記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

シン・エヴァンゲリオンのテーマとラストの意味について考えたこと

 日曜に見に行ってまだまだエヴァ熱醒めやらぬので、少し考察めいたことを書いてみます。ラストの展開について重大なネタバレがあるので未見の人は気をつけて。

 そもそもエヴァ全体のテーマとはなんだったのかというと、結局「ヤマアラシのジレンマ」つまり「他人と触れ合おうとすると辛いんだけどどうしよう?」だと思います。

 これまでエヴァはTV版と旧劇場版とで2回の終幕を迎えたわけですが、TV版のラストを思い返してみると、その結論は「他人と触れ合うのは辛いかもしれないけど、それは『消えろ、あっちへ行け』って言ってるわけじゃないんだよ。心の持ち方次第ってとこもあるし優しくしてくれる人だっているさ」というものだったわけです。前向きかもしれないけど「心の持ちよう」ってのも精神論でなんだかスッキリしないですな。

 そして旧劇場版のラストは、(これはいろいろ解釈がありますが)「辛くても他人の存在を受け入れる。たとえそれが自分を『気持ち悪い』と蔑む奴であっても」というものだと私は受け取りました。志は高いですが、人が死にまくる映画の展開もあってそれ以上に悲壮感があり気分が沈むラストでもあります。

 で、シンのラストはどうだったかというと、平たくいえば成長したシンジがマリとイチャイチャするというものでした。
 イチャイチャはいいとして(歯ぎしりしながら)、なぜ相手がマリなのか。アスカ、レイ、ミサト、カヲル。シンジとカップリングできる相手候補の中で、マリは上の4人と比べて明らかにシンジとの関係性が薄いのになぜ?

 マリは単に物語上、シンジとの絡みが少ないというだけでなくて、庵野監督の頭の中から出てきたのではない、外部からやってきたキャラだということがよく言われています。
 そのことと、シンのストーリーを合わせて考えると、シンのラストの意味はこうなるのではないでしょうか。
「自分と身内だけしか見ていないと、見つかるものも見つからない。新しい関係性を形作ることで世界は広がっていく」
 これはTV版と旧劇場版のラストの内容を内包しつつ、前向きさと具体性もあるメッセージではないでしょうか。

 しばしばエヴァを通じて庵野監督は「オタクよ、現実へ帰れ」というメッセージを送っていると評されますが、私の見出したメッセージはこうです。

「コミュ障よ、人脈を広げろ」

 庵野監督、あなたのメッセージ、確かに受け取りました。

 受け取りましたがそれを実行に移すかどうかは……たぶんしないと思う……しないんじゃないかな……まちょっと覚悟はしておけ……

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?