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『サイコロジー・オブ・マネー』覚書き

モーガン・ハウセルの『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』を読了。以下、覚書き。

長期的な視点を持ちバランスを取りながら常に冷静に投資をするということは、禅の修行のように人間的な成熟をもたらすものなんだな、というのが読後の印象。マックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』のなかで禁欲的プロテスタンティズムが資本主義を生み出したとの論を展開したが、それに近しいものを感じる。つまり、精神的なフェーズに基づいた行動、上部構造と、経済的な基盤、下部構造は循環をしながらお互いを強化する。

長期投資によるリターンを実現するためには執着を捨てなければならない、というのはシモーヌ・ヴェイユを読んでいるような気にさえなる。また、特定の個人を投資におけるロールモデルにすることなく、もっと大きなパターンをつかむべき、というのはベイトソン的な観点。損が出たとしても、それはゲームを楽しむための入場料のようなもの、というのも気持ちの良い考え方である。そして最も重要なのは、株式市場のなかでサバイブし続けること。複利の恩恵を受けられるかどうかは、どれだけゲームをし続けられるかにかかっている。謙虚に、倹約をしながら、計画通りに進まない可能性も鑑みて十分な貯蓄による柔軟性もキープしつつ、ただ未来に対しては楽観的でいること、そうやって自分の人生をコントロールしている実感を得ること、それこそが投資の魅力でもある。

個人的には、オルカンをベースにリスクヘッジをしつつ、ただ個別銘柄をいくつか保有しながらゲームを楽しんでいくというスタンス。個別銘柄については短期的には多少損が出ても構わない。あくまでもゲームだから。

ということで、いくつかの個別銘柄の分析。

東京エレクトロン
PER 35.72倍
PBR 10.54倍
ROE 32.30%
ROEは十分に高いが、PERとPBRも相当に高い。バブリーな印象があるので、株価が目標値に達したら売ってもいいかと思う。

ディスコ
PER 61.33倍
PBR 14.62倍
ROE 25.90%
こちらもPERとPBRが相当に高い。東京エレクトロンとディスコはゴールドマン・サックスが選定した「七人の侍」のなかの二つ。実力はあるが、そろそろ限界の気もする。

イビデン
PER 20.11倍
PBR 2.50倍
ROE 13.30%
こちらはPBRにまだ上昇の余地あり。1912年創業ということで、面白い会社。

バフェットの手紙も発表されるなか株価上昇のお祭り騒ぎからは距離を取りつつ、引き続きゲームを楽しんでいきます。


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