見出し画像

Palliative key aspects are of importance for symptom relief during the last week of life in patients with heart failure

ESC Heart Failureに興味深い論文が掲載されました。心不全患者の最後の一週間の症状緩和は緩和的アプローチと有意に関連しているというものです。

いやそんなの当たり前じゃないかと思いましたね?実はこのあたりのエビデンスはまだまだ少ないのが現実なんです。緩和ケアって何か良いことをしているふうで、ほんとに意味があるかは証明されていないことも多くあります。自己満足で終わらせないために、こういう研究が必要だと思います。

PAL-HFという研究では精神症状とQOLは改善したということを示していました。ですがこれは外来での評価になっているので、いわゆる日本的な入院ベースでの評価とはちょっと設定が異なっています。

心不全患者の身体症状の改善には心不全治療の強化、極論を言えばIABPを入れたほうが胸痛や息切れが改善する…なんていうこともあるかもしれません。というかあります。

この研究では、緩和ケアの記載、症状評価、エンドオブライフの話し合い、コンサルテーションなどの緩和的側面が症状緩和と関連したということを報告しています。

以下、要約の翻訳です。

目的

本研究では、心不全患者の人生最後の1週間における痛み、息切れ、不安、吐き気などの症状の有病率と、症状緩和に関連する因子を明らかにすることを目的とした。

方法と結果

本研究は、Swedish Register of Palliative CareとSwedish Causes of Death Certificate Registerのデータを用いた全国規模の研究である。サンプルには、心不全が根本的な死因である4215人の患者が含まれていた。記述統計学とロジスティック回帰を用いてデータを解析した。症状は「痛み」が最も多く(64.0%)、次いで「不安」(45.1%)、「息切れ」(28.8%)、「吐き気」(11.4%)の順であった。痛みが完全に和らぐことが最も多く(77.5%)、次いで不安(68.4%)、吐き気(54.7%)、息切れ(37.1%)の順であった。症状の緩和には、患者記録への緩和ケアの記載、注射による個別の薬の処方、有効な尺度を用いた症状の評価、患者および/または家族との終末期の話し合いの記録、外部からの相談など、緩和ケアの重要な側面が有意に関連していた。痛み、息切れ、不安、吐き気の緩和は、病院でのケアと比較して、nursing homeやホスピスでの緩和ケアで有意に管理されていた。

結論

今回の結果は、人生の最後の1週間における緩和ケアの重要な側面が、症状の緩和と有意に関連していることを示している。緩和ケアへのアクセスを向上させることは、心不全患者の人生最後の1週間のケアを改善する方法となる可能性がある。また、病院よりも在宅の方が症状緩和効果が高かったが、これは、在宅の方が死の前の生活を促進するよりも、治療や命を救うことに重点を置いていることを示しているのかもしれない

___


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?