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キャリアと業績の可視化〜あなたは誰なのか?


なぜキャリアや業績を可視化するのか

昨今はSNSなどを介して色々な案件が舞い込んだり、共同研究の話が進むことは少なくありません。これまで学会などが担っていた部分であるとは思いますが、特に横断的な領域の人や学際的な人にとっては自分のキャリアを可視化していくことが自分の将来につながる可能性があります。 SNSで繋がった人との共同研究などもよく耳に(目に?)します。

一方で色々情報過多になりやすいので、SNSとかを始めることを勧めるものではないです。SNSやって良かった!なんていうのも生存バイアスだと思うので。人によっては結構ストレス溜まると思うんですけどね。

ただ、誰かと仕事をするときにその人の情報が全くなかったりすると、強いリファラル(推薦)がない限り一緒に仕事や研究をするのは少し躊躇します。会社でも研究でもLinkedInやResearchmap/Google Scholarはチェックします。特に医師は売り手市場なので、臨床メインだとあまり意識することもないような気がしますが、ある程度の年齢や職位になったり留学したりする時には、そういったキャリアや業績の可視化が求められることに気づくでしょう。

たとえば、名前をよく見る人とかSNSで名前が売れている人(いわゆるインフルエンサー)の名声と研究業績とが結びついているわけではありません。むしろ相関は多分mild。

僕は論文や研究費取得だけが全てとは思っていないので、様々な能力に長けた人たちが集まったり共同したり、あるいはライバル的に頑張るのが良いと思いますが、それでも研究するなら最低限の業績はないと「大丈夫かな?」と不安になります。逆にアピール過剰な人もそれはそれで不安になりますが。ちなみに、著作で有名な人のところに行って一緒に仕事したら微妙だった、というのはよく聞く話。

1. SNSプロフィール

このnoteを見ている人の多くはSNS経由だと思うので、最初に。
もちろんSNSをどう使うかによるのですが、SNSのプロフィールを見たときに、たとえばX(Twitter)で

救急専門医・医学博士|医療系スタートアップCSO😊←東京大学SPH←ハーバード公衆衛生大学院修士・マサチューセッツ総合病院救急部🏥|横浜市立大学HDS|欧州集中治療学会datathon最優秀賞|米国救急医学会最優秀演題|医学論文***本|h-index xx|羊土社ベストセラー『僕らはまだ臨床研究論文の本当の読み方を知らない』|臨床研究キャリア応援‼️|失敗は成功のもと|相談は下記まで↓

みたいなキラキラすぎるのは正直苦手と言うか「うわあ」って感じなんですが(あくまで個人の嗜好です)、かといってアピールしなくても知られているとか、分かる人だけ分かればいいというのは多分この時代にそぐわないので、ある程度割り切るしかないだろうと思っています。

誰かと何かをやるネットワーク構築のためのSNS運用なら、プロフを見たら大体どんな人かが分かった方が良いに決まっています。自分の投稿が誰かのところに届いたり、いわゆる『バズった』時に過去の投稿を遡らないとどんな人か分からないよりは。

日本人は恥ずかしがりだし、「渋い」のを好む傾向にある人もいると思うのですが、あまりそこを拗らせない方が今のSNSとは相性がいいのかもしれません。超有名になったらプロフなんか一行で十分ですが、普通の人はそうじゃないので。

Twitterの松本人志さんのプロフィールより。
こういうのいいですよね

2. 自分でCVをアップデート

Webpageを作ったりnotionで管理されている人もいると思います。もし自分で作るならやりやすい形が良いと思います。それが対外的に公開されていて、誰でも見れる環境であれば。

僕が研究で困った時の切り札?としていつも相談に乗ってもらっている原先生にどのようにされているか聞いたところ、下記のようにGitHubで管理されていました(プログラマっぽくてかっこいい)。いつも『常に勉強してないと死んでしまうマグロのような生き物なので』と冗談めかして仰られていますが、

・誰でもいつでも見れる必要がある
・自分のアピールしたい内容やCV(履歴書)は随時変わっていく
・英語
などの理由から適宜アップデートしていると。

こういうのをちゃんと管理できる人は本当に尊敬します(自分は一ヶ月持ったら
すごい方)。

色々仕事をしていると、ちょいちょいCVは要求されるので常に日本語版と英語版のCVを用意してるのですが、『指定の書式で記載をお願いします』と来たときは、縺オ縺悶¢繧薙↑縺ヲ繧√∴とか、髱「蛟偵¥縺輔>縺九i繧ゅ≧繧?i縺ェ縺とか思ってしまうわけで(なんか言葉が汚かったせいか文字化けしてしまいました)。

3. とりあえずはGoogle Scholar

Googleに行ってアカウント登録するだけです。簡単なのでやりましょう。研究者は結構みんな見ています。僕も研究者紹介されたらとりあえず検索します。どんな研究してるかはGoogle Scholar見たら大体わかりますから。業績は最低限あればよくて、それよりも背景やストーリー、共著関係などを見ています。

一目でわかるところが良い

Google Scholarは一回登録さえしてしまえば後は自動で計算してくれます。何より自分のcitationが年度ごとに可視化されるところや、どの論文がよく引用されているのかが一目でわかりやすい。ただ、抄録や関係ない研究を引っ張ってきてたりする上に、citationのカウントも多く出る傾向にあります。

どんな論文が主に引用されているか気になるところですが、ガイドラインや主要誌のreviewなどは非常に引用されます。これはcitationが多いというより、それだけ学会活動や専門領域に貢献しているという目安になります。一方で、引用回数は領域にもよりますし、メタアナリシスや一時期のCOVID、流行りのAI系は引用されやすいので、これらの数字を横比べするのはあまり意味がないです。

こだわる人だとSCOPUSで著者検索した結果じゃないとダメだ、とかあるようですが、利便性に優るものはないですし、みんな似たようなerrorがあるなら比較可能性はあるだろうということで、僕個人はGoogle ScholarだろうがSCOPUSだろうが気にしていません。

4. Researchmap

国?が絡んだプロジェクトって使いにくいものが多いのですが、Researchmapはよくできていると思います(上から目線ですみません)。

特に学歴や業績、全てを一元管理できるプラットフォームとして現状Researchmap以上のものは日本語では無いと思います。公式記録として扱われるため、大学の教職員になる時にも参照してもらえますから充実させて損はありません。

このページが充実している人は、ちゃんと「自分が人からどう見られるか」を意識しているし、自分も意識しているのであろうと思います。

こういうのって面倒くさいんです。でも、そういう面倒くさいことをちゃんとできる人は多分研究もちゃんとできる。そうでなければ能力とパワーがありすぎて、そんなことを整理していなくてもどんどん勝手に進んでいける人か。

というわけで、論文を書いたり受賞したらまずはGoogle ScholarやResearchmapに登録して充実させていきましょう。

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