日本では転院に関する情報交換はケアブックなどのサービスを用いてオンラインでのつながりは増えているものの、診療情報書や患者データのやり取りは印刷・FAXが主流となっています。

患者紹介のやり取りは個人情報保護云々の問題だけでなく、複雑な要素をはらんでいます。相手が必要とする適切な情報を選び提供できているか？長すぎず短すぎない文章か？紹介相手は適当か？紹介時期は適当か？などなど。

単純に、診療情報提供書を何らかのデータ化して通信すればよいというなんちゃってDXをすればよいだけ、ではありません。最近流行りのEHRを用いて情報共有基盤を作ればよいというだけでもありません。

米国ではMedical Neighborhoodという医療提供地区モデルを提唱しています。同じMedical Neighborhoodに所属する医療機関であれば、紹介のためのテンプレートを画一化し、医療情報を素早く共有できるようになっていて、医師同士の情報のやり取りについてのルールやシステム化（例えば、かかりつけ登録している患者が別の病院に入院したら自動的にかかりつけ医に通知が行くなど）されており、そこに所属する人が自分と相手の役割を明確に理解しているー…という夢のような仕組みが示されています。さらに、医療費の支払いモデルとも結びつけることでより強固なシステムを目指しているようです。

まあそんなうまくいくものではないよね。というわけで海の向こうでもいろいろ難儀しているようです。こちらのウェブ記事にMedical Neighborhood・患者紹介についていろいろまとまっていたので備忘録も含めて記事にしておきます。

References:

ACP lays out mechanisms for better care coordination between primary and specialty care to improve patient care. https://www.acponline.org/acp-newsroom/acp-lays-out-mechanisms-for-better-care-coordination-between-primary-and-specialty-care-to-improve. Published April 29, 2022. Accessed Nov. 3, 2022.

ACP 'Medical Neighborhood Model' payment model pilot being recommended to HHS secretary. https://www.acponline.org/advocacy/acp-advocate/archive/september-25-2020/acp-medical-neighborhood-model-payment-model-pilot-being-recommended-to-hhs-secretary. Published Sept. 25, 2020. Accessed Nov. 3, 2022.

Beyond the Referral: Principles of effective, ongoing primary and specialty care collaboration. https://www.acponline.org/acp_policy/policies/beyond_the_referral_position_paper_2022.pdf. Published April 2022. Accessed Nov. 3, 2022.

The “Medical Neighborhood” advanced alternative payment model (AAPM) proposal. https://aspe.hhs.gov/sites/default/files/private/pdf/261881/ProposalACPNCQA-Resubmitted.pdf. Published November 2018. Accessed Nov. 3, 2022.

The patient-centered medical home neighbor: the interface of patient-centered medical home with specialty/subspecialty practices. https://www.acponline.org/system/files/documents/advocacy/current_policy_papers/assets/pcmh_neighbors.pdf. Published Aug. 1, 2010. Accessed Nov. 3, 2022.