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山形の姥神をめぐる冒険 #20

【最上山 風立寺】 山形市高瀬 2023年12月

 立石寺のある山寺もほど近いこの寺は西暦856年開創というから、山形でも有数の古刹だ。姥神像はこの寺の入り口、仁王像の脇に座っている。参道からのぞくと十六羅漢に六地蔵、湯殿山や観音信仰の板塀など、種々様々な石像がぎっしりと並んでいるのが見える。十六羅漢など、薄暗い境内で見ればギョッとする威容である。いや、異様というか。
 山門には赤い光線を放つ監視カメラも設置されている。
仏像の盗難も少なくないというから、防止策なのだろう。しかしこれだけの石像を管理するのも大変なことだ。ここの姥神が入口の目立つところに座っているのも、何やら警告めいている。


境内の奥には広い墓地があり、反対側の山筋に水子供養の風車が見える。
参道を進むほどにピリリとした冷気と張り詰めたような霊気を感じた。あまり先には進めない気がして引き返す。



山門を改めて眺めると、古い板塀があるのに気づいた。うっすらと彫ってあるのは片膝を立てた老婆のようだ。もしかしたら、これがこの寺の元祖姥神なのではないか?
人びとの信仰を継いでいく二つの姥神。ダブルでいたら、盗っ人もそうそう安眠できなそうだ。

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