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黒田杏子句碑を訪ねて 高野山無量光院


黒田杏子先生の句碑があるというので、高野山無量光院を訪ねてまいりました。


黒田先生の句碑が、高野山に建立されていることは、これまでの認識として、知っていたような…知らなかったような…

というのは、私は黒田俳句会(「藍生(あおい)」を仕事の多忙を理由に脱会して久しく、爾来注意深く情報をとっていなかったからです。

本来なら、報恩の気持ちと高野山近在に住することをもって(その時は会員ではありませんでしたが)、高野山句碑建立に際し、なにがしか尽力すべき身だったかもしれません。

そんなわけで、今になって、ちょっと後ろめたさ持ちつつも、黒田先生の影を追いかける一環として、このたび高野山に参ったのでした。


無量光院は、高野山金剛峯寺から歩いて10分ほどの、裏通りといえば裏通りの、ともかく静かな空域にありました。

宿坊のお寺でもあるらしく、拝観とかはできませんが、寺務所でお聞きしたところ、堂内奥の庭園に黒田先生の句碑があるということでした。事情を説明いたしますと、特別に見ることが許されました。写真もいいよ、とのことでした。(堂内写真は自粛しましたのでありません。)


堂内奥の庭。
明るうて清浄。


庭の一番奥にありましたよ、黒田杏子句碑が。


  涅槃図をあふるる月のひかりかな  杏子


廊下にも色紙が掛けてありました。
無量光院は「?」マークから上の三叉路のあたりにあります。


このとき、お月さんは出ておりませんでしたが(昼間だったので)、しかし冷たい石面からは熱い思いがあふれてくるのが見えたように感じました。

上五の「涅槃図を」によって、無碍宇宙に放たれた一条の杏子光の存在を確かに信じることができました。

いい句を作る努力を怠って、恥ずかしく生きてきた私ですが、これからも黒田杏子先生の足跡を、ストーカーのように追いかけようと思います。



2024年4月