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山形の姥神をめぐる冒険 #27

【姥石】 寒河江市元町 2024年2月

 今回はやや異色の姥神の登場である。正確には姥石と呼ばれている自然石である。ここは知る人ぞ知る寒河江市の巨石文化遺蹟なのだ。公園には大小の岩がぐるりと円を成していて、問題の姥石はその隅に置かれていた。

 石をよく見ると、窪みに結晶化した鉱物があるのがわかる。日の光にあちこちがきらめいて、ぐにゃにゃの溶岩を固めたような見た目とは裏腹にすべすべした肌触りだ。
石の全体がこういう物体の塊で、確かに霊力が宿っているような迫力がある。呪いも祝いも閉じ込めてあるような、畏れ多い物体だ。
 あらゆるものに神が宿るとするアニミズム信仰の、石にも宿る命、あるいは心というのが私にはイメージしにくかった。そう思っていたら、柳田國男の『石占』という小文を見つけた。神が宿る石というのは日本各地に伝承があり、勝手に動く石、成長する石、縁結びの石と様々あるらしい。ここの「姥石」の場合は石から音が聞こえるという言い伝えが残っている。
 石占いを託宣と聞く。
迷信なのか妄想なのか。いつか私にも石の心がわかるだろうか。

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