ただそこにいただけ。

「ギャハハ！まじ何しよん？」
「‥‥‥馬鹿だよね？達也さー運無いじゃん（笑）」
「はぁ？初めはBかCとか決まってんじゃんよ〜なんで？明日花？」
「‥ラッキー問題を間違えるとは‥」

　相変わらずのどうでもいい会話をしながらダベってる。ちょうど期末テストが終わった後だ。答え合わせと理由をつけ久々のメンバーが揃えた。
俺たちは真面目とはちょっと外れた様な‥そんな仲間だった。時期は高二。今年はなんかいろいろあってさ。
コロナや不景気、自粛ムードって奴で。

学校は二学期から始まってるけどまともに会話をする事が学校では減った―――

食事は離れろ
会話は減らせ
話す時は斜めを見てマ・ス・ク・を・つ・け・ろ・
体温で異常があれば来るな

それは今この状態では正しい事。
誰か咳をするだけでビクッとする‥
面倒な朝礼や始業式は減ったが。
それ以上に移動教室や席の空白が嫌になっていた。
消毒、ディスタンス、清掃の繰り返し。
部活動も既に成約されてる。

―――僕らの緊張が緩まる時は学校にはない。

そんな日々が続いて、暖かい時は公園に。
試験前、それも辛くなれば図書館と。
「密にならない！離れて話さないように！」

‥このくそ婆。。そこまで怒らんでも。
誰か友達の家に行けば結局親が見張る。
そんな状態に嫌嫌してたんだ。

気が着けば12月。
lineのやり取りや暇つぶしでネットみても。
ゲームで馬鹿金しても一時的。
‥‥そこはそこで埋まらなかった。
ツイッターで発散しても、インスタで景色を披露してさえ。
‥‥‥それは暇つぶしでしかなかった――

□□□

無理やり宿題や授業が抑え込まれる。
簡単に言えばそう、やることリストがめちゃ増えた。

先生は目の下にクマをそらえ
「長くの休校で遅れています。できる限りのフォローはしますが、あなた達のせいではない。先輩達とも違う環境ですが、必死に頑張ってください」

「「はい！」」
初めはなんとかなるしすぐ終わると思ってた。
ただ普通の生活は。半年経とうとする今のほうが酷い。

部活の事とか考えれる分けなく。
進級するだけの為にノルマを押し付けられる。
だから、、、終わったら少しでも遊んでいいじゃない？
別にデズニー行ったり、海外旅行したい訳ではなく。

青春って事をしたかった。
高校二年。いろいろ大事な思春期だと自覚はしている。
何が思いでに残りますか？

‥‥‥くそったれ！

□□□

単純に消去方だと思う。
誰か見られているこの環境ではマックに行くにしろ目につく。出歩くだけで睨まれるならなんでスーパーで大声で話すおばさんは許される？
チェーン店は消え、近くでコロナが出たというちょっと大きめな地下のフードコートに集まる。少し暗い感じはするが居心地がよい。

‥別に誰が言い初めた訳ではない。

「空いてるし、学生だらけだからいんじゃない？」
「夕方過ぎれば空いてるよ〜?店員優しいし、なんも言わんし。みんな騒いでる（笑）」「大人は家かえるしこんからええよ♪」

―――大人の目から外れたい。

別に深い意味はないんだ。

ただそこにいただけ。

だけどどこか学校ぽい気がする。

18時半を過ぎると大人達は減り、フードコートは学生服に囲まれた。聞こえる音はどこでも聞こえる休憩時間の様になり、別に好きとかそんなんじゃない。少し小煩い騒ぎ声が、僕らの日常を戻してくれる。大人は皆いない。ブルルッ‥！と揺れる注文の音と、忙しいそうに調理する東南アジアな外人だけ。。
　この国の大人は19時を前に家路に付き、NHKを見て「あぁ〜」「また増えたかぁ〜」「政府は何しとるん！生活できんじゃんか！」「‥大丈夫？あなた？」「マジかぁ〜規制か。。」とか言ってんだろ。

―――もう聞き飽きた
家にいたくない

そういう皆が集まった街。
ちょっと都会だけど、すぐに田舎があふれる街の話。


ノイズの様に響く小さいＴＶからは。
日々のコロナは３ケタを超えていた。病院の空は逼迫していると表示され。隣の六人組から有線の音楽に合わせて音が消し落とす。笑い声と共にかぶってさ。

（クズになった〜僕を♪人を傷つけても何も感じらなくてさ〜〜別にきーみを求めてないけど‥）

「「君のドールチェガッパーノ！その香水のせいだよ〜♪」」

信ノブは僕と同じひょうきんな明るいキャラだった。１年前に良くカラオケで歌う。好きな曲も同じで親友で。。
ふと声を出せばハモる。それは隣の高校生も共に。


全然知らないけど、信と僕は普通に歌ってた。
隣の高校生達も一緒に合わせて。
歌い終わった時にヒュー！とかやる〜！と賞賛頂いた。
全然知らないケ峰の女子高も拍手をして。

あちらも少し照れそうに、こちらも少し照れてた。

「上手いじゃん？俺たち五高〜井口？」
「おおー井口だよ？そっちも上手いじゃん？」

お互い握手して、マスクも取って楽しく仲良くなった。
お互い女性も半々だし、みんな制服は違えど同じ高校生。

僕らの高校生活はここから変わった。