電気事業法 第三〜十六条 一般送配電事業の許可

小売電気事業については第二条にまとまっていたのだけど、一般送配電事業については許可に関わるところだけで第三条から第十六条にわたって記載されている。

ここでもしつこいくらい書いておくけれど、一般送配電事業は「許可」。送配電は電気供給のインフラとも言うべきものなので、登録や届出ではなく、許可が必要というところだろうか。

許可の申請にあたっては、電気工作物の種類によって記載すべき事項が変わる。

送電用:1)設置の場所
    2)電気方式
    3)設置の方法
    4)回線数
    5)周波数
    6)電圧 

配電用:1)電気方式
    2)周波数
    3)電圧 

変電用:1)設置の場所
    2)周波数
    3)出力 

発電用:1)設置の場所
    2)原動力の種類
    3)周波数
    4)出力

周波数は、全てに必要
回線数設置の方法は、送電用にのみ必要
原動機の種類は、発電用にのみ必要
電気方式電圧は、送電用配電用に必要
出力は、変圧用発電用に必要
設置の場所配電用のみ不要

許可の基準としては、
① 供給区域における需要に適合する
② 経理的基礎及び技術的能力がある
③ 計画が確実である
④ 電気工作物の能力がその供給区域における需要に応ずることができる
⑤ 電気工作物が著しく過剰とならない
⑥ 電気事業の総合的かつ合理的な発達その他の公共の利益の増進のため必要かつ適切

許可を受けたあとの義務として、10年以内に業務を開始しなければならない。

問われるとしたらこんなところかな。

以下、法の原文。

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第二節 一般送配電事業 

第一款 事業の許可

(事業の許可) 
第三条 一般送配電事業を営もうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

(許可の申請) 
第四条 前条の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 商号及び住所 

二 取締役(指名委員会等設置会社にあつては、取締役及び執行役。第六条第二項第三号において同じ。)の氏名 

三 主たる営業所その他の営業所の名称及び所在地

四 供給区域

五 一般送配電事業の用に供する電気工作物に関する次に掲げる事項

イ 送電用のものにあつては、その設置の場所、電気方式、設置の方法、回線数、周波数及び電圧 

ロ 配電用のものにあつては、その電気方式、周波数及び電圧 

ハ 変電用のものにあつては、その設置の場所、周波数及び出力 

ニ 発電用のものにあつては、その設置の場所、原動力の種類、周波数及び出力

2 前項の申請書には、事業計画書、事業収支見積書その他経済産業省令で定める書類を添附しなければならない。 

(許可の基準)
第五条 経済産業大臣は、第三条の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。

一 その一般送配電事業の開始がその供給区域における需要に適合すること。 

二 その一般送配電事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。 

三 その一般送配電事業の計画が確実であること。 

四 その一般送配電事業の用に供する電気工作物の能力がその供給区域における需要に応ずることができるものであること。 

五 その一般送配電事業の開始によつてその供給区域の全部又は一部について一般送配電事業の用に供する電気工作物が著しく過剰とならないこと。 

六 前各号に掲げるもののほか、その一般送配電事業の開始が電気事業の総合的かつ合理的な発達その他の公共の利益の増進のため必要かつ適切であること。 

(許可証)
第六条 経済産業大臣は、第三条の許可をしたときは、許可証を交付する。 

2 許可証には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 許可の年月日及び許可の番号

二 商号及び住所

三 取締役の氏名 

四 主たる営業所その他の営業所の名称及び所在地
五 供給区域 

六 一般送配電事業の用に供する電気工作物に関する次に掲げる事項
イ 送電用のものにあつては、その設置の場所、電気方式、設置の方法、回線数、周波数及び電圧 
ロ 配電用のものにあつては、その電気方式、周波数及び電圧 
ハ 変電用のものにあつては、その設置の場所、周波数及び出力 
ニ 発電用のものにあつては、その設置の場所、原動力の種類、周波数及び出力

(機関) 第六条の二 
一般送配電事業者は、株式会社であつて次に掲げる機関を置くものでなければならない。
一 取締役会
二 監査役、監査等委員会又は指名委員会等(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第十二号に規定する指名委員会等をいう。) 

(事業の開始の義務)
第七条 一般送配電事業者は、事業の許可を受けた日から十年以内において経済産業大臣が指定する期間内に、その事業を開始しなければ ならない

2 経済産業大臣は、特に必要があると認めるときは、供給区域を区分して前項の規定による指定をすることができる。 

3 経済産業大臣は、一般送配電事業者から申請があつた場合において、正当な理由があると認めるときは、第一項の規定により指定した期間を延長することができる。 

4 一般送配電事業者は、その事業(第二項の規定により供給区域を区分して第一項の規定による指定があつたときは、その区分に係る事業)を開始したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。 

(供給区域の変更)
第八条 一般送配電事業者は、第六条第二項第五号に掲げる事項を変更しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2 第五条及び前条の規定は、前項の許可(同条の規定にあつては、供給区域の減少に係るものを除く。)に準用する。 

(電気工作物等の変更)
第九条 一般送配電事業者は、第六条第二項第六号に掲げる事項について経済産業省令で定める重要な変更をしようとするときは、経済産 業省令で定めるところにより、あらかじめ、経済産業大臣に届け出なければならない。

2 一般送配電事業者は、第六条第二項第二号から第四号までに掲げる事項に変更があつたとき、又は同項第六号に掲げる事項の変更(前 項に規定するものを除く。)をしたときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 第一項の規定による届出をした一般送配電事業者は、その届出が受理された日から二十日を経過した後でなければ、その届出に係る変更をしてはならない。

4 経済産業大臣は、第一項の規定による届出の内容がその届出をした一般送配電事業者の一般送配電事業の適確な遂行に支障を及ぼすお それがないと認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。

5 経済産業大臣は、第一項の規定による届出の内容がその届出をした一般送配電事業者の一般送配電事業の適確な遂行に支障を及ぼすお それがあると認めるときは、その届出をした一般送配電事業者に対し、その届出を受理した日から二十日以内に限り、その届出の内容を変更し、又は中止すべきことを命ずることができる。

(事業の譲渡し及び譲受け並びに合併及び会社分割) 
第十条 一般送配電事業の全部の譲渡し及び譲受けは、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 

2 一般送配電事業者の合併及び会社分割(一般送配電事業の全部を承継させるものに限る。次条において同じ。)は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 

3 第五条の規定は、前二項の認可に準用する。

(承継) 
第十一条 
一般送配電事業の全部の譲渡しがあり、又は一般送配電事業者について合併若しくは会社分割があつたときは、一般送配電事業の全部を譲り受けた株式会社又は合併後存続する株式会社若しくは合併により設立した株式会社若しくは会社分割により当該一般送配電事業の全部を承継した株式会社は、一般送配電事業者の地位を承継する。 

第十二条 削除

(設備の譲渡し等) 
第十三条 一般送配電事業者は、その一般送配電事業の用に供する設備を譲り渡し、又は所有権以外の権利の目的としようとするときは、経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、経済産業省令で定める設備については、この限りでない。 

2 第九条第三項から第五項までの規定は、前項の届出に準用する。この場合において、同条第三項中「変更を」とあるのは「設備を譲り 渡し、又は所有権以外の権利の目的と」と、同条第四項中「の内容」とあるのは「に係る設備を譲り渡し、又は所有権以外の権利の目的 とすること(次項において「設備の譲渡し等」という。)」と、同条第五項中「の内容」とあるのは「に係る設備の譲渡し等」と読み替えるものとする。

(事業の休止及び廃止並びに解散) 
第十四条 一般送配電事業者は、一般送配電事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。 

2 一般送配電事業者の解散についての株主総会の決議は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 

3 経済産業大臣は、一般送配電事業の休止若しくは廃止又は一般送配電事業者の解散により公共の利益が阻害されるおそれがないと認めるときでなければ、第一項の許可又は前項の認可をしてはならない。 

(事業の許可の取消し等)
第十五条 経済産業大臣は、一般送配電事業者が第七条第一項の規定により指定した期間(同条第三項の規定による延長があつたときは、延長後の期間。次条第一項において同じ。)内に事業を開始しないときは、第三条の許可を取り消すことができる。

2 経済産業大臣は、前項に規定する場合を除くほか、一般送配電事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反した場合にお いて、公共の利益を阻害すると認めるときは、第三条の許可を取り消すことができる。

3 経済産業大臣は、前二項の規定による許可の取消しをしたときは、理由を記載した文書をその一般送配電事業者に送付しなければならない。

第十六条 経済産業大臣は、第八条第一項の許可を受けた一般送配電事業者が同条第二項において準用する第七条第一項の規定により指定した期間内にその増加する供給区域において事業を開始しないときは、その許可を取り消すことができる。

2 経済産業大臣は、一般送配電事業者がその供給区域の一部において一般送配電事業を行つていない場合において、公共の利益を阻害すると認めるときは、その一部について供給区域を減少することができる。

3 前条第三項の規定は、前二項の場合に準用する。

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