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グラサンズ思い出日記〜東京編〜「楽しすぎて怖い」

グラサンズ東名阪ツアー「漂流」の2本目のライブは、代官山"晴れたら空に豆まいて"にて行われた。ライブの収支は、新幹線移動により赤字は免れなかったものの、その痛みを充分癒してくれるだけの売り上げと盛り上がりをみせたライブとなった。大袈裟でなく、これまでのグラサンズライブBest10に入るくらい最高な日だったと思う。
しかし、ここに書く記事は、その素晴らしかったライブのレポートではなく、ライブ前日の東京観光の模様である。バンドとして一番重要なライブの模様をお届けせず、単なる思い出日記になることをご容赦願いたい。

〜思い出その壱〜早朝居酒屋『ぐらさんず』開店

画像はネットより拝借(実際この形式で座りました)

グラサンズ東名阪ツアー「漂流」の東京編。代官山晴れ豆でのライブイベントは8月13日の昼間のスタート。リハーサルのタイムスケジュールの都合で、我々グラサンズは前日に東京入りすることとなった。

出発当日、マンドリンこうちゃんは、群馬から直通バスに乗って昼過ぎに東京到着とのこと。こうちゃんの到着時間にあわせ、新幹線組は新大阪駅に早朝集合。まずはクラリネットけいごと遭遇。ピックサイズのリュックパンパンに詰められた物販がツアーへの意気込みを感じさせる。バンド貯金の危機ともとれるが、、。
じゅんじゅんも珍しく二日酔いを連れこないで現れ、ほぼ約束時間通りにメンバーが揃う。くしゃくしゃの封筒からお金を取り出し、全員分の切符を買う。券売機に吸い込まれていくお札の数は数えないようにした。改札をくぐると、朝っぱらから何のためらいもなく酒を求め売店へ。
血まなこになって自由席を確保し、座席をくるりと回転させたら、居酒屋「ぐらさんず」の開店。缶ビール、缶チューハイ、おつまみ各種あります。

早朝の静かな車内に響く「プシュ!」

身の丈にあわない優雅な座席に身を沈め、売れてるバンドみたいな錯覚を起こす。悪くない気分で、順調に酔っ払う。おつまみの咀嚼音がメロディを奏で、飲酒のリズムで会話が弾む。10分置きに車内に広がるデリカシーのない笑い声。その声が段々大きくなる。後方から車掌さんが我々にそっと近づく。

「おやすみになられてるお客様もいらっしゃいますので、、、」

グラサンズと同じ車内に乗り合わせたお客さんは不運だ。当事者さえそう思う。みな声のトーンを落とすが、地声でしか発声できないベースのアッキーの笑い声にヒヤヒヤしながら宴会は続いた。2時間ちょっとで品川へ到着。仮眠をとる暇もないくらい楽しく呑んだ。居酒屋の時間制限も2時間くらいだろうか。我々は時間は守ったが、きっと次回は出禁だ。


〜思い出その二〜セレブな家本

画像は名古屋ライブの時に一人だけ鰻を食って現れたセレブ家本

東京で無事こうちゃんと合流。老化というか、仙人化が進んでいるこうちゃんと合流した我々は、友人の手配してくれた宿に荷物を置き、練習スタジオでなく、昼呑みの地を求め、全員で街にくりだす。この”全員”にはドラムの家本は含まれていない。新幹線で移動中にグループLINEに届いた家本からのメッセージ。

「14:00〜ANAで伊丹出発。
で、今日は森美術館行って勉強して、赤坂のホテル泊まるので、別行動します。明日10:00に豆さん行きます。(原文ママ)」

バンドは個の集まりで、運命共同体ではないことを彼が教えてくれる。グラサンズらしい自分勝手な行動が、バンドのアイデンティティを守っている。家本さん!良き旅を!

〜思い出その三〜昼はやっぱり町中華

昼間の東京に到着し、何の予定も持たない我々に舞い降りた、またとない東京観光のチャンス。夏の暑さに負けないよう水分(酒)を補給しながら、スマホを片手に街を散策する。
下北沢の本場の人が営む老舗中華店「新雪園」に入ったのは昼の2時過ぎ。ランチタイムを過ぎ、客足は引いたあと。円卓を陣取り、こうちゃんを交えて改めて乾杯。

餃子、麻婆豆腐、酢豚、焼きそば、天津飯。

王将しか行ったことのない庶民バンドに、本場中華の聞き慣れないメニューを頼む勇者はいない。安心メニューの美味しさにみんなで舌鼓を打つ。どの料理も美味しかったが、食べれる量が確実に減っている。すぐにお腹いっぱい。老いを感じる昼下がり。眠い。おじいちゃんたちに布団を敷いてあげてほしい。
東京の町中華に行ったことの達成感を得た我々は、会計を済ませ店をあとにした。

〜思い出その四〜おじいちゃんたちの古着屋巡り

下北沢といえば、古着の店が多いことでも有名。アッキーとけいごは、古着好きなので、みんなで服を見に行くことに。炎天下で噴き出す汗。せっかく体内に取り込んだアルコールが抜けていく。
良さげなヴィンテージの古着屋に入る。若い店員さんが接客するお店には90年代の古着が並び、その年代の古着に付加価値がついていることに驚く。80年代生まれの我々も、もはやヴィンテージと呼べるかもしれない。若い店員さんにすすめられるがままに、フィドルの社長はよくわからない柄のシャツを購入していた。
その後も何件かまわり、たどり着いた一件の古着屋。オリジナルブランドで年代物のレプリカを販売している店で、こうちゃんは気になる柄シャツを、さえちゃんは可愛いワンピースを見つけた。購入するか否かで悩んでいる二人。そんな二人を見ている社長。朝から呑み続け、正しい判断ができなくなっていた彼は何を思ったのか。こうちゃんの欲しかった柄シャツと、さえちゃんの気にいったワンピース2着を奢るという奇行に走っていた。バンドメンバー内で服を奢る現場なんて初めて見た。
暑さで頭のネジと、財布の紐はだるんだるんに緩んでいた。その後、ATMでお金をおろしていた社長の背中は小さかった。

〜思い出その五〜汗だくで目指すお洒落BAR

明大前のBAR dodd

古着屋巡りの途中で、クニキマチコとばったり遭遇。お父さんと旦那さんとショッピングの途中だったのかな。下北沢で大阪人同士の立ち話。垢抜けた表通りも、一気に西成の裏通りに染まる。
けいごもアッキーも気に入った古着を買い、こうちゃんとさえちゃんは社長に古着を奢ってもらい、おニューの服を手に入れた一同のテンションは高くなっていた。日も沈み始め、少し涼しくなって元気を取り戻したおじいちゃんたち。またそろそろ呑みたくなってきたところで、そういえば明大前に脱サラしてBARを開業した友人がいたことを思い出した。
店までは下北沢から電車で3駅、歩けば30分。当然電車と思いきや、全員徒歩移動で一致。グーグルマップに導かれ、下北沢の静かな住宅街をガヤガヤと歩く。歩くうちに汗とともにアルコールが抜けていく。酒が楽しみになる。

ようやく辿りついたBAR「dodd」
お洒落な外観。そのガラス戸に映し出された汗だくのグラサンズ一同。あきらかに似つかわしくない。知り合いじゃなけりゃ入店拒否だろう。(※めちゃ気さくで入りやすいBARです)
カウンター奥に知った顔が座っていた。ワンダフルボーイズのサンデーカミデ氏だ。開業した友人とカミデくんの顔をみて、お洒落空間にいる緊張感はすぐにほぐれた。
シンプルなのにディテールにこだわりを感じる特注の照明器具、お酒が並ぶいかした棚も特注らしく、その棚に並ぶのは見たこともない数々のジン。店主によって厳選されたこだわりのクラフトジンが呑めるのがこのBARの強み。ジンなんて一種類くらいしか見たことがない。
その日の気分を伝えると店主がお任せでジンを入れてくれた。美味い。いい酒だということが、普段ビールや酎ハイしか呑まないグラサンズにもわかる。ターンテーブルが埋め込まれた特注のデスク。レコードに落とされた針がナイスレゲエを鳴らしてる。今まさに我々は東京の夜を泳いでいるのだと、いい気分に浸っていると、カウンター奥に座っていた社長から「おかわりください」が聞こえる。どれどれどんなジンを呑んでいるのかな?と、耳を澄ます。

「焼酎ソーダ割りで」

まあグラサンズで呑んでりゃムードもクソもない。
みんなリラックスして呑んで、いつしか移動の疲れも忘れ、新幹線で呑み始めた時のような活気を取り戻していた。
そろそろ店を出ようかなという時に浮かんだ顔。東京でいつもお世話になっているコーヘイくんとハギー。会いたいなと思い連絡。店呑みを延長し、集まったみんなで改めて乾杯。カウンターに座って呑んでいたはずが立って呑んだり歩いたり、立食パーティー状態。こんな我々にいいお酒と空間を提供してくれてありがとうございました。友人がカウンターに立つ限り我々の出禁は免除だ。店を後にしたメンバーたちが、東京の夜空を見上げながら言葉を漏らした。
「上質な酔い方してるわぁ。」だってさ。dodd最高!


〜思い出その六〜竹馬に乗って銭湯へ行こう

本日の締めは、銭湯。ハギーの案内で全員でゾロゾロ移動する。その途中で、メンバーの一人がマンションのゴミ捨て場から何かを拾ってきた。

竹馬だ。

「乗れる方はご自由に使ってください」みたいなことが張り紙に書かれていた。上質に酔っ払ったグラサンズが交代で竹馬に乗る。東京の夜の国道沿い、竹馬に乗りながら銭湯に向かう我々は、行き交う車や人々からはどんな風に見えただろうか。忙しい東京時間にスロータイムが流れる。
銭湯に向かう我々は、行先の異なるハギーとコーヘイくんと十字路で別れを告げる。コーヘイくん竹馬下手くそやったなあ。

銭湯について湯船に浸かると、我々はまた蘇ったが、飲酒欲はもう満たされていた。運がいいのか悪いのか、帰りの宿も徒歩圏内。やはり歩いて帰ることになった。流した汗が、また皮膚にまとわりついてくるが、気分がいいぶん、風が涼しく感じた。
帰り道、行列のできているラーメン屋が視界に入る。「並ぶのは嫌や。東京人は並ぶのん好きやなあ。」と、いったん店を通り過ぎた後、気づけば我々も行列の一員となっていた。油そばを注文し、半分くらい残し退店。胃袋の馬鹿さ加減が、酔いの残りをあらわしていた。
宿に戻り、眠る前にこう思った。

「東京に何しにきたんやっけ?」

楽しすぎて怖い。


追伸:我々と別行動でセレブなひと時を過ごしていたはずの家本は、赤坂のホテルで全然眠れなかったらしく、寝不足でリハーサル辛そうでした。

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◼︎8/26(土)グラサンズ東名阪ツアーファイナルln大阪

ムジカジャポニカ17th後の祭りスペシャル!
『ムジカで同じ穴の狢〜グラサンズ×ヨダカノホシ』

18:00open/19:00start
前売3000円/当日3500円(共にドリンク代要)

https://musicaja.info/9385



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