【アイデアノート改】第13話 天田のオフィス
天田のオフィスに到着して中に入る。晴男は、申し訳なさそうに、
「この度は本当に申し訳・・・」
と言うか言わないかの瞬間に、天田のこぶしが飛んでくる。顔面にヒットして、晴男は倒れこんだ。
「・・・・・」
「おまえ、どうゆうことだ!」
天田は、激しく晴男を問いただす。
「す、すまない・・・」
「すまないじゃないんだよ!おまえ自分のやったことがわかってるのか!」
「・・・・」
「おまえが自爆する分には構わない。でもな、人様に迷惑をかけるようなことをおまえはしたんだ!」
「・・・・」
「なにが起業だ!おまえはそんな器じゃないんだよ!」
「・・・・」
晴男の目には涙が浮かんできた。
「どうなんだよ!遊びじゃねぇんだよ!」
晴男はぐっとこらえていたものを吐き出すかのように、泣き始めた。涙がとまらない。
「もういい!帰れ!」
晴男は、疲れと申し訳なさと自分への悔しさで、流れる涙をそのままに立ち上がり、玄関に向かった。
天田の顔を見ることはできなかった。
*
天田のオフィスから、晴男の自宅まではかなり距離があったが、晴男はふらふら歩きながら帰って行った。外はもう朝だった。
晴男の頭の中は真っ白で、どこをどう歩いているか分からないほどだった。とにかく溢れる涙と鼻水で、晴男の顔はぐちゃぐちゃだった。しかし、そんなことも気にする余地がなかった。
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