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手作りの結婚ゆびわ

金色の線を少しずつ、少しずつ曲げて柔らかな円にしていく。
それはまるで、人との縁をつくることに似ている。

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私にとって人生ではじめてのペアリング、おそらく最初で最後になるであろう(ならなきゃ困る)ペアリングは手作りの結婚指輪になった。
元々金色で槌目(金槌で叩いたような模様)をつけた指輪がほしかったのと、せっかく高額の指輪を購入するなら思い出に残る形にしたいということから、手作りの指輪ができる場所を探し「ついぶ川越工房」さんを見つけた。

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「作るいうてもちょっと指輪を叩いたり曲げたり工程に関わるくらいだろう」と思ってお店に行ったら、金属の棒きれからピカピカの指輪を作るところまですべてやるとなって、ドがつく不器用な私は相当ビビった。いや、私の手にかかればそもそも輪っかにすらならないだろう。スタッフさんの「大丈夫です、一人も失敗された方はいらっしゃらないので」という励ましが、プレッシャーに変換された。

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まずは棒である金属をバーナーであたためて柔らかくし、曲げていく。まんべんなく火をあてて一気に冷やす。

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次に特殊なニッパーで丸くしていく。そこそこ力を入れないとびくともしない。棒の部分をしっかりとはさんで固定し思いっきり押し曲げ、ぐいぐいと端と端を近づけていく。金よりもプラチナの方が曲がりやすいらしい。

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輪っかにできたら、この工程は完了。

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次に、中学校の技術の授業で教わったハンダゴテのようなものを利用して、継ぎ目を接着させる。

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接着面にしっかりとバーナーをあてていき、接着面がぶわっと光ったら、火を止めて急速冷却する。

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すると、だいぶ指輪らしくなってきた金のわっか。これで18K?というくらいくすんでいた表面を、やすりを使って磨いていく。小刻みに力を入れず磨くのがコツで、少し擦るだけでも金らしい輝きを放ちはじめた。

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ここまできたら、もはや指輪でしかない。「失敗した人がいない」というスタッフさんの言葉は本当だった!!だんだんと指輪への愛着が深まっていく。

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形になってきた指輪を銀のポールに通して金槌で叩き、円をなめらかにしつつ大きさを調整していく。同時に槌目の模様もつけていく。怖がって手加減すると、きれいな槌目模様にならないので、コンコンという刀を打つときのような音を響かせながら(刀打ったことないけど)、輪っか部分の大きさを整形する。ゴール間近で心の余裕が半端ないので、幸せになれますようにと心をこめて叩いていく。

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おおお、で、で、できた...!!!マット加工にしたかったので最後に砂で磨いて完成!!

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指輪の裏側にはイニシャルや日付をいれてもらえる。(筆記体のような特殊文字だと有料)
ちなみに、お値段は金の重さによって変わるので、指輪のサイズが大きい程高くなる。私の場合6号で55,000円ほどだった。
指輪の表面をよく見ると、槌目の模様ひとつひとつが異なり世界に一つだけ感がすごい。ピノキオのゼペットじぃさんのように思いをこめて作った分、命が吹き込まれないまでもきっと二人を見守ってくれるはず。
この指輪に誓って、ありがとうとごめんねを忘れずに生きていきます。

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