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わたしはまだトトノウを知らない

私としたことがサウナで整ったことがない。食わず嫌いはしないタイプなので、もちろんサウナに入ったことはあるし、「整う」を目指したことはある。ただどうしても暑さがしんどくなって途中で出てしまう。「整う」が好きな人はきっと暑さを我慢している時間にも面白さを見出しているのだろう。しんどさを耐えた後に訪れる悟りとも言えるような幸福な快感。私としては「整う」行為は聖域と化している。

そういえば仕事でもプライベートでもプロセスを楽しめない方な気がする。家事をしていても、きれいになったとかおいしいとかを楽しみにこなすし、仕事でもプロジェクトが成功した時の達成感をモチベーションにすることが多い。プロセスを楽しめればもっと人生を謳歌できるはず。なんだかすごいもったいない性格な気がしてきた。

もったいなさを成仏するために再び「整う」にチャレンジしてみることにした。

意気込んで中に入り、備え付けのテレビで気を散らすとそこまでしんどくない。「お、これならいけるかも。そろそろ出てもいい時間かな」と思ったら時計の針がまだ2mmくらいしか動いてない。思わず2度見した。

嘘だろ......!?

早々に挫折していつも通り電気風呂に入った。「パッパッパッパッ」とか「パーーーーーアーーー」とかリズム良く電気が走って、力を入れてないのに勝手に手や足がグーパーしたりする。身体は完全に電気の思うがまま、電気風呂の手のひらで転がされている。しびれて動けない。しんどい。ただただグッとこらえて耐える。実際効果があるのかは非常に微妙なのだが、電気風呂を見つけてはなんとなく入ってしまう。

ん、いや、待てよ?

今これめっちゃプロセス楽しめてるじゃん。ぜんぜん気持ちよくないのに堪えてる時間に面白さを見出せている。この感覚サウナにも適用できれば整う未来が待ってるかもしれない。

電気風呂試練に耐えた身体を露天風呂でいやす。大嫌いな北風が今は火照ったほほにあたって気持ちいい。ふわふわするこの感覚はきっと「整う」に近いはず。いつか聖域に足を踏み入れてやる。

待ってろ、「整う...!」

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