さいたま市議選2023分析【与野・浦和・岩槻編】
4月9日投開票のさいたま市議会議員選挙のうち、今回は大宮地域以外の6選挙区の構図と情勢について整理していきます。
なお、情勢は世論調査等に基づくものではなく、過去の選挙結果と現在の党勢からの考察ですのでご注意ください。
大宮地域に関してはこちらのノートをご覧ください。
https://note.com/tactical0038/n/n82b11b1226e3
これまでの4年間で現職議員は、自民党・立憲民主党・公明党の会派に所属する議員が市長提案に概ね賛同(市政与党)、共産党の議員及び無所属の議員が市長提案に反対することがある(市政野党)という状況でした。ただし、市役所庁舎の移設問題では異なる態度を取った議員もいます。これを踏まえ、各選挙区の状況を見ていきます。
中央区(定数5)
前回:自立公共自(無)
現職とその後継候補5人に維新と無所属の新人が挑む構図です。
前回参議院選挙で6000票を超える得票を得ている維新は、それより投票率が低くなると見込まれる中、最小限の得票減で踏みとどまれれば当選が見えてきます。
くすだ候補は前回桜区から無所属で出馬し3365票を得ながら惜しくも落選しています。
無所属の中山候補は現在の市の政策への反対を全面的に打ち出しており、市政に疑問を持つ無党派層をどこまで取り込めるかが鍵です。
自民の鈴木候補は新人候補にしては高齢で無党派層の支持が得にくい可能性があり、固定票の配分において優遇を受けなければ厳しい選挙戦になると思われます。また前任の中島議員は統一問題疑惑や議長の任務を全うできなかったことなど問題を抱えており、「立つ鳥跡を濁す」こととなっている可能性もあります。
共産は高齢化に伴う支持者の減少による得票減という問題を抱えているため、維新や無所属の躍進がありかつ、自民が候補者間で均等に票を配分できた場合には落選の恐れがあります。
桜区(定数4(前回まで5))
前回:共自公自国(無)
今回定数が削減され現職とその後継5候補に維新・無所属の新人2人を加えた厳しい選挙戦が見込まれます。
前回参議院選挙での維新の得票数は5000票強で、国政選挙に比べ投票率の低いことの多い市議選では当選ラインに到達するためには候補者の頑張りが不可欠です。
前回最下位当選の阪本候補は公認政党が国民民主から立憲に変わり、支持の拡大を目指しています。
前回阪本候補と80票差の4位当選だった島崎候補も厳しい戦いです。現職2人の間で固定票の配分が見直される可能性は低く、落選の危機にあると考えられます。
無所属の渡辺候補は激戦区で台風の目となることを狙いますが、極めて厳しい選挙戦と思われます。
浦和区(定数7)
前回:立自国自自共公(維無)
この選挙区では前回当選まで710票まで迫った維新の北岡候補が党勢の拡大を背景に当選圏に入ることが見込まれ、現職やその後継候補、現職県議と連携する新人候補の大混戦が見込まれます。
自民の3候補では帆足候補が自民会派に所属しておらず固定票の配分への影響が未知数です。
立憲は前回トップ当選の添野候補のみの立候補ではありますが、安泰ではありません。
せこぐち候補としまがき候補は、県議選に浦和区の選挙区から出馬している浅野目候補と連携して活動していますが、浅野目候補は元々立憲所属であり、この2候補が立憲票や無党派層の票をある程度添野候補から奪うものと思われます。
前回は最下位当選の公明の谷中候補、それを上回ること329票の共産の候補という構図でしたが、固定票が中心でかつ支持層の高齢化による減少の進む両党の競争はどちらに軍配が上がるかも見どころの1つです。
前回国民民主から出馬し今回は、地域政党さいたま未来プロジェクトとして参戦する小柳候補は所属政党が得票にどのように影響するのか不透明です。
前回に引き続き出馬のみねぎし候補に加え、大学助手やコンサル勤務といった経歴を持つ赤松候補と興味深い新人候補も出馬しています。
浦和区は現職やその後継候補だけでなく、有力な新人候補も複数出馬しているため、予測の極めて難しい選挙区となっています。
南区(定数9)
前回:立自公自共自無無無(無無)
定数が最大の南区には多様な顔ぶれが立候補しています。
前回の得票数から考えて、自民の萩原・桶本両候補、立憲の浜口候補、公明のおのうえ候補、共産の金子候補の5人の当選確率は高いと思われますが、その他の候補の状況は不透明です。
新人候補の中では、他区から衆議院選挙への出馬経験がある維新の吉村候補は、党勢が拡大していること、比例復活ながら南区を選挙区とする現職衆議院議員がいることから当選の確率が高いと思われます。
自民のつわの候補の当選確率は固定票の割り振りに大きく依存します。
無所属の川村候補は前回最下位当選ながらも前々回から得票を伸ばしており、地道な活動が評価されていると考えられるため、辛くも当選する可能性が高いと思われます。
長らく民主系会派に所属しながら無所属の冨田候補・地域政党さいたま未来プロジェクトを立ち上げた土井候補は当落線上の戦いと思われます。
2007年に初当選し2011年に落選した国民民主のにわ候補は、国民民主が前回参議院選挙で6000票近い得票を得ていることから当選の可能性があり、激しい競争の最中にいると思われます。
無所属の佐藤候補は前回衆議院選挙で他区から出馬しており、浦和区では4000票近い得票を得ていることから、候補者内での埋没を免れれば当選の可能性があります。
無所属の柿沼候補は未知数ですが、当選のためには自身と境遇の重なるサラリーマン家庭の票を集める必要があります。
参政党の西内候補は前回参議院選挙での参政党の得票数を考えると極めて厳しいです。
緑区(定数6(前回まで5))
前回:自自国共公(幸)
前回は無風だった緑区には、定員が増えたこともあり8人が立候補しています。
国民民主の現職が出馬せず、立憲・さいたま未来・維新・無所属の新人が出馬します。
現職候補が有利な他、前回参議院選挙では立憲維新が7000票強と拮抗しており、これらの候補が有利と思われますが、前回選挙で国民民主の候補に投じられた票の行方次第ではその他の候補にも勝機があります。
岩槻区(定数5)
前回:自公自立社(共)
定数5に9人が立候補した岩槻区です。
自民・公明の現職3人の当選は固く、残る2議席の奪い合いが見込まれます。
松本候補は前回社民公認で出馬し共産から議席を奪いましたが、当選後に離党し、立憲所属議員などと行動を共にしていますが無所属の立候補となりました。
対する社民が刺客として送り込んだのは元岩槻市長で「83歳新人」の佐藤候補です。さいたま市誕生後は県議に戻りました。2011年には岩槻区を選挙区として16801票を得ています。2015年の引退から8年、市議への新たな挑戦となります。
立憲の高野候補は前回選挙で最下位当選の松本候補との票差はわずか139票でした。
松本・佐藤・高野の3候補は支持層が重なることが見込まれ激しい戦いです。
漁夫の利を得る可能性があるのが共産のながほり候補ですが、前回参議院選挙で共産は3000票を割っているため、かなり厳しい戦いが見込まれます。
さいたま未来のおだて候補は地域情報誌執筆の経験を踏まえた挑戦となりますが、こちらも厳しい選挙戦が見込まれます。
選挙公報の作りからして、中野候補の当選は不可能でしょう。
以上、大宮地区以外のさいたま市議会議員選挙分析でした。
今回は立候補者数が多く、無所属でもしっかりと政策作りをしている新人候補も多く見受けられるため、多くの選挙区で混戦が予想されています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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