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【オンライン立ち飲み】辻めしのヨコヤマさんと「地元」の話

5月16日(土)、proshiroutでは「TACHINOMI余市ととなりの席の○○さん」のインスタライブを行いました。第14回は、辻めしのヨコヤマさんをゲストに迎えました。その模様をレポートします。

辻めし

「僕は神奈川県の辻堂に13年住んでいて、今は会社員の傍ら、『辻めし』をやってます」
豊かな顎髭をたくわえた男性がぽつりぽつりと話し始めた。その、上下をひっくり返しても顔になるような、三国志に出てきそうな戦国武将感はなにか尊厳があり、少なくとも会社員には見えない。ただ、語り口調は冷静で優しく、なんだかそこが知れないところがある。

「辻めし」とは、ヨコヤマさんが企画する、辻堂エリアの飲食店を紹介するプラットフォームの名前である。テイクアウトができる飲食店を取材してマップに掲載、それを編集してチラシを作成している。最初は地元の生活圏にある美容室に置かせてもらう、という手法で始まり、現在ではFacebookやInstagramなどのSNS上でも情報を発信している。「実はインスタを始めたのは3週間前くらいです。最初は全然勝手がわからなかったけど、今ではもはやインスタグラマーですね

辻堂駅は、JRの茅ヶ崎駅と藤沢駅の間に位置している。茅ヶ崎駅には、海が生活の一部になっているローカルに根付いた人たちが昔から住んでいる。藤沢駅も、江ノ島を擁する、いわゆる「湘南」地区の中心だ。ただ、辻堂駅の周辺は、そのどちらでもなくて、ヨコヤマさんが住み始めたころは、ローカリズムが薄い印象であった。ただ近年、大きな工場の跡地が再開発され、「Terrace Mall 湘南」や「湘南T-SITE」新しい商業施設が現れ、あれよあれよと住みやすくなってきたということだ。

始めたきっかけ

「僕は都内に通勤しているので、実はそこまで、辻堂でテイクアウトを利用していなかったんです」という。
ただ、家庭の主婦は家族の料理を毎日3食作っていて、その献立を考えたり実際に調理をする作業が、実はとても大変である、ということを日頃から実感していたヨコヤマさん。一方で、コロナ禍のいま、多くの飲食店がこれまでと同じ営業ができない現在の状況が起きている。これらの問題をマッチングさせよう、というアイデアが浮かんだ。

「『支援』と言ってしまうと恩着せがましい立場になってしまうんだけど、そうじゃなくて」と語る。そもそもは飲食店を支援のために始めたわけではなくて、生活する人たちが、地元のおいしいご飯を食べて暮らしを楽しんでほしい、という点に趣意があった。自粛の状況が終わった後も、長く楽しめるコンテンツになれば、と思っている。

個人として役に立つ

マップの作成はどのように行ったのかというと、実際にテイクアウトの看板を出している店を回り、お弁当を買う際に「実はこんなのを作ってるんですけど」と説明するという、言ってみれば図々しい方法であった。「最初はへんなやつだと思われてましたよ」とヨコヤマさんは笑う。
「ヨコヤマさんは並の心臓じゃないんですよね」とTORUが関心する。というのも、2人は現在も同じ会社に勤めていて、以前は同じ部署の先輩後輩という関係だったこともあったので、気心が知れているのだ。

普段はインテリアや空間造り関連の部署で、新規事業開発の担当をしているヨコヤマさん。会社には「生活者の役に立つ」というビジョンがある。しかし、その理念を体現するにあたって、インテリア・空間事業には、いつかは限界があるのではないか、ということが見え始めていた。
「なので、『会社』がなくて個人になったときに、僕は果たして世の中の役に立てるのか、それをチャレンジしようと、ずっと思っていたんです
かと言って、手に職があるわけではない。専門的なスキルがない自分には、何ができるのだろうか、と考えた。その中で、これまでも会社員として、プレゼンをしたり人を動かしたり、やりたいことを実現するための方法であれば、ずっとトレーニングしてきていたんだな、と気付いた。それならばと、街の中で実践してみることにした。

チラシ

ヨコヤマさんのその提案スキルの甲斐もあって、Instagramのフォロワーは3週間ですでに900人を超えた。「ただ、WEBメディアは、マスには届きやすいけれど、本当に必要な人まで伝わるかといえば、難しいんじゃないかな、と思っています」とヨコヤマさんは話す。そこで、まずは「チラシ」を美容室に置く、という手法になった。
「美容室って、地元のコミュニティ、言ってみればサロンじゃないですか。そこで置いてあれば絶対手に取りますよね。そういうローテクなところに目をつけたのがすごいと思います」彼が考えている立ち飲みの概念とも近く、共感するTORU。

ヨコヤマさんがこの活動をする中で、気づきがあった。飲食店に行く動機は、味だけではない。こんにちは、と気軽に喋れる人がいるから、その店に行く、ということが実は多い。「なので、『辻めし』も、最終的には、飲食店オーナーにインタビューするメディアにすることも考えています」ということだ。

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ナタリーちゃんのグラレコ

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文責:TSUYOSHI HIRATSUKA
proshiroutの幽霊部員。いま実家からアスパラが届きました。

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