よく会う気がする。

人の名前を覚えるのが苦手です。
その代わり、人の顔は割と覚えます。

ある日ふと、道で知ってる顔を見かけた。
名前も、どこで知った相手かも思い出せないその人のことを、ふと思い出したのはそれから数日してからだった。

その日を境にすれ違うことが時折ある。
それも同じ地域ってわけじゃなく色々な場所で。

それだけすれ違うと、刷り込まれるようにこの人の話が聴きたくなる。
そう言えば、神田伯山がこの人を題材にした講談「グレーゾーン」というのをやっていたなと、検索しつつ外へ出る。

『あの人の本名は吉田誠って言うのか..」なんて講談を聴きながら歩いていると、前から最近見覚えのある顔。

「吉田誠...」とぼそっと呟いてしまった。
きっと本人には聞こえていないし、声をかけるつもりもこれからもないけれど、新作落語が好きだし応援しています。

スルメイカみたいに、噛めば噛むほど味が出る落語。

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