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オフシーズンのトレーニング

オフシーズン真っ只中、野球界の皆さんは、各々体力強化に励んでいることと思います。シーズン中になかなかしっかり体力強化に充てる時間が取れないので、この期間、重点的に取り組むことはとても大切な事だと思います。

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さて、その中身ですが、皆さんはどんなことをされていますか?私が知る限り、この時期、パワーアップのための筋力トレーニングをガッツリ行なっているチームは多いようです。これは確かに野球という競技特性を考えれば最優先すべき事だと思われます。しかし、これと並行してランニングメニューに目を向けると、昔から冬は長距離とお決まりのパターンで、今でも長距離走、持久走をメインにしているチームが多くあります。
 
ここである研究結果をご紹介します。随分と古い研究報告ですが、1980年イリノイ大学のロバート・ヒクソン教授による研究で、3つのそれぞれ違う条件下でトレーニングを行うグループを作り、10週後に筋力の伸び具合を調べたものがあります。
1・筋力トレーニングのみを行う
2・筋力トレーニングと有酸素運動を行う
3・有酸素運動のみ行うという条件です。

結果は、当たり前ですが、3の有酸素運動のみのグループでは、筋力の伸びはありませんでした。1の筋力トレーニングのみのグループは、順調に筋力を伸ばし続けます。そして、2の筋力トレーニングと有酸素運動のグループは、始めの方こそ筋力の向上は見られたものの、途中からどんどん筋力は低下していきました。途中から筋力の向上が無くなり、効果が頭打ちになったのではなく、低下していったのです。
  
みなさんはこの結果をどう思われますか?せっかく一生懸命野球という競技に重要である筋力トレーニングをしていても、ランニングメニューの選択で持久力的な物を選んでしまうことで、このようにとても残念な結果に繋がってしまうのです。何度も言ってきましたが、野球は究極の瞬発力のスポーツ、やはりこの時期も全力での短距離走を選択する必要があります。

以前もお伝えしたように、30mダッシュのタイムが良い程、スイングスピード、 打球速度、投手のボール速度は速くなる相関性が証明されているので、冬場でも30m走を軸にランニングメニューを選択すべきなのです。筋トレと全力で走る短距離走を並行して行うことが、野球選手としての能力を上げる近道です。

しかし、1980年、つまりは40年も前に証明された研究結果を今更持ち出して、その重要性を提案しているというのは、野球関係者の一人として、正直なところ情けないです。日本では野球の現場と研究者の距離が離れ過ぎていますね。

それでは、果たして持久力は野球には全く必要がないのでしょうか?次回はそのことについてお話しします。

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