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後藤達也『転換の時代を生き抜く投資の教科書』覚書き

ポートフォリオの調整の一環として、後藤達也氏の『転換の時代を生き抜く投資の教科書』を読む。大変勉強になった。株式投資を考えている方は購入をお勧めします。以下、覚書き。

ROEとかPERとかPBEとか、個別銘柄の投資をする際に必要となる最低限の指標をまとめて学びたいと思い買ったこの本。もちろんこの辺りの知識も大変簡潔にまとめてくれていてとても役に立ったのだが、同時に非常に共感したのが最後のあたり。曰く、

資産形成という意味では投信だけでも十分だと思います。それでも、個別株へ投資するのは、投信にはない学びやおもしろさがあるからです。(中略)個別株に投資するというのはその企業を応援するとともに、当事者になる意味合いがあります。たとえ運用資産のごく一部だったとしても、長期目的でその企業の株を持つと愛着がわきますし、その企業のニュースが流れると敏感になります。

『転換の時代を生き抜く投資の教科書』後藤達也著

株式会社の起源を考えてみても、冒険に出ようという会社を応援しようとするこの余裕が、個別株の投資にはやはり必要なんだと思う。その上で、基本指標のまとめ。詳細は本書を手に取って実際に読んでみてください。ちなみに、この辺りの章を読みながら昨年、簿記3級を取得しておいてよかったとあらためて思った。

ROE:一年の純利益を資本(純資産)で割って算出。株主に託された貴重な資本をいかに利益に結びつけているかを示す。なお、ROEを高めるには①純利益を上げる、②資本を圧縮する(=配当などを通じて株主に利益を還元する)という手段がある。ちなみに、日本時の上場企業のROEは8%程度が中央値、アメリカでは20%程度が一般的。

配当利回り:主要企業では2%程度が平均的。なお、配当を株価で割ったものが配当利回りなので、配当利回りが上がり該当株が人気になれば(=その株価が上がれば)同じ配当額でも配当利回りは下がる。配当利回りが高いままということは、利回りが高いにも関わらずあまり買い注文が入らないということでもある。

PER(株価収益率):株価を一株当たりの純利益で割ったもの。将来得られるであろう利益の積み重ねが株式の価値なので、純利益が今後も伸びると期待されていればPERはその分だけ上がる。日本の主要企業20社だと、10倍台が多い。

PBR(株価簿価率):株価を一株当たりの純資産で割ったもの。その会社の実力やブランド、成長の期待を踏まえ、バランスシート上の純資産以上に会社が評価されている場合、PBRを1倍を超える。逆にPBRが1倍を下回る会社は、事業を続けるよりも会社を解散したほうが良い、と言われているようなもの。

この辺り全般を踏まえ、身近な企業の各種指標をチェックしてみた。たとえば、好きな酒ジャック・ダニエルの輸入元、アサヒグループホールディングスの指標から。

ROE:7.30%
配当利回り:2.27%
PER:16.45倍
PBR:1.10倍

ROEはそれほどでもない。配当利回りも平均程度。PER、PBRを見てみると若干割安な感じもする。ちなみに、サントリーとキリンはこんな感じ。

サントリー食品インターナショナル
ROE:8.10%
配当利回り:1.69%
PER:17.69倍
PBR:1.35倍

キリンHD
ROE:10.70%
配当利回り:3.30%
PER:15.44倍
PBR:1.54倍

ROEと配当利回りがキリンHDが若干良いくらいで、全体的にはあまり変わらない。なおキリンのウィスキーと言えばフォアローゼズ、サントリーはジムビーム。味的にはジャックダニエルだが、昔バイトをしていた渋谷の店のカウンターで出していたのはフォアローゼズだった。ちなみにビールでいうとスプリングバレーとギネスが、ワインだとサンライズがキリンであることまで踏まえると、ここはキリンHDに軍配が上がる。ただ、決算などを詳細に読むとアサヒの方が魅力的でもある。

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