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Jリーグマッチレビュー⑭J2第13節 山形vs長崎【いざ東北2連戦!初山形で矛盾対決】

さて、今回はNDソフトスタジアム山形で行われたJ2第13節、モンテディオ山形vsV・ファーレン長崎のマッチレビュー書いていきます。
J2はゴールデンウィーク中は怒涛の5連戦。その3戦目。長崎はここで山形、岩手と東北2連戦が組まれており、今回参戦を決意しました。ここまで長崎の試合で遠征するのは2019年の新潟以来。開幕直後は不振だったが徐々に調子を上げて来ている長崎。しっかり2戦ともに勝ち点3が取れるように後押しを。

今回の私の観戦ユニフォーム

2019年2ndユニフォーム

今回の観戦ユニフォームは2019年の2ndユニフォーム。この年はアウェーの山形戦ではこのユニフォームで、そして私が金沢遠征に行ったときはこのユニフォームでともに勝利している相性を考慮してこちらに。
このユニフォームはV・ファーレン長崎の”V”、”Victory”の”V”をモチーフに、その”V”を胸に刻み、常に勝利に対し貪欲に、そして飽くなき闘争心をもって、勝利を掴み取ってほしいという想いが込められている。

本日のメンバーと見どころ

モンテディオ山形

予想フォーメーションは4-4-2。
前節からの変更点はMFが二人。ボランチの小西雄大の相棒が藤田息吹に代わり南秀仁が入り、2列目の左サイドには河合秀人に代わり加藤大樹が入った。前線の2トップはデラトーレに代わり藤本佳希が入った。
サブのメンバーには木戸皓貴が外れ、チアゴ・アウベスが入った。

前節は徳島とアウェーで対戦し、昨年まで徳島に在籍していた小西雄大の恩返し弾が炸裂し勝ち点3。現在は13位だが、4月は3勝1敗1分というシーズン序盤の不振から徐々に上り調子になっていることを証明する戦いぶりで乗り切った(誤審で延期が確定しているが敗れた岡山戦も含む)。

今回は堅守が光る長崎との1戦。攻撃力が売りのチームとしては、長崎の個の力に警戒しつつ相手の堅守に真っ向から挑みたいところ。勝てば順位もひっくり返せる。昨シーズンはシーズンダブルも食らっている悔しさも晴らしたい。

注目選手は山田康太。今シーズンユースを過ごした横浜FMから決意の完全移籍。相変わらずの存在感を見せている。特にアウェー町田戦で見せた圧巻のドリブルシュートからのゴールは素晴らしかった。今日も「ハマのプリンス」改め「ヤマのプリンス」が攻撃を牽引する。

V・ファーレン長崎

予想フォーメーションは4-4-2。
スターティングメンバーは前節の水戸戦と同じメンバー。ベンチ入りメンバーは五月田星矢に代わって奥田晃也が入った。

前節はホームで水戸と対戦。前半にCKからエジガル・ジュニオがヘディングで決めた1点を、GK富澤雅也の好守連発もあり守り切った長崎らしい勝ち方だった。
現在11位。4月の成績は山形と同じく3勝1敗1分けとこちらもシーズン序盤の不振から、持ち味の堅守で勝ち切る試合も増え調子を上げている。昨シーズンはシーズンダブル。2試合とも中3日の今回と同じ境遇であげた勝利だったことも後押しとなりそうだ。

注目選手は植中朝日。昨シーズンのホームゲームでは山形相手にプロ初ゴールから一気にハットトリックを達成。そのインパクトは強烈だった。今シーズンは怪我で出遅れたこともあり未だノーゴール。初ゴールを相性のいい相手からどんな形であれ奪いたい。

前半

雨が降りしきる中、序盤攻勢に出たのは長崎。前半10分、右サイドのクリスティアーノがサイドに空いたスペースでフリーで受けると、ペナルティエリア右隅から強烈なシュート。しかしこれは山形GK後藤雅明に弾かれてしまう。長崎はクリスティアーノのいる右サイドの箇所に割と広いスペースができてチャンスを作るも、山形は逆にDF陣が真ん中をしっかりと固めて相手FWに収めさせず、危ない場面を作らせない。
すると山形は徐々に持ち味のボールを保持して攻めていくスタイルで押し込んでいくと、前半19分。中盤から鋭い縦パスが供給されると、ペナルティエリア手前の中央で半田陸がヒールでうまくつなぎ、山田康太がそのままペナルティエリア中央に持ち込んでシュートを放つもこれは長崎GK富澤雅也に防がれる。しかしこぼれ球を処理しようとした相手に半田がうまく寄せて、ゴール前にこぼれたボールに藤本佳希が反応し押し込んだ。オフサイドのようにも見えたが判定はゴール。山形が先制点を奪う。

長崎は先制点を奪われたあともクリスティアーノを軸に攻撃を組み立てていく。25分には右サイドでボールを受けるとうまく切り返して左足でシュートするも山形DF山崎浩介のブロックに防がれる。その後もCKのチャンスも再三あったが、山形のディフェンスは高さを武器になかなか決定的な仕事をさせない集中力が際立った。前半は耐えた山形が1点リードで折り返す。

後半

互いに交代はなく後半へ。いきなり3分、クリスティアーノが持ち上がって低い弾道の強烈なミドルを放つも後藤がファインセーブ。9分にもサイドからのクロスがこぼれたところをクリスティアーノが狙うもこれは枠外。追いつきたい長崎が何度もゴールを脅かす。

山形は16分に小西雄大と國分伸太郎に代わり、藤田息吹とチアゴ・アウベスを投入し、23分には先制ゴールの藤本佳希を下げ、デラトーレを投入する。守る中でも攻撃的なスタンスは変えずに、追加点を狙いに行く姿勢を見せる。
そして前半同様、クリスティアーノに持たれてペナルティエリア付近にボールを持たれても3バックが激しい寄せで2トップに仕事をさせず、ボランチや両SBは長崎のラストパスを通させない粘り強い守りを見せる。

すると後半36分。右サイドの敵陣中央から藤田が絶妙なスルーパスをゴール前へ送る。これもオフサイドに見えたが反応したデラトーレがフリーで抜け出すと、巧みなタッチでループシュートを放つ。飛び出した富澤を越えてゴールネットを揺らし、耐えていた山形に決定的な追加点。デラトーレはバースデーゴールとなった。
追加点を奪ったデラトーレは終了間際にもCKの流れから合わせるも富澤に防がれる。追加点を奪ってからはスムーズにゲームをクローズさせた山形が2-0で勝利。好調の勢いそのままに勝ち点3を掴んだ。

ざっくり感想

モンテディオ山形

強力な個の力を持つ長崎相手に、サイドから責められても中央をガッチリ固める「割り切った」守備が奏功し、耐えた中で持ち味の攻撃も見せつけて効率よく2点を奪っての勝利。

特に最終ラインの4人の働きは大きく、CBの山崎浩介と野田裕喜のコンビは強力2トップにサイドから供給されたボールへの跳ね返し、ブロックを徹底し攻撃を寸断。強く当たりに行く身体を張った守備は素晴らしかった。両SBの川井歩と半田陸も対人守備で粘り強さを発揮。半田は先制点の流れに絡んだヒールパスの動きも実に良かった。
もちろん、守護神後藤雅明が最後尾でクリスティアーノの決定的なシュートをしっかりと弾き出し続けたことも大きい。ただ弾くだけではなく、エリア外へ確実に弾いて2次攻撃に繋げさせなかったこともセービング能力の高さの証明である。

奪った2発は2点とも映像で見るとオフサイドが濃厚だが、それを差し置いてもしっかりとやることをやった上でのサッカーをしていた。特に攻撃の選手だが、山形の選手たちは基本的なトラップやパスの精度が全体的に高く、スムーズに攻撃の流れをつなげていた。その質も含めて出来として長崎より劣っていたとも思わないし、勝ち点3に値するサッカーは出来ていたということは、判定どうこうという以前には伝えておきたい。

V・ファーレン長崎

松田監督があえて「アクシデント」と表現したオフサイド疑惑での2失点だが、それがなかったとしても勝てていたか?というとその可能性は低い出来だったことは否めない。

攻撃の出来は明らかにクリスティアーノに依存していることは否めず、彼のミドル以外にゴールを脅かす匂いがしなかったように見える。それは特に後半、クロス・ラストパスの制度の低さが目立ったことによって、自分たちでどんどん苦しくしてしまい、追加点を奪われてしまったことが勿体無い。

選手交代のタイミングにも疑問が残る。全くボールが収まらなかった2トップの交代のタイミングが明らかに遅かったことは疑問。植中朝日、エジガル・ジュニオはともにボールを収められず、クリスティアーノや加藤聖といったクロスの供給源の働きをふいにしてしまった。交代やシステム変更を早いタイミングで動けていればと悔やまずにはいられない。

それでも攻撃の時間は長く、勝ち点3を「取れなかった」ゲームではなかった。しかし厳しい言い方だが、選手交代も含めた「戦える選手と戦えない選手」の見極めの判断の遅さとパスの精度で自分たちで勝てる試合を落としてしまった残念さと勿体なさが残る試合から、勝ち点3に「値する」戦いではなかった。

MOM

半田陸(山形DF)

SBの位置で守りでは粘り強い対応、そして藤本佳希の先制ゴールにつながる効果的なオーバーラップの攻め上がりのヒールパスなど、すべてのプレーが高水準。いい意味で「若々しさがない」安定したプレーを見せた。ボールに触る回数が多いほど生き生きとしたプレーができていたことも高く評価したい。モンテディオ山形クラブ最年少の17歳でプロ契約したこともあり、気にはなっていた選手だが、そのポテンシャルの高さを見ることができた。

スタグルのポテンシャル半端ない!
NDソフトスタジアム山形体験記

あいにくの雨ではあったが、初のNDスタということで、良かった点、他のまだ行ったことのない方へ薦めたいところを書いていく(雨だったので写真が多くなくてごめんなさい)

今回は今後の旅のこともあり、友人の車での参戦だったが、スタジアム横の駐車場は大変広い。これはアウェー遠征民にとってもありがたかった。

この門をくぐるとNDスタの入り口

そして、個人的に1番このスタジアムで驚かされたのはスタグルの豊富さだ。

このマップを見て確実に4択ぐらいになるほどは迷った。イメージだと店の並びは湘南のレモンガススタジアム平塚のような感じである。迷った数や地元の名産をふんだんに取り入れているところは湘南よりも上、いや、他のスタジアムも含めて上位レベルのポテンシャルだ。

山形といえば、有名なのは対戦相手の名産品を具材として入れる「炎のカリーパン」。今回は長崎戦ということで角煮・カステラ・トルコライスが用意されていました。私はやはりいつもまんじゅうとして食べている角煮をチョイス。全く違和感なく混ざってて大変美味しくいただきました。
もう一つ買ったのは「山形牛ビーフシチュー」。こちらもシチューはもちろんのこと、一緒に入っていた絶妙な茹で具合のブロッコリーまで美味しかった。
本当に雨さえなければもっと堪能したかったスタグル。負けた結果も含めてまたいつかリベンジしに来ると約束します!

この弾幕のインパクトすごい
スタジアム場外には選手パネルがところどころに。山雅ファミリーのこの人のパネルも。選手一人一人に「市町村アンバサダー」が割り振られているところも地域密着感が溢れ出て素晴らしい
モフさん、お久しぶりです(清水サポーターより)

そして、やはりマスコット大好き長崎サポーターなので、会っておきたかったディーオにも会えた。ディーオのモデルは山形県の県獣であるカモシカの姿を借りた軍神の男の子という設定。
噂には聞いていたけどめちゃくちゃモフモフしておりました。そして動きが空手家のようにキレッキレ。DAZNでも選手入場のときに一緒に映って切れ味の良いポーズを見せつけていて素直にかっこいいなと思いました。こちらもまた会いに来たい!

G-SHOCKを見せつけてくるディーオ。
横から見た図

そして、スタジアム内は陸上トラックはあれど、割と見やすい。晴れていれば山々ももっときれいに映えて見えるのかなと。なんとなく甲府のJITスタジアムに似た感じはありますね。

陸上トラックがあるところは不便なところが多いが、逆サイド側のゴールが見づらいとか、ありがちなストレスはさほど感じなかった
山形のゴール裏は青に染まってきれい。
そしてスネアと太鼓がいつも笑っちゃうほど上手い

スタジアムの感想は以上です。

そしていつも思っていることでもう一つ伝えたいことは、山形の公式Twitterの中の人の「いい意味での堅苦しくなさ」が個人的に結構好きで。
今や企業のアカウントでも割とフレンドリーな感じのも増えている世の中ですが、Jリーグの中だと山形がその走りではないかなと思う。いつも試合後にはアウェーサポーターへのメッセージを送っていることも素晴らしいと思うので、今後もぜひ続けてほしいなと思っている。


試合結果

山形2-0長崎
得点
【山形】藤本佳希(前半19分)、デラトーレ(後半36分)
🟨
【長崎】鍬先祐弥(前半45分)

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