青三角形(せいさんかっけい)

好きなものを語ったり、自分の思いを整理したくて書いています。私の文章があなたのためにも…

青三角形(せいさんかっけい)

好きなものを語ったり、自分の思いを整理したくて書いています。私の文章があなたのためにもなったらいいなと思います。

最近の記事

【短いエッセイ】外出先の写真

どこかに行ったときに、なにかおいしいものを食べるときに、写真を撮るか撮らないかすごく迷う。撮ったら、あとで誰かに共有することができるんだけど、撮ってしまったら、「あとで見返せるし」って思ってしまって、どうしてもその瞬間を100%感じようとしなくなってしまう。写真があることの喜びももちろんあるんだけど、写真を撮らないときの満足感も捨てがたい。

    • 【エッセイ】私の好きなアーティスト

      まるで、ずっとそばにいたような歌声。中村佳穂の音楽は、皮膚の垣根を越えて内へと沁み込んでくる。歌、言葉、ピアノ、リズムなど様々なものが彼女の音楽を形作っているが、そのバランスは、すべてがそうあるべきだったのだと思うほど絶妙だ。彼女が歌えば、否応なしに、というよりも、最も自然に、聴衆は佳穂のやさしい世界へ導かれる。誰かが彼女を「まるで音楽そのものみたいだ」なんて言ったけれど、本当にそうだったらいいのに。

      • 【つぶやきほどのエッセイ2】

        青春は、外から見れば尊く、美しく、ほほえましく、羨ましい。 だけど、その渦中から見れば、外の方が眩しく見えるのだろう。 あのとき美しかったはずのわたしたちも、いま美しくみえるあの子たちも、現在同じように美しく、同じように汚い部分があるはずなのに、自分がうつくしくないことへの裏付けを探してしまうのは、成長欲の副作用だろうか。

        • 【つぶやきほどのエッセイ】

          ざらめを溶かしたようなあまい香りをたどると、 突然むせかえるような華やかな香りに襲われる。 ああ、今年もどこかで金木犀が花開いている。

        【短いエッセイ】外出先の写真

          【エッセイ】ぐんとためたスタートダッシュ

          迷って、迷って。慎重になり過ぎて。 ずっと答えが出せなかったことがたくさんある。 ずっと受け入れられなかったことがたくさんある。 そしていま、やっとひとつわかった、やっと、ひとつだけ受け入れられた。 遅いなあと思う。頑固だったなあと思う。 ずっと、損してきたなあって思う。 でも、これでいいのだ。 こんなに遠回りしたんだもの。こんなに悩んできたんだもの。 賢いあの子に、馬鹿だなって笑われていたんだなって思う。 だけど、いいんだ。もう、いいんだ。 ほんとにほんとにほんとにほ

          【エッセイ】ぐんとためたスタートダッシュ

          【エッセイ】わたしの担任

          小中高と、同級生となかなかうまくいかなかった。 たぶん原因は私にあったのだと思うけど、関わる人を増やせば、何か変わるかもしれないと思って、傷ついてもいろんな人と関わることを諦められなかった。 そういう私がもらった言葉がある。 「あなたには天性の人懐っこさがあるよ」 高校生の私はそんなきれいな言葉では形容できない状態だったと思う。 むしろ「うざい」というくらいが適当だったはずだ。 それは、客観視に長けていた担任から見てももれなく同じだったはずだ。 そんな状態の私を、その人は

          【エッセイ】わたしの担任

          【エッセイ】todoリスト

          日々、やることが多すぎる。 世界がそういうものだからなのか、それとも自分のせいなのか。 やるべきこと、今やっておいたほうがいいこと、やりたいこと。 書き出すと、リストは蔦のように延々と伸びていく。 どんどん、どんどん伸びていく。 縦横無尽に伸びていく。 そのうちグニャグニャ動き出して、新種の生き物になるんじゃないかな。 そう思うとかわいいな…。

          【エッセイ】彼のトマトソースウインナーチーズは、

          トマトソースとウインナーとチーズ。 この3つの組み合わせは大体はずれがなくて、美味しい。 誰が作ったものだとしても、想定通りにおいしい味にたどり着ける。 そう、だから私はあのクレープを頼んだのだ。 ちょっとジャンキーで、おいしいお惣菜系クレープが食べたかったから。 そのキッチンカーは毎週水曜日にやって来る。 利用するのは3回目だけど、マスターの人柄が好きで、空いているときを見計らって、つい、話しに行ってしまうから、顔見知り以上には仲良くなれていると思う。 あのときは、お

          【エッセイ】彼のトマトソースウインナーチーズは、

          【エッセイ】わたしのあたまのなかをみて

          私がいま考えていることを全部みせられたらいいのに。 いま私の頭の中でなにが起こっているのか見せられたら、ひどいことを言うあなたがどれだけ想像力が足りないのかわかってもらえるのに。 自分の気持ち、お望みの答え、話の脈略、わたしたちの論点、「これを言ったらこのあとどうなるか」、「あなたにどう言ったら伝わるのか」…とか。 そういうのがぜんぶ、零コンマ数秒でわたしの頭のなかに広がっていって止まらないから、あたまの中には巨大なブレインストーミングの図ができあががる。 すぐ答えない

          【エッセイ】わたしのあたまのなかをみて

          【エッセイ】譲れないことが増えるのは、年のせいだろうか

          譲れないことが増えるのは年を重ねるせいだろうか。 譲れないものが増えるのは年の重ねるせいなんだろうか。 毎年毎年、ひとつずつ年が重なっていく。 それと同時に譲れないものも重なって、気づいたらぎゅっと押し固められて地層のようになっているんだろうか。 カチカチになった自分に嫌気がさす。 でも、仕方ないじゃない。 どうせ誰もがそうなるし、これからもっと地層は分厚く固くなっていく。 そして意外なことに、その固さは身を守るのにけっこう役立つ。 年のせいで意固地になってきたと思う

          【エッセイ】譲れないことが増えるのは、年のせいだろうか

          【エッセイ】中立であること⇔「 」

          中立であることの裏返しは、「自分を失うこと」ではないかと思います。 中立であろうとすると、常に変化していく必要があります。 なぜかというと、毎回何かと何かの間に立たなくてはならないからです。 加えて、その「何か」はいつも同じ「何か」とは限りません。 だから中立であることを選ぶ人は、自分を定義する基準を自分では決められません。むしろ、間に立つことで自分の存在を見つけられるとも言えます。 誰かの間に立つと自分以外のことで悩むことが多くなり、そんなしがらみから抜け出したいと思うこ

          【エッセイ】中立であること⇔「 」

          【長いエッセイ】わたしの我慢は一級品。

          物置と化した角部屋から、父が段ボール箱をいくつも引っ張り出してきた。 「これお前のだから片付けといてね。」 やめてほしい。やっと片付けがひと段落したっていうのに、なんで勝手にモノを増やすんだ。自分が片付けると決めてやるのと、お父さんからやれと言われてやるのでは訳が違うのに。 父はいつもそうだ。気まぐれに片付けやら模様替えやらを始めては気が済むまでやり続ける。それで、自分の気が済むまでやったら、「俺のやることはもう終わったからあとよろしく」みたいな感じで私たちの持ち物は中途半

          【長いエッセイ】わたしの我慢は一級品。

          【エッセイ】ゲームはたのしい

          あたらしく見つけたゲーム。インストールしたら確実に半日を費やしてしまう。 だめだ、だめだとはわかっているけど…やりたい。 久しぶりに理性が欲望にノックアウトされて、親指でしっかりとインストールボタンを押す。 そうして朝から夜までずうっと、スマホにかじりつくようにしてゲームをした。 机に置いたスマホを長時間同じ姿勢で覗き込むのは良くないと、頭ではわかってた。 30分に一度くらい遠くを見つめて目を休めたほうがいいこともわかってた。 でも、ゲームから離れられない。無理だ。 だっ

          【エッセイ】ゲームはたのしい

          【エッセイ】それでも私はフィジカルを抱きしめて生きたい

          日々デジタル化が進み、もうインターネットは生活に欠かせないもののひとつだなと思います。 仕事も学校もお金もノートも音楽も。ありとあらゆるものがデジタル化されて、「形ないもの」になっていく様を見ていると、それでもフィジカルとして「形あるもの」を作る意味ってなんなんだろうと疑問を持ちます。 例えば音楽。 最近、新しいオーディオ機器を購入しようか迷っていて…。 それがCDプレイヤーなんです。 お気に入りのCDを聴きたいから欲しいのですが、即決できないでいます。 だって現代は配信が

          【エッセイ】それでも私はフィジカルを抱きしめて生きたい

          【エッセイ】チェロほど、

          チェロの音色ほど人の声に近い楽器はないのではないかと思います。 チェロが好きだからそう思うんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そうではありません。 そうではなくて。ただ以前、本気でチェロの音色を人の声と勘違いしたことがあるのです。 なんの曲だったでしょうか…。思い出せないのですが、お昼ごろにラジオから流れてきた曲だったと思います。 ただ聞き流すためだけに流していた放送から、気になる音楽がながれてきました。あ、これ誰の曲なんだろう? でも…歌ってるひとが何て言ってるかわ

          【エッセイ】チェロほど、

          【エッセイ】部屋の片隅に、在りし日を想う。

          そこには猫がいました。 黒っぽい猫で、あんまり鳴かなかったし、あんまり遊ばなかった。 そんな猫が老いたもんだから、そりゃもう余計に動かなくなった。 一日中寝て、三度の食事と幾度かのトイレにだけ起きる。そんな生活を半年くらい過ごした後で、すうっといなくなってしまったんです。 きれいな最期でした。嘘じゃなく、本当に眠りについたみたいに亡くなりました。 亡くなったのは日曜日で、その日のうちに猫の家だの爪とぎだのをすっかり片してしまって、10年ぶりくらいに広々としたリビングで過ご

          【エッセイ】部屋の片隅に、在りし日を想う。