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【3社連動企画】いろいろ裏話・CREATIVE SURVEYサイトリニューアル解説:代表編

フォーデジット代表の田口です。フォーデジットは、デジタルデザインの会社で日本・タイ・ベトナムに展開しています。同時に、リサーチ領域にも早くから着手し、その結果「クリエイティブサーベイ」というSaaSサービスを展開し、今はSansanと一緒に経営しています。今回、業界では有名なシフトブレインベイジの2社にクリエイティブサーベイのWebリニューアルをお願いしたので、田口含めた3社+αの対談を裏話的に公開します。

そもそもタッグを組んでもらうのがレアなので、発注側としての観点と、受注側としての観点の両方が入っております。参考になれば!

今回は3社+αの連動企画コンテンツです!

クリエイティブサーベイ・シフトブレイン・べイジ・田口という4者の立場からプロジェクトを振り返るという企画です。それぞれの記事はこちらになりますので、あわせてご覧ください。

【3社連動企画】CREATIVE SURVEYサイトリニューアル解説
クライアント編(クリエイティブサーベイ)
クリエイティブ編(シフトブレイン)
戦略設計編(べイジ)

まずは福岡に集合

まずはそれぞれの自己紹介です。

株式会社フォーデジット/クリエイティブサーベイ株式会社 代表取締役 田口 亮
2002年にフォーデジットに入社。その後、代表取締役に就任。大手企業Webサイトを中心にディレクション・クリエイションを数多く手がける。2014年より、クリエイティブサーベイの代表取締役も兼務。UXデザインエキスパート。HCD-net評議委員。

株式会社シフトブレイン 代表取締役 加藤 琢磨
1977年長野県生まれ。大学卒業後そのままフリーのデザイナーとして活動し、2005年に株式会社シフトブレインを設立。ONE SHOW、Webby Award などの広告賞受賞後、現在はクリエーターたちの新しい働き方と、デジタルコミュニケーションの可能性を日々模索中。たまたま枌谷さんと同じタイミングで同じ福岡へ移住。

株式会社ベイジ 代表取締役 枌谷 力
ベイジ代表。大阪出身。1997年にNTTデータ入社。2001年にウェブデザイナーに転職。2007年にフリーランスとして独立した後、2010年に株式会社ベイジ設立。2021年にクラスメソッド株式会社のCDO(Chief Design Officer)にも就任。20年以上東京在住だったが、2022年4月から福岡に移住。

加藤さん・枌谷さんが福岡に移住しているので対談会場は福岡に。田口が合流して小料理屋「馳走や直」にて対談がスタートしました。

3人の出会いが思い出せない

田口(フォーデジット/クリエイティブサーベイ 以下、4D/CS):クリエイティブサーベイのプロジェクトでの話をしていきたいんですが、その前にもともとの出会いって覚えてます?

加藤(シフトブレイン 以下、SB):田口さんは、当時、個人で文化庁メディア芸術祭で受賞してるのを知ってから同世代経営者の集まりで初めて出会って、そこから4Dさんの社内ミーティングに招かれたりして、仲良くなっていったのを覚えてます。枌谷さんは、何かの会合で会った気がします…。

枌谷(ベイジ 以下、B):この3人で日比谷さん(※当時Sansan・現kipples)がやっていた恵比寿のBarに行ったことありましたよね?田口さんとはその時に知り合いではあったはずなんですよ。誰が紹介してくれたんだっけかなぁ。コパイロットの定金さんと飲み行きませんでしたっけ?

加藤(SB):あーー思い出した!海鮮食べましたよね?こじんまりとした雰囲気のあるお店で。あれが最初でしたっけ?

田口(4D/CS):全然、覚えてない(笑)。いつの間にか、オフィス訪問したりたまに飲みにいったりという感じになりましたね。
他に業界内で意識してる会社とか、たまに一緒に仕事をするという会社とかってありますか?

枌谷(B):クライアントと直で仕事することがほとんどなので、マーケ系とかSaaS系の会社のつながりが多いんですよね。本当はもっとクリエイティブ系の会社とも絡みたいんですけど。パートナーとして仕事をお願いすることもたまにありますが、多くはないです。

加藤(SB):うちもパートナーとして絡むのもありますが、何度か別の会社さんと一緒に仕事をしたことあります。けれど周りの話を聞くと難しいケースが多いみたいですね。フォーデジットさんは結構周りと一緒にやってるイメージがありますがどうですか?

田口(4D/CS):そうですね。一時期は制作の枠組みで色々とやってましたけど、今はでかいプロジェクトにコンサル領域から入るのが多くて、SIerさんとの座組みが多いですね。

タッグを組むという話を聞いてどうでした?

田口(4D/CS):そもそもクリエイティブサーベイの課題としてマーケとブランド両面があったんです。シフトブレインはデジタルブランディングというイメージがあったし、ベイジはBtoBマーケというイメージがありました。加藤さんと枌谷さんが同じ時期に福岡移住したと聞いて「もしかして?」みたいなのがあったんですよね。

枌谷(B):加藤さんが福岡で住まいを探してる所が僕の家のとなりの地区でしたね(笑)。福岡で距離が縮まる前からアプリのUIのようなものをシフトブレインさんが手がけたらどうなるのか、といった興味はすごくありました。

加藤(SB):僕も福岡移住や創業地など共通項が多く、不思議な縁を感じていました。会社としても、ベイジさんは強みが明確で、しかもシフトブレインとは異なる領域が強い会社なので、いつか一緒に仕事したいと思っていました。

枌谷(B):クリエイティブに強い会社と一緒にやりたいという気持ちはありました。ただ、どこでもいいという話ではなくて、ロジカルな部分とクリエイティブを両立した会社という意味ではシフトブレインさんぐらいしか思いつかなかった。

田口(4D/CS):実際、僕からクリエイティブサーベイのリニューアルを2社のタッグでお願いしたい、というのを聞いてどうでした?

加藤(SB):田口さん「仕掛けてきたな~!」と思いました(笑)。こういう話がなければ、ベイジさん忙しそうだし受けてくれないのではと(笑)。

枌谷(B):何も迷わずに「やりましょう」って答えましたね(笑)。「やっと一緒にやれる機会が来た」って。でも、こういう話って最初は盛り上がってもなかなか実現しないことが多かったりするじゃないですか。だから最初は話半分で聞いてたところもあったんですけど、会話を重ねるごとに実現しそうな雰囲気が出てきて、本腰入ってくるような感じでした。

メンバー同士が抱いたそれぞれの緊張

田口(4D/CS):実際に始まるとなった時、最初は3人で話したと思います。

枌谷(B):まずは各社の役割分担の話を慎重に決めないと、というのが最初にありましたよね。

加藤(SB):そうでしたね。見積り云々の前にまずその話をしましたね。

田口(4D/CS):最初のキックオフの時はどうでしたか?クリエイティブサーベイ、ベイジ、シフトブレイン、フォーデジットの田口もいるし、人数も多くていつもと違う雰囲気があったと思いますが、メンバーの皆さんはどんな反応でした?シフトブレインのメンバーは知ってる人も多いんですが、どこかで緊張感があったような気がします。

加藤(SB):現場のスタッフがいつもと違う緊張感を持っていたのが印象的でした。始まる時は「面白そう」って言ってくれるメンバーもいる一方で、いつもと違う座組に少し戸惑いというか警戒みたいな雰囲気もありました。ベイジさんはどうでしたか?

枌谷(B):うちはあんまりシフトブレインさんへの警戒とかはなかったです。むしろデザイナー陣の中には「自分も絡みたい」って言ってくれる人もいたり、シフトブレインさんと一緒に仕事できることに舞い上がってたような気がします。

加藤(SB):いや〜それは本当にありがたい話ですね。

枌谷(B):キックオフの場に関しては、シフトブレインさんのメンバーに対してより、クリエイティブサーベイさんの顔ぶれに対しての緊張感の方が強かった気がしますね。期待に応えられるアウトプットを出せるのか、という不安はあったと思います。

田口(4D/CS):実際始まってからはどうでしょう?ある種、それぞれのやり方をお互いが体験する感じにもなりますし。クリエイティブサーベイとしては、2社がうまくやってくれないと困るという立場でもありました。

加藤(SB):実際始まってからは、ベイジさんとの仕事が初めてなので「”あの”ベイジさんはどう進めるのか?」という緊張感はありました。これまで体験したことのない進め方やフレームワークに刺激を受けていたと思います。

枌谷(B):ベイジにとっては、いつも我々がつくってるワイヤーフレームが、シフトブレインさんがどう料理するとどうなるの?というのが現場のもっぱらの関心でした。うちはベテランのデザイナーが多いわけではないので、シフトブレインさんが出すアウトプットやプレゼンテーションなんかは本当に刺激的だったし勉強になりましたね。

加藤(SB):序盤戦をベイジさんが仕切る中で、いつシフトブレインのターンが回ってくるのか、その時のために何を準備しておくべきか、という緊張感はしばらくありましたね。実際始まってみると「おおお、これが噂の!!」という瞬間が何度もありました(笑)。役割分担をしたことでとにかくインプットをしないといけないので、メンバーにも事前に資料を読み込むように指示したりしてました。やってることはいつもの案件と大きくは変わらないんですけど、やり方が違うのでメンバーも興味を持っていたと思います。
普段はやらないんですけど、担当メンバーと、プロジェクトにおける不安な点を早めに潰すようなリスク回避MTGを実施したりしてました。

普段は、今回ベイジさんが担当しているパートも含めて、案件に係る全てのメンバーが集って議論を重ねて形にしていくのが僕らのスタイルなんですが、今回はそのプロセスを踏まないまま進めていたこともあって、プロジェクト初期のどこかで、少し歯車が噛み合わなくなってきたなと感じる瞬間があったんですよね。

遠慮が生んだ「距離感」をどうやって縮めたか?

田口(4D/CS):加藤さんから「ベイジさんからもらったワイヤーをどこまで尊重すべきか?どこまで壊していいのか?」みたいな相談をもらいましたよね。進めていく中で少し遠慮というか、難しさを感じながら進めていた時もあったと思います。プロジェクトを進める中で苦労したことはありました?

加藤(SB):社内メンバー同士であればツーカーの間柄なので、細かい調整をその場で加えたりするんですけど、ワイヤーフレームをデザインにして提案するまでの流儀がベイジさんと違うのはわかっていたので、その辺りで気を使ってしまっていましたね。

枌谷(B):うちも実は同じで「シフトブレインさんの邪魔をしちゃいけない」という空気感があったと思います。現場スタッフも少し萎縮して、シフトブレインさんとの距離感をつかむのに苦労していたように見えました。つまりお互いに遠慮しすぎていたってことですね。

田口(4D/CS):同じ職種なのに、会社が違うってだけで遠慮しちゃうものなんですよね。その距離感を突破したきっかけは現場メンバー同士の分科会でしたよね?そうやって少しずつ現場メンバーがやりやすい環境ができていった。

枌谷(B):そうですね。定例MTGは議題とタイムラインがビシッと決まっていて、現場メンバーが細かいところまで会話できる場ではなかったのかもしれませんね。

田口(4D/CS):つまり、この3人が居ない場が大事だったと?(笑)

加藤(SB):確かに!(笑)

枌谷(B):あまり慣れてない場で、しかも自分の会社の代表がいるとどこか緊張感が生まれますよね。

加藤(SB):僕の意図としては、現場メンバーではやりづらい調整ごとや議論を円滑に進めるために見守ろうという思いで参加してたんですけどね。

枌谷(B):トップダウンの案件だったということもあってついつい関わり過ぎてしまったんですけど、現場に任せた方がうまくいくのかもしれませんね。

プロジェクトを通しての学びや今後の可能性

田口(4D/CS):発注側としては、お二人が居る時と居ない時の違いはありました。特にMTGでなかなか伝わらない経営者としての意志の部分や、言葉としてまとまりきらないこともあって、その時に要点を正確にキャッチしてくれるので、安心感があってありがたかったです。

加藤(SB):MTGの中で『枌谷さんしか見てない視点』がしっかりあって、枌谷さんがポロッということが重大なヒントになったりするようなことが何回もありました。

田口(4D/CS):トップがいると発注者としてはありがたいけど現場はやりにくくなると(笑)。とはいえ、今回のようなプロジェクトを一度経験すると、その後は違和感なく協業もできそうに感じますか?

枌谷(B):最終的にはすごい密な関係になれて、このプロジェクトだけで終わるのはすごくもったいないですよね。

加藤(SB):協業する会社と自社の『強みとそれぞれの役割』をしっかりと理解できていれば、実はさほど大きな障壁はないんだなとも思いました。

枌谷(B):あと両社にそれぞれPMを立てたのは正解だなと思いました。どちらかの会社から、プロジェクト全体を仕切るPMを置いてしまうと微妙なバランスが崩れてうまくいかなかったような気がします。

田口(4D/CS):そうですね。どっちかが上、その下、という関係性の座組みだとやっぱり商流上の責任関係が出ちゃうので、どこかでバランス悪くなると思います。今回は別発注でしたし。それぞれの見積りと工数にストレスがかからない座組みだったと思います。

加藤(SB):やっぱりキックオフ時に役割分担を明確にしておくのが大事ですね。あとは、社長はMTGに出ない方がいいってこと?(笑)

発注サイドから見る期待と成果

加藤(SB):今回、田口さんは、クリエイティブサーベイの代表として発注する側の立場ですが、SaaS企業としてこのタッグに期待していたこととか、実際の心境ってどんなだったんですか?

田口(4D/CS):大抵のスタートアップはそうだと思いますけど、クリエイティブサーベイもまだまだ投資フェーズで、どうにかして顧客を増やして継続率を上げ売上を積み上げていかないといけないフェーズなんです。当たり前ですが売上へのつながりが見えやすいものに優先して投資したいという気持ちがあります。Webは重要なチャネルですが広告のように瞬発力のあるものではなくて、継続的に数年かけて使うものなので、投資対効果という意味では本来成り立ちやすい。

枌谷(B):そうですよね、その割にはあまりお金をかけない企業も多いですよね。

田口(4D/CS):とりあえず安くサイト作れる?みたいな会社もありますよね。クリエイティブサーベイとしては、そういうKPIへのパイプラインの改善と、ブランド・サービスとしての認知や採用などを考えると、今回のようなサイトリニューアルへの投資が合理的になると至りました。

枌谷(B):SaaS業界に関わらずBtoB事業におけるWebサイトはあくまでも営業ツールのひとつで、Webサイトに辿り着くまでのプロセスや全体の戦術への理解がないと難しいと思っていて、そういった部分で今回我々は力を発揮できたと思います。

加藤(SB):実際ロンチ後の成果としてはどうです?

田口(4D/CS):ロンチして1ヶ月程度なので、まだ目に見える成果という意味では出ていません。一時的なトラフィックの影響も少なくて良かったですし、広告配信の最適化なども時間がかかるから数字の成果という意味ではこれからですね。
あと、こういう座組みだからこそですが、どうしてもデザイン系まとめサイトに載ってしまうので、そこ経由でトラフィックが増えてしまうので事前の注意が必要ですね(笑)。

加藤(SB):最近こういうチャレンジングな座組の大型案件ってなかった気がするんですよね。ベイジさんとシフトブレインが組んで、しかも田口さんが声をかけたんだ!って、この記事を色んな人に読んでもらって業界に一石を投じれるといいですね。そしてこういう、同業の会社同士が強みを活かし合った座組みのプロジェクトが、もっと増えていく流れが生まれてほしいです。


対談を終えて

デジタルデザインを提供するフォーデジットと、アンケートプラットフォームを提供するクリエイティブサーベイの両社の代表である立場から今回の対談をさせてもらいました。

シフトブレインの加藤さんも触れていますが、デジタルの顧客接点やDXが広がっていけばいくほどフリーランスも含めて各社それぞれの強みを生かしたり、今までにない座組みが増えていくと思います。協力しあえる適切なチームを作れるかが大事だと思いました。

発注側としての体験もある

今回クリエイティブサーベイとして発注側の立場でした。

一時期と違ってWebサイトをただ納品するのではなく、サービスそのものから並走するパートナーや、マーケの相談ができたり、ブランドそのものの相談ができる会社も多くなっています。ものづくりの領域もフロントエンド技術、チャネルごとの表現の手法、デザインシステム、ソース管理方法なども含めて、デジタル業界はものすごいスピードで変化しています。担当者のリテラシーだけではカバーしきれない領域が広がっていたりしますので、あまり固めずに早めに専門家に相談した方が正解に近くなるように感じます。フォーデジットも含めて僕が知る限り、なんとか力になろうと動いてくれる会社さんが多いですし、発注側としては「手伝いたいと思われるブランド」でありたいと思います。

というわけで、今回の記事が何かの参考になれば幸いです!

改めて今回は3社+αの連動企画コンテンツです!

クリエイティブサーベイ・シフトブレイン・べイジ・田口という4者の立場からプロジェクトを振り返るという企画です。それぞれの記事はこちらになりますので、あわせてご覧ください。