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「二人旅は難しい in ドイツ」

世界一周444日目(9/15)

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昨日はケルン到着早々罰金を食らって
散々な目に遭った僕だったが、
テントの外には贅沢な眺めがあった。

「マジでやべえ…!!!」

25歳にもなって口にするのは
一向にボキャブラリーの増えない感情表現。

ここはドイツ、ケルン。
僕が来たかった場所だ。



今朝もゆっくりとしたスタートだ。

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テントをたたんで橋を渡ると、
駅の24時間7ユーロのコインロッカーに
バックパックをぶちこんだ。

今日の予定はケルン大聖堂の中に入ってみること。

ただそれだけ。

僕は昨日くらった罰金の分を
ちょっとでもいいから取り戻したいと
まだそんなことを考えていた。

そんな下心を抱えて路上で歌っても
レスポンスなんてないんだけどね。


二人旅を始めてから以前のような
偏食の節約生活はどこかに行ってしまった。

そのことを一緒に旅をしている友人に言うと
「え?おれのせい?」という。

駅で売っている4ユーロくらいする
サンドイッチもなんのためらいもなく買ってしまう。


まぁ、せっかく旅しているんだから
パンとトマトみたいな、同じ物だけ
食べててもしょうがないよね。
旅を楽しまないと♪
(お金は減っていくけど…)

そんな風に、さも良い物を食べているように
書いているが、食べているものは
ジャンクフードであることが多い。

昨日も罰金をくらったヤケ食いが入って、
菓子パンを食べ過ぎてしまった。

コーヒーもほぼ毎日飲んでいる。

胃袋のほうがうんざりしてしまったようで、
そこまで食欲が湧かなかった。





ケルン大聖堂へ入る前に
やっておかなくちゃいけない雑務
みたいなのがあった。

ここからベルリンへ帰るために
バスのチケットを取ったのだが、
それをプリントアウトしなくちゃいけない。

僕は友人が日本へ帰ったあとに
スウェーデンへ飛ぶつもりだ。

ベルリンからスウェーデン行きの飛行機と
コペンハーゲンからアイルランドまでの航空券を
買っておいたからそれもプリントアウトしなくちゃ。

バスは明日の朝出発だから
今日中にやらなきゃだめだ。
あぁ、めんどくせぇ。


ケルン大聖堂のすぐ目の前にある
ツーリスト・インフォメーションで
どこでプリントアウトができるか尋ねると、
近くにインターネットカフェがあると教えてくれた。

向こうは流暢な英語で、
だいたいの位置しか分からなかった。

教えてもらった方向へ行くも
インターネットカフェらしきものは
見えてこない。


さっさと雑務を片付けたくて
歩調も早くなった。
僕はけっこうせっかちだ。

自分のペースで物事がうまくいかないと、
イライラ、っていうか少し焦って来る。

それが友人に伝わったのか、
「もっとゆっくりしようぜ?」
みたいなことを言われてしまった。

それを聞いてイラッとしてしまう僕。

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二人旅ってけっこう考える。

なんせ僕は長い期間一緒のヤツと旅をするなんて
初めての経験だからだ。

ほとんどの時間を一緒にいるわけだから、
話のネタなんて尽きてしまって
全然会話がない時だってある。

男二人旅だし会話がないのも気にしないけど、
『今話すことねえな』とか思ったりもする。

お腹が減る時間帯も若干違うだろうし、
その日一日のスタートの仕方も微妙に違う。

すぐにでもメシを喰いたい時もあれば、
そうじゃない時もある。

一応、何かする前に
「どうする?」と訊くようにしている。

プランがなくて「どうする?」
っていうダサい訊き方をする時もあるけど。


目的地が同じでも
二人並んで歩くということはない。

友人は僕の前をスタスタ歩くのが好きだ。
なんか日本でもそうだったな。

いつの時代の奥ゆかしき奥さんだっつーの僕は。
主人の三歩後ろを黙ってついていくじゃあるまいし。

マップアプリを見ながら、
「はい、次500メートル左折でーす」
なんてナビを送るのが僕の役目だ(笑)。

そのくせ、最近は僕に荷物を押し付けて、
一人でフラっとどこかに行ってしまう時もある。
そうなると僕はその場で待ってなければならない。


ヒッチハイクがうまくいかずに
友人が座り込んじゃう時なんかは

「おいおい、そんな格好でヒッチハイク
したんじゃ車なんて乗せてもらえないって!
ほらほらシャキっとして!」
みたいなことは言えないでいる。

『気分を悪くするだろうなぁー』とか
その後のことを気にするわけです。
相手の気持ちを想像するのは
日本人だからか?

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そう言えばバイト時代に
気分屋のヤツがけっこういた。

頑張る時は妙に頑張るんだけど、
ミスしたり、お店が忙しかったり、
店長に起こられたりすると、
モロに態度に出るヤツらが。

そういうヤツにつき合うのは
ほんとうにうんざりしたし、
彼らを見ていると、
『この先どうやって社会に出て行くのだろう?』と
無職、フリーターの僕ですら
彼らの行く末に不安を覚えたことだ。

きっと口のうまい彼らは
なんとか就職までこぎつけて、
その後は気分屋を全開させたんだろう。
もしくは上手く組織ってやつに順応して、
丸くなるか。だ。


この旅で出会った夫婦で世界一周している人たちは
一緒の時をどう過ごしているんだろう?

彼らの書くブログには
「ケンカは一度もしたことがない」
って書いてあったけど、ほんとうだろうか?

もしかしたらうまく旦那が尻に
敷かれてるのかもしれない。

別行動をとるのもありかもしれない。


だけど、僕たちは二週間しか
一緒に旅をしないわけであって、
「せっかく日本から来てくれたんだから、
二人で旅を楽しもうぜ?」
っていうのが僕のスタンスだ。

日記なんて書くヒマがない。
それすらもストレスだ。


日本にいる時は仲が良かった僕たちだったが
こうして24時間一緒にいると、
だんだん相手の粗みたいなのに
反応するようになってしまって、

『あぁ、これで僕にヨメさんができたら、
どうなってしまうんだろう?』

と自分の行く末に不安を感じたりするのだ。
(彼女いないけどさっ…)


自分一人がいかに気楽だかが分かる。
気分が上がるも下がるも全て自分次第だから。

テンションが下がったときなんかも、
自分がどうやれば前を向けるかもわかっている。

タバコで一服してベンチでボケェ~っとしたり、
適当にお菓子や小腹を満たすのが
僕の過分転換方の仕方だ。



インターネットカフェを探し出し、

使い方の分からない
ドイツ語のWindowsだったので、
お店のおっちゃんになんとか
プリントアウトしてもらい、
ふぅっとなって外に出ると、

友人はチャラ夫全開のポーズで
お店の外で待っていた。
人は態度に出る生き物なのだ。
(コーヒー差し入れてくれたけどね)


「お、おーし。
プリントアウト終わったよ。
そんじゃケルン大聖堂行こうぜ?」

今度は僕が空元気を出す番だ。

二人旅は色々と考える。




ケルン大聖堂の中は
なかなかに見応えのある建物だった。

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でも、あんなにデカいのに、
観光客が出入りできるのは
一階と小さな地下室のみ。

あぁ、上から街を見下ろしてみたかったなぁ。
でも入場料無料だしこんなもんか。


残った時間は、この街のルールを守り、
バスキングを三本くらいやっておいた。

一度のバスキングで30分しか
演奏できないので6ユーロくらいしか入らない。

僕がバスキングをしている間、
友人は友達にあげるお土産探しに行った。



ケルンでの滞在は
正直一日でよかったかもしれない。

それ以外に見るものがないからだ。


なんだか一日をうまく過ごせなかった
ような気がした。

帳尻を合わすように
昨日と同じバーでビールを飲んだ。

僕は昨日喰らった
罰金支払いの領収書で巻きたばこを巻いた。

隣りのバーのスタッフは、
タバコを吸い終わると、
ためらいを1ミリも感じさせない
華麗に吸い殻を路地裏に投げ込んだ。

罰金の領収書が燃えると
香ばしい匂いがした。

ビールも二杯飲むともういい気持ち♪

お酒ってすげーや。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。