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「グッバイ・サブバッグ in ドイツ」

世界一周445日目(9/16)

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昨日の夜も同じ場所にテントを張った。

川の対岸から見る
ケルン大聖堂とも今日でお別れだ。

日本にいた時から見たいと
思っていたものが見れた。

僕は満足だ。
(罰金35ユーロくらったけど…。くっ...)


長距距離バスの止まる場所は
1kmほど離れた場所にあったので、
歩いて向かうことにした。

バスターミナルというものはなく、
日本のローカルバスの停留所みたいなところに
僕たちの乗るバスの名前が書いた看板が立っていた。

まわりにも10人ほどバスを待つ人の姿が。

ここはドイツ、ケルン。
その町にある長距離バス乗り場だ。

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僕たちは今からベルリン行きのバスに乗り込む。
出発時刻は8:45。到着予定は16:30。
約8時間の移動だ。

そして二人旅も
そろそろおしまいだ。

18日のフライトで友人は日本に帰る。


にしてもー、電車でケルンから
ベリリンで行くのに一万円以上するのに、
なんでバスだと3千円くらいで行けるんだろう?

ほんとうにバスに乗せてもらえるのだろうか?

そんな心配も無用で、
やってきたバスにすんなりと乗ることができた。


持ち込み手荷物はひとつまでと
サイトには書いてあったので、

サブバッグをバックパックに収納し、
ギターを手荷物として持ちこんだのだが、

運転手のおっちゃんは
「そこにあると邪魔だろう?」と言って、
荷室に追加料金なしで置いてくれた。


バスの中にはWi-Fiが入っていた。

座席の後ろの方には有料の
コーヒーの自販機がついている。

けっこうリッチなバスだ。


僕はこのバス会社を
「Carpooling」というサイトで知った。

これは車で長距離を走る人が、
そこまで乗せてもらい人とのカーシェアのサイトだ。
お金を払って乗せてもらう。

そこでこの「ADAC POST BUS」という、
格安長距離バスを見つけたのだ。

最初は
『ほんとうにこの金額で
乗せていってもらえるのだろうか?』
と心配になったが、日本の長距離バスと
同じようなもなのだろう。

さすがにここからベルリンまでは
ヒッチハイクはキツいしね。
23.5ユーロ(3,285yen)なら安い!

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僕は持ち込んだパソコンでバッテリーが
切れるまで日記を書いたり、
サイトにブログをアップしたりして時間を過ごした。

もうー、
旅も終わりだなぁ…。

2週間も友人と旅をしていた気がしない。

コペンハーゲンでクリスチャニアに
行ったのが一ヶ月以上前のように感じる。

そのくらい密度の濃い二人旅だった。



16時半にバスターミナルに到着した。

僕たちがコペンハーゲン行きの
バスに乗ったのと同じターミナルだ。

ひとまず、ここへ来た時も
立ち寄ったケバブ屋さんで
3.5ユーロのケバブを食べた。

もう1ユーロが約140円だなんて
思えなくなって来たよ。

今は1ユーロ100円の感覚に近い。やべ。


とりあえずメトロの切符をABライン、
2.6ユーロで買っておいた。

来る時と同じだから、
罰金をくらうこともあるまい!はっ!

ちゃんと打刻しておくことも忘れない。


行き先はベルリンのPatagoniaストアだ。

友人はアウトドアメーカーの
"Patagonia"が大好きだ。

彼からの影響で僕も
このブランドが好きになった。

環境のことを考え、物を大切に長く使っていく、
良い物を作るというスタンス、
ユーザーがパタゴニアの製品を何年も使い、
それに込められたストーリーを語るのがいい。

僕はベルリンで彼を待つ間に
何回かパタゴニアに行ったけど、
せっかくだからもう一度遊びに行こうと思ったのだ。



Patagoniaストアを目指して移動していると
二人ともiPhoneのバッテリーが切れてしまった。

ポータブルバッテリーも二人で使っているので、
もうすっからかん。
(写真がないのもそのため)

僕は自分の記憶を頼りに
パタゴア・ベルリン店へ向かった。


「あれ?ここだっけ?」

「え?見覚えとかないの?」

「あ、こっち!...だったと思う」

「はぁ…」
友人はあからさまにため息をついた。


僕は方向音痴なのだ。

マッププリないと全然道が分からない。

人間的に退化していることだろう。

なんとなくあっちの方に
テレビ塔みたいなのがあったよなと
ウロ覚えで向かうも、近くまでしか辿り着けない。

友人は完璧に飽きれモード。


「や、町歩きできるって思えばいいじゃん?」

「はーーーーーっ…」


しまいには僕の前をスタスタ歩き出す始末。

彼の不機嫌さが伝わる。
二人旅なので、別々に行動するわけにもいかない。

自分のことを棚に上げておいて
こういうことを書くのはんだが、

ネガティヴな感情は相手にすぐに
伝わってしまうものだ。


「もうカフェで充電する?」

iphoneのバッテリー切れに
耐えられなくなった友人が提案した。


「あ!ここ!ここだよ!オッケー!
もう分かった!着いてらっしゃい!
こっちで間違いないから!」

周辺をウロウロした挙げ句、
やっとこさ見覚えのある通りを
見つけることができた。

ちょっと遠回りだったけど、
せいぜい30分くらいでしょ?
不機嫌になりなさんな。

なんとかパタゴニア店へと辿り着くことができた。

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前回と同じ店員さんたちが
僕たちを迎えてくれた。
やっぱパタゴニアの雰囲気が好きだ♪


「てかさ、やっぱり臭うよね。
いい加減そのサブバッグ替えたら?
汚らしいよ。それ」

「えぇーーー。
でもまだ使えるっしょー?
ね、ねえ店員さん?」

苦笑する店員のお兄さん。


僕が使っているのはNIXONのSmithⅡという型。

日本の下北沢のヴィレッジ・ヴァンガードで
6,800円で買ったヤツだ。


「NIXONって時計のブランドでしょ?
なんでそんなの使ってんの?」

と彼は言う。


手頃な大きさでスケボーを取り付ける
アタッチメントが着いていて、それでー、

一年以上も一緒に
旅を続けて来た僕のサブバッグ。

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チェコで盗難に遭った時も
枕代わりにしていたことで
盗まれるのを間逃れた。

(翌日、プラハで寝ている時に
ジッパーを開けられ
カメラと眼鏡を盗まれたけど…)

「軽量化!」とか言って、
日本で背中のスポンジを摘出するという
大手術を乗り越え、ロシアから始まり、
今現在に至るまで、パスポートやパソコンを
守っていてくれた僕の大事な仲間。

バックパックを背負っている時は前にかけ、
身軽な時は普通に背負った。

今は背中の面が、汗なのか汚れなのか、
もしくはカビだかで、白くなっている。

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メインのジッパーは旅の途中
噛み合わせが悪くなり、ネパールで修理した。

その時に1.5リットルの
ペットボトルが持ち運べるよう、改造もしておいた。

小物を入れるサブポケットの
ジッパーの縫い目はほつれ、
ジッパーの横に切れ目が空いてしまっている。

ものを取り出そうと思ったら
そこから手を突っ込めばいい。

もうボロボロだ。

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まさに
「竜骨のイカれたゴーイング・メリー号」。

次の航海はできそうにない。

新しい船に乗り換える時が
来てしまったのかもしれない。


僕は同じくらいの容量のサブバッグを買った。

65ユーロ。そこそこの値段だ。

だけど、これからまた始まる
旅のことを考えたら安いものだ。

またこのバッグにストーリーを詰め込んでいこう。

そして、今まで僕の旅につき合ってくれた
NIXONのバッグには、ありがとう。ここでお別れだ。

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ちょっと寂しい想いをしながら、
夕食は近くのピザ屋で5ユーロのパスタを食べた。

隣りのお店は、かっこいいジャズがかかり、
若い人たちでにぎわっていたのに、
ここのイタリアンは僕たちが心配するほど
ガラガラだった。

充電をさせてもらっても、
お店のおちゃんは嫌な顔ひとつしなかった。
ありがたい。

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22時をまわるころには、
野宿ができそうな近くの公園へと向かった。

ベルリンには沢山の芝生の公園がある。

夜中でも、ドイツ人たちは
ビール瓶を片手に芝生に座り、
青春トークみたいなことをしている。

ここなら襲われることはなさそうだ。


テントを立て終わると、
飲み足りないので、
近くのカフェバーへと向かった。

日によっては映画の
放映もやっているような小洒落たお店で、
今日はもう終わってしまったようだが、
壁にプロジェクターで映画のチャプター画面が
映し出されていた。

僕はワインを、友人は瓶ビールを頼んだ。

しばらくして気の強そうな女性スタッフが
バシバシと大きな音を立てて椅子を片付け始める。

「お前らいつまで居座る気だ?さっさと帰れ!」

って感じがモロに出ているのがおかしかった。


「それ、ギターだろ?弾いてくれよ?」

と人懐っこく話しかけて来た
オランダ人のマークルと一緒になって、
僕たちは閉店後のカフェバーの前で遅くまで
ベルリンの夜を楽しんだ。

この旅も明日で最後だ。
あさってには友人は日本へ帰る。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。