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Jリーグマッチレビュー⑱J1第15節 川崎vs湘南【王者のサッカーを見に職場近くの等々力に仕事終わりに行ってみたの巻】

さて、今回はJ1第15節の川崎フロンターレvs湘南ベルマーレのマッチレビュー書いていきます。

今回、なぜこのカードを選んだのかというと、実は私、職場が川崎の本拠地・等々力陸上競技場の最寄り駅の武蔵小杉の近くで。徒歩だと30分ぐらいはかかるんですが、せっかくなら行ってみようと。
一応、以前に買った川崎のユニフォームとかタオマフは一通り持っているので、それを活用しつつ観戦に行ってきました。

今回の観戦ユニフォーム

2017年 1st(⑭中村憲剛)

今回の観戦ユニフォームは、2017年の1stユニフォーム。そう、川崎がはじめてリーグ優勝を成し遂げたときのユニフォームである。ちょうど優勝が決まったあと、記念にと思ってチームの象徴、中村憲剛のものを購入した。

このユニフォームのテーマは、2017年シーズンのキャッチフレーズと同じく『Paint it Blue 』。節目となる20周年を経て、クラブがまた新たな一歩を踏み出すにあたり、もう一度初心に戻り一体感のある雰囲気を作り上げるための象徴となるようなユニフォームを目指して、1stユニフォームにはクラブ初となるフロンターレブルーを全身に配色したデザインを採用したものである。

本日のメンバーと見どころ

川崎フロンターレ

予想フォーメーションは4-1-2-3。
前節からの変更点は、最終ラインに前節🟥で退場となり出場停止の谷口彰悟に代わって山村和也が車屋紳太郎とCBのコンビ。中盤の3名は全員入れ替えで、シミッチ、瀬古樹、小塚和季に替えてボランチに橘田健人、攻撃的な位置に脇坂泰斗と遠野大弥が入った。3トップにはCFが知念慶に替えてレアンドロ・ダミアン、左WGが小林悠に替えてマルシーニョが入った。

リザーブのメンバーは前節スタメンだったメンバーとGK丹野研太はそのまま入り、外れたメンバーの谷口と小塚に替わり、CBの控えで高井幸大、攻撃的MFとして宮城天が入った。

前節はアウェーで鳥栖と対戦。鳥栖に主導権を握られる川崎らしからぬ展開や、主将の谷口彰悟が🟥で退場となるなどのアクシデントがありながらも、結局耐えてスコアレスドロー。一人少なくなってからも攻撃の姿勢は崩さなかったところは王者川崎らしいとも言える。

注目選手は山村和也。谷口彰悟の出場停止を受けて代役として最終ラインに入る。ボランチなどもこなせるポリバレントかつ、その高さはセットプレーの得点源ともなり得る男は、代役以上の働きを見せられるか。

湘南ベルマーレ

予想フォーメーションは3-1-4-2。
前節からの変更点は中盤が3人。ボランチの田中聡に替えて米本拓司が入り、2シャドーの山田直輝、茨田陽生に替えて池田昌生とタリクが入った。
FWは前節2発の町野修斗の相棒として、瀬川祐輔に替えて大橋祐紀が入った。

リザーブは前節スタメンでベンチからも外れた田中に替わり高橋諒が入ったのみ変更となった。

前節はホームで17位神戸との「裏天王山」。
ホームでは未勝利だったが、相手の隙を見逃さなかったFW町野修斗の2ゴールや、終盤のGK谷晃生の再三のファインセーブで勝ち点3をつかみホーム初勝利を飾った。最下位を脱出した勢いに乗って等々力での神奈川ダービーを迎える。

注目選手は守護神・谷晃生。圧倒的な攻撃力を誇る川崎の攻撃を終始耐える展開が予想されるが、前節同様ファインセーブの山を築くか。また東京五輪後、継続的に呼ばれていた日本代表から漏れた悔しさもこの試合にぶつけたいところだ。

前半

前半最初のチャンスは湘南。5分にタリクが前線へスルーパスを送ると、FWの大橋祐紀が反応。DFを追い越し、ペナルティエリア右からシュートを放つが、川崎GKチョンソンリョンに阻まれる。

このシュートから徐々に湘南がペースを握り始める。2トップの大橋を基点に、相棒の町野修斗や、シャドーの池田昌生とタリクのコンビがチャンスを生み出し始めるも、ラストパスの精度のみ欠き、5分の決定機、そして32分にドリブルで持ち上がった池田のスルーパスから裏へ抜け出した大橋のシュートがまたもチョンソンリョンに防がれたシーンの2つの場面ほど、ゴールに近い場面はなかなか生まれない。

川崎は珍しくペースを握られる展開となるが、カウンターのチャンスでは随所にらしさを見せる。前線は左WGのマルシーニョのスピードを生かし、トップ下のポジションの脇坂泰斗と遠野大弥が走り回りシュートチャンスを作り出す。

湘南は前半42分にDFラインの一角の山本脩斗が足を痛めてしまい、舘幸希と交代。
前半終了間際には川崎がパスワークから家長昭博がミドルを放つも湘南GK谷晃生の正面。結局互いにゴールは割れずスコアレスで折り返す。

後半

互いに選手交代はなし。
ここから前半に割とペースを握れていた湘南が一気にギアを上げる。

後半5分、右サイドの畑大雅がクロスを相手に当てて得たCKのチャンス。杉岡大暉がファーサイドへ蹴ると、待っていた町野修斗がヘッド。左隅に吸い込まれ湘南が先制する。
さらにその4分後。湘南は自陣左サイドからのロングパスからのカウンターを開始すると、そのパスを受けたタリクが味方とのワンツーで左サイドへ。キープで時間を作ると追い越した左サイドハーフの石原広教へ渡し、石原広教がクロス。湘南の人数が数的優位のエリア内でフリーで待っていた池田昌生のヘッドが決まって2点目。あっという間の追加点。

川崎は慌てて12分に遠野大弥、佐々木旭に替えて瀬古樹、ジョアン・シミッチを投入するも湘南の勢いは止まらない。
15分に車屋紳太郎のドリブル突破からのパスをカットすると、4人がかりで一気にカウンター攻撃。構図として3対1の優位な展開に持ち込むと、ペナルティエリア手前まで持ち込んだ大橋祐紀から左にいた町野へ。あとはもう流し込むだけの状態で落ち着いて決め3点目。町野は2試合連続の2発と決定力を見せつけた。
さらにそのゴールからのキックオフで川崎がハーフウェー付近の左サイドへ展開したところからさらに奪ってカウンター。大橋のスルーパスにタリクが反応すると落ち着いてチップキックで浮かして決めて0-4。わずか11分間で4得点の衝撃と湘南の集中力は見事。

一点でも返して王者の意地を見せたい川崎は21分にマルシーニョ、家長昭博、脇坂泰斗に替えて宮城天、知念慶、小林悠のFW3枚を投入。
26分にはペナルティエリア手前で小林がボレーを放つも右にシュート回転して枠外。その一分後には左サイドでボールを受けた宮城がカットインしてそのまま強烈なミドルを放つも谷晃生が指先で触ってゴールならず。
その後もクロスなどを放つシーンは生まれるも、惜しいチャンスには至らず。湘南DFの粘り強いディフェンスにも苦しんだ川崎は最後までネットを揺らせず0-4で試合終了。17位湘南が王者かつ今季も首位を走る川崎に大勝する結果となった。

ざっくり感想

川崎フロンターレ

圧倒的な勝率を誇るホーム等々力でまさかの4失点での敗戦で首位陥落。攻撃陣も鳥栖戦から2試合連続の無得点とトーンダウン。誰も予想できなかった展開となってしまったが、いつもの王者・川崎とは違ったなと感じた予兆はあった。

前半の攻撃に関しては、左サイドのマルシーニョの突破力や、脇坂泰斗の質の高いパスと広い視野を生かした展開力、どこにでも顔を出す橘田健人の運動量など随所に個々の良さはあったが、王者らしいテンポの良いパスワークやサイド攻撃は見られず。
時に後方からのロングボールをマルシーニョに渡し、打開するといったなかったところ(その戦術を批判するつもりはない)に、いつもと違うかな、という異変を感じた。

さらには自陣でボールを回される場面が多く、なんとか前半は相手のラストパスやクロスの精度の低さに助けられ、車屋紳太郎や佐々木旭といったところは裏へのボールになんとかスピードで対応する、といった印象だった。

後半に入ると11分で4失点という結果が象徴されるように、人数をかけ、出場停止や怪我人などで普段とは違った顔ぶれとなったディフェンスラインに生まれたスペースをしつこくついてくる湘南の攻撃を繰り返し受けてしまい守備が崩壊。相手の攻撃陣をフリーにさせてしまう場面も目立ち、疲労の蓄積で足が止まっていたのも湘南に見透かされていたか。
鬼木監督も試合後にコメントしたように、集中の糸が切れてしまったように見えた。

今季の守備は、シーズン通してみると必ずしも不安定と一概には言えないが、負けた試合での4失点は今季3度目。負けるときには悪い流れを断ち切れず一気に崩れてしまうのが今季の課題だ。ACLや日本代表に選ばれた選手の過密日程の疲れが後半にも出ているところは同情の余地はあるが、1つここで出た課題を前向きに捉え、3連覇への険しい道のりを止めずに戦っていきたいところだ。

湘南ベルマーレ

王者相手に後半の11分間で4発という衝撃とクリーンシートで、アウェー等々力では7年ぶりの勝利。17位に低迷しているとは思えない勢いのつく勝ち方で神戸戦に次いで今季初の連勝となった。

前半から王者相手に攻勢を強め、敵陣でボールを回す時間帯が長かったが、ラストパスの精度を欠きネットは揺らせず。ここまでの攻撃の流れは悪い意味で「今年の湘南」を象徴する展開だったが後半に変貌。
セットプレーからの先制点の後は川崎守備陣のスペースをこれでもかと突いてのスピーディーなカウンターを繰り出しての3発。2トップの大橋裕紀&町野修斗、2シャドーの池田昌生&タリクの各コンビと縦関係のボールを奪ってからのスピードは脅威かつ素晴らしかった。

守備面でも強力な攻撃陣に対して集中力を切らさず無失点で耐え抜いたことは今後につながるもの。複数人で球際に対して激しくボールを奪い、4点を奪ったあともカウンターから惜しいシーンにつなげたところは湘南らしい伝統の走るサッカーが垣間見えるものだった。

4点を奪った後に余計な🟨を複数枚もらってしまったことは反省材料だが、他会場で思うように勝ち点を伸ばせなかった下位クラブへ大きなプレッシャーをかけた得失点+4での勝ち点3。順位こそ変わらず17位だが、この大きな成功体験を自信にしたい。まずは降格圏を脱出するために、そしてこの勝ちが偶然だったと言わせないためにも、次戦のホームでのC大阪戦が大切な一戦となる。

MOM

町野修斗(湘南FW)


神戸戦に続いての2試合連続の1試合2発はクラブ史上2人目の快挙。今季合計6ゴールとなり、J1での自己記録も更新した。基点となりポストプレーを柔軟にこなした前半、そして相手の隙を見逃さず2点を奪って決定力を見せつけた後半と、前線で申し分ない働きを見せた。

個人的には2トップの相棒の大橋祐紀がポストプレーヤーとしてうまく時間を作れていた事により、特に後半、彼を追い越す動きも含めてフィニッシャーとしての動きに専念できるようになった印象。得点力不足が課題となっていたチームにおいて、その決定力でさらにチームを救う活躍を期待したい。

アウェー席を埋めた湘南サポーター。試合前のペンライトの色がかなりきれいでいい光景だった

ホーム視点で見てみた等々力
王者が愛される満足度の高さがそこにあった

さて、試合はまさかの展開となってしまったが、職場から近いという理由だけではなく、もともと川崎の試合当日のイベントだったり、「等々力劇場」と言われる熱狂ぶりを一度は体感したいと思っていたので、ざっと流れと感想を書いてみる。

等々力のメインスタンドを外から。結構な大迫力

仕事がギリギリだった都合上、職場からタクシーで等々力へ向かい、公園のような広いスペースに数多くのスタグルがある。通称「フロンパーク」でさくっと買って、初の川崎側の応援席へ。

長崎でお馴染みの角煮バーガー。大変お世話になっています。最近は日産など、V・ファーレン長崎とは関係ないところでの出店も増えてきた
川崎のマスコット達のふわふわ(?)ちゃんと日にちが書いてあるのでフォトスポットにもなるのはいいなと思った


川崎の応援ブロックは他とは違い、ゴール裏ではなくTV中継の視点から見てメインスタンド向かって左側のコーナーフラッグ付近である。他クラブだと仙台、水戸、福岡などもこの位置である。

だいたいこのあたり。なのでよくTVで中村憲剛がCKからのチャンスでサポーターを煽っていたのを見たことがある

この日は来季加入の川崎ユース出身の山田新、そしてセルティックでリーグ制覇を掴み取り帰国中の旗手怜央が挨拶にやってきた。

来季加入の山田新。川崎でユース時代を過ごし桐蔭横浜大学を経由しプロの舞台で再び川崎に戻ってきた。三笘薫も大学は違えど似たような系譜である
何故かパイナップルを渡されていた旗手怜央

そして川崎の応援席がいいなと思ったのは、屋根が絶妙にスタンドと被っているので、手拍子の反響がすごい。割とフクダ電子アリーナ(千葉)なども似ている。サポーターが多いところだと、余計にその効果が実感できて結構楽しい。
ハーフタイム中は、マスコットもやってくるし、近いので見ていてこちらも楽しい(笑)

ふろん太さん。相変わらずの肩のいかつさ
最近結婚したことでも話題のカブレラ
コムゾー。この日はイッツコムがマッチスポンサーということもあり気合が入っていた

そして、試合は大敗となったが、川崎のサポーターの手拍子は止むことがなく、試合後も大きな拍手。王者の余裕も感じたし、罵声とかもまったくない暖かさも感じた。
個人的にはかなり満足感はあった今回の観戦。まだ水曜や土曜に試合があるので、今度はより見やすそうな迫力のあるメインスタンドでも見てみたいと思った。


試合結果

川崎0-4湘南
得点
【湘南】町野修斗(後半5分、後半15分)、池田昌生(後半9分)、タリク(後半16分)
🟨
【川崎】知念慶(後半45分)山根視来(後半45+4分)
【湘南】瀬川祐輔(後半20分)、山田直輝(後半21分)、大岩一貴(後半31分)

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