安全衛生マガジン4月号

1.【日々安全】

【横着行為、省略行為の戒め】
 安全衛生で師と仰ぐ他社の先輩から唐突に「横着行為、省略行為を
する作業者が組み立てた貴社の商品は購入したくない」と言われた事が
始まりです。

 
 最初は何のことかわかっていなかった私は、言いにくそうにしていた
先輩から、やっとその理由を聞き出すことができました。
 
 彼はマイカーで通勤していて、私が勤める会社の従業員通用門の前の道路を
毎朝夕に通るのだそうです。東向きのこの通用門を出た当社の従業員は、
最寄りの駅に向かうため、幅2m弱の歩道を南へ8m行って。歩行者用信号に
従って横断歩道を東に渡ります。
 歩行者用信号に余裕がある時はいいのですが、青信号が点滅し出すと、
先輩の車など南行き車両が信号待ちしているのをいいことに通用門を出て
すぐ、停車している車の間を小走りで斜め横断するのです。
 
 ハンドルを握っている先輩は、前車との隙間をぬって斜め横断する当社従業員に
対して、いらいらする一方、こんなに横着で省略行為をする従業員は、仕事でも
手順や決まりに従わずに作業しているのではないかと考えたのです。
 
 早速、通用門出口に立ってパトロールしましたが、退勤ラッシュ時に多いこと、
夜遅くになってもあること、さらに、出勤時にも数は少ないものの状況は同じ
状況であることがわかりました。
 
 このことがあって、私の家の近くにある昼夜交替のビール会社ではどうか、
関心をもって見ました。ビール会社の従業員の方は昼夜にかかわらず全ての人が
工場入り口の向かいにあるバス停に行くのに、50m東にある信号付横断歩道を
迂回していらっしゃいました。
 
 斜め横断した従業員は「退社後の予定があってつい急いでいたので。仕事では
手を抜いたことはありません。」などと釈明煤でしょうが「信号待ちを省略し、
斜め横断する横着行為は。一度うまくいくと習慣化して、そのうちに取り返しの
つかないことになる」と安全教育で言っている私は、この横着行為、省略行為が
顧客当社商品に対する信用をも著しく傷つけていることを思い知らされました。
 
 当社商品の顧客の一人である先輩の貴重な忠告を真摯に受け止め、早速、社内に
「工場通用門出口での斜め横断の戒めを、ビール会社の例も併せて訴えたところです。」
 
 
出典:伊香 實次氏経験談・・「安全衛生3分間スピーチ7」(中央労働災害防止協会刊)
 
2.【日々健康】
【酒の問題に気づき、支え合うことの大切さ】
 
 酒は古くから「百薬の長」と呼ばれ、多くの人に愛されてきました。しかし、多量の飲酒は心身に
さまざまな悪影響を与えます。酒の害というと、肝臓の異常が思い浮かびますが、それ以外にも
脳卒中や心臓病、糖尿病、高血圧、がんのリスクが高まるほか、睡眠障害、うつ状態や自殺率の
増加にもつながります。
 
 研究データによると、1日あたりの酒の量は日本酒にして1合弱が最も死亡率が低く、それ以上の
飲酒量では量が増えるにつれ、がんや心疾患、外傷にとどまらず死亡率全体が高くなるという結果が
示されています。また、アルコール依存症に陥ってしまう危険性もあります。日本では問題のある飲酒
習慣を持つ人は推定860万人、また440万人の人はアルコール依存症が疑われると言われています。
 
 ここでAさんのお話しをします。Aさんは現場で長く機械の操作を担当されていました。また、以前から
酒豪として名が通っていました。健康診断では何度も肝臓異常や高血圧を指摘され、都度、保健師や
産業医から、「お酒はほどほどに」と指導を受けていました。しかし、お酒の量は減るどころか増える
一方で、酒臭い状態で出勤したり、ミスでラインを止めたり遅刻や突然の休みが増えたりと、とても
仕事を任せられる状態ではありませんでした。
 管理者や同僚、保健師や産業医が、家族とともに、「家族だけでなく、職場のみんなも心配している
こと」、「このままでは仕事も家族も命も失ってしまうこと」、「酒を一滴も飲まない状態を続けること」、
「専門家の治療を受けること」をAさんに何度も伝えたところ、最後にAさんから「家族のためにもう一度
頑張ってみる」との言葉がありました。
 
 その後も職場では声かけを続け,Aさんは文字通り一滴のお酒も飲まなくなりました。すると、
遅刻や欠勤はなくなり、眼にも生気が戻り、現場でもかつての熟練の技を振るっています。きっと、
家族や職場の支え、何よりもAさん自身の決意がなければ、悲惨な事態に陥っていたことでしょう。
私はこの事例から、一人ひとりが酒との正しい付き合いをよく知ること、酒によるミスやトラブルに
周囲が早く気づいてあげること。そしてみんなで回復を支えることの大切さを痛感させられました。
 
 なお冒頭の「酒は百薬の長」は、前漢を滅ぼした王莽(オウモウ)の命令に由来しています。
取り上げた酒の効能は「このように素晴らしいものは国が管理します」という専売化の口実で
あったそうです。
そのせいかどうかその王朝は反乱のため一代で滅亡してしまいました。
 
 

 
 
出典:山瀧 一著・・「安全衛生読みたい話、伝えたい話」中央労働災害防止協会刊
 
 
3.【日々生活】
 【なぜ、「一番大事なもの」まで犠牲にするのか】
 
 あなたはこれから先、他人の意思に左右されて生きていく必要はない。まして、他人の犠牲になって
生きていく必要など、さらさらないはずだ。
 
 けれど、誰の犠牲にもならず、他人に左右されずに自分の意思を貫いて生きていくためには、なによりも
まず、自分自身をしっかり見つめなければならない。そして、自分の心をあやつる糸が他人の手によって
勝手に引き回されている現状の数々を、はっきりと認識しなければならない。まるであやつり人形のように
生きてきた自分を、見つめなすのだ。
 
 他人の意のままにはなるまいと決意したからといって、ただ単に自己主張すればいいということではない、
自己主張の方法やテクニックについて書かれたものを丸暗記しても、何の役にも立たないのである。
 また、あなたの行動に異を唱え、あなたをまるめ込もうとする相手に対して、食ってかかるjことでもない。
要はそれ以上の、しっかりとした個人哲学を身につけておかなければならないということだ。
 
 誰でも知っていることだが、この地球という惑星では、人間同士が互いに相手を支配しようと日夜絶え間なく
争い続けている。事あらば支配してやろうと、手ぐすね引いて待ち構えている。そして、人間はこの支配という
行為を、実に巧みに行う独特の制度をも開発してしまった。
 
 しかし、この制度に甘んじて、他人に支配されるがままに生きているのならば、あなたは結局は犠牲者に
過ぎないことになる。自分の気持ちに反して他人の意のままに動いたり、人並みな判断力をそなえながら
人に支配されるのは、やはりみじめなことだからである。
 
 みじめな犠牲者にならないことも、また逆に犠牲者を強いる加害者にならないことも、やろうと思えば
できることなのだ。ただそのためには、この短い人生の間にあなたが自分自身に何を期待しているのかを
しっかりと再認識しておく必要がある。
 
 そのうえで、まず「他人の意志のままになる犠牲者」には決してなるまい、と強く決意することだ。
そして、自分が今、そのような犠牲者としてどのような行動をとっているかを見つめてみよう。
 
 
 
出典:「頭のいい人」はシンプルに生きる・・ウェイン・W・ダイヤー著 渡部昇一訳 三笠書房より

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