が回って体に酸素が行き渡ってスッキリするからだ。たぶん。

バンドのドラムやDTMの重低音や、音の波動は私の脳も身体を覚ましてくれる。詳しくは知らないけれど。

発電機のドッドッドッ。
高速道路の振動のトスン、トスン、トスン。
一般道のビュッ、ビュッ、ビュッ。

心臓のドキドキも速くなる。
恋でもしたみたいに。

冷たい雨が、工事の電光掲示板にキラキラ輝く。
土手の青葉が揺れて、空の色が青から紫にグラデーションを塗り重ねていく。
車のサーチライトがスポットライトみたいだ。

紛れもなくこの瞬間は自分が望んだものだとわかる。
工事車輌も工事現場も高速道路も全部好きだ。

強く自覚したことはなかったけれど。
いつも視界に捉えていた気がする。

オフィスや建物のなかにずっといるのが嫌だったんだ。
季節を感じたかったんだ。
子どもの頃のように。

その夢が今、全部、叶っている。

周りの人は限りなく優しい。
皆が親切に声をかけてくれる。
ありがたいな。

私は、やりたい事がわからないのではない。
やりたい事のために、やりたくない仕事をやっているのでもない。

自分が好きだから、この仕事をしている。
自分で選んで、好きな人たちと、好きな場所で好きなことをしている。

いつでも、どこでも、どの仕事でも。
結局は自分の内側のことだから。

私は常に満たされているし
幸せなんだ。

さらに付け加えると
なんだかモテている。

女性が少ないからなんだな。