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Jリーグマッチレビュー⑦J3第2節 YS横浜vs松本【俺らは常に挑戦者】

さて、今回はJ3第2節、Y.S.C.C.横浜vs松本山雅FCのマッチレビュー書いていきます。
YS横浜は大型補強の岐阜相手に無失点で引き分け、松本山雅は讃岐にATゴールでの劇的逆転勝利。結果は違えどポジティブな開幕戦を終えた両クラブの対戦。
個人的にもJ3の試合を見に行くのは2年ぶりかつ、三ツ沢をYS横浜の試合で観戦するのは初なので、結構ワクワクしています。
山雅の開幕の讃岐戦はDAZNで見ていましたが、カテゴリーが落ちても結構現地にサポーターいるのはさすが山雅だなと思ったのと、外山の劇的ゴールのときにピッチのメンバー、ベンチのメンバー、監督スタッフみんなで輪ができたことが名波さんの作るチームっぽくて、とても良かった。ジュビロの好調だったときはああいう光景何度も見たので。今季はもっと沢山見たい。内容も昨シーズン全く起こる気がしなかった逆転での勝利。開幕戦から内容は求めないし、とにかく結果が欲しい中で選手からも必死な気持ちが見えた。それでこそ山雅らしさだと思いますし。

三ツ沢に到着すると、すでにこの列。J3に落ちても情熱は変わらない山雅サポーター。不安は杞憂でした
はじめましてのハマピィ。2020年12月誕生。
モチーフはオカピとペガサス。帽子がかわいい
別のサポーターのガンズくんぬいぐるみを食べようとするハマピィ(笑)
スタジアムのウエルカムボード。
Jリーグの舞台では初対戦となるYS横浜。地域決勝で戦ったことがあるのは知らなかった。たくさん来るであろう山雅サポーターを見越していつもとは違った入場口やスタグルのキッチンカーを追加してくれた機転の効いた対応には感謝したい
山雅名物横断幕「雷鳥は頂を目指す」。今回はちょっと高めの壁際に設置するため、脚立や大人数での作業大変そうでした。
私はこの世の横断幕で1番好きです

今日の私の観戦ユニフォーム

2011年1stユニフォーム③松田直樹

今日の観戦ユニフォームは2011年のJFL時代のもの。マリノスも使用する三ツ沢での開催ということもあり、松田直樹さんへの敬意も込めてこれにしました。
2011年に「松本山雅を全国区にしたい」との思いで契約満了になったマリノスを去り、山雅へやってきたマツさん。Jリーグへの昇格を見届けることなく、練習中に急性心筋梗塞で倒れこの世を去って今年で早11年になります。
その時はサポーターではなかったけれど、このクラブを応援するにあたってはマツさんの話はたくさん見て、聞いてきました。亡くなられた8月4日が近い試合になるとクラブ・サポーターは改めて目標・勝利に向かって気持ちを強くする光景も見てきました。一緒に昇格はできなかったけれど、マツさんの気持ちがこのクラブを動かし、魂として残って山雅を有名にしてくれたことや、山雅だけじゃなくて、彼の死からAEDが全国のスタジアムに普及したことも忘れてはならないですね。

スターティングメンバーと試合の見どころ

Y.S.C.C.横浜

予想フォーメーションは3-4-2-1。
開幕戦とスタメンは同じ顔ぶれ。ベンチ入りメンバーは西山峻太、オニエ・オゴチュクウが外れ、菊谷篤資、和田幹大が入った。
昨シーズンは自己最高の8位&初の一桁順位と、クラブにとっては大きな成功体験を手にした。監督と主力数人は抜かれたものの、開幕戦では大型補強の岐阜相手にスコアレスドロー。仲田建ニ新監督のもと、課題だった守備を改善し粘りを見せた。2戦連続ホームでの試合かつ、2戦連続難敵を迎えるが、松本をも苦しめられるか。
注目選手は神田夢実。昨シーズンは司令塔として躍進に貢献した。今日もシャドーの位置から、ドリブル、パスと決定的な仕事で松本相手に一泡吹かせたい。

松本山雅FC

予想フォーメーションは4-4-2。
開幕戦からの変更点は前節は左SBだった下川陽太が右に回り、ATに決勝ゴールを決めた外山凌が左SBでスタメンに入った。そして2列目の右サイドには山本龍平に替えて東京学芸大卒のルーキー・住田将が初出場初スタメンとなった。
リザーブには新加入の経験豊富なベテラン・安田理大が入り、橋内優也らとともにリードしているときのゲームを終わらせる役割も果たすことになりそうだ。
開幕戦は初のJ3のゲームで讃岐に先制されながらも、前半のうちに横山歩夢のプロ初ゴールで追いつき、後半ATのラストプレーで外山凌がCKを直接決め劇的にひっくり返して勝利した。1年でのJ2復帰を目指し、まずは結果がほしい松本は開幕連勝でアルウィンに帰ることができるのか。
注目選手はやはり初出場初スタメンのルーキー・住田将だろう。本来はボランチながら、今日は右サイドに入ることになるが、レフティーのプレーメーカーとしての触れ込み通り、前線のルカオ、横山の2トップの強みを引き出せるか。

前半

先に攻めたのは意外にもYS横浜。前節は守りを固めたYS横浜だったが、今回はビルドアップを軸に攻めに打って出る。開始1分に細かいパス回しからキャプテン・土館賢人がミドルを放つ。これはGKビクトルの正面でキャッチされるものの、その後も中盤からの効果的な縦パスとワンタッチパスでチャンスが生まれる。前半30分には1トップに入った柳雄太郎が最大のチャンスを迎えるも股抜きを狙ったシュートはこれもビクトルのファインセーブに阻まれた。

松本は徐々にボールを支配する時間は増えていくものの、ルカオと横山歩夢の2トップにはうまくボールが入らず、なかなか決定機の創出とはならない。ルカオは組み立てでは持ち前の強靭なフィジカルでボールキープはできたが、ボールを下がって受ける傾向も強くシュートまではなかなか繋がらず。横山には得意のスピードを活かす裏へのボールや仕掛けもYS横浜のディフェンスが複数人しっかり寄せていきゴールを許さない。

前半はスコアレスで折り返し。ポゼッションはYS横浜が53%、松本が47%だった。

後半

後半開始早々の3分、ゲームが動く。松本は右サイドからの複数人でのパス交換からルカオが強引な突破で抜け出してクロス。若干浮いたボールにボレーで合わせたのはボックス内に侵入していた左SBの外山凌。右高めに突き刺さるゴラッソが決まり松本が先制する。外山はこれで2試合連発。2点ともボレーシュートと技術を見せつけた。アシストしたルカオは後半9分に足を痛め、ユース出身で4年ぶりに松本に帰還した小松蓮を投入する。

YS横浜は先制はされたものの、スタイルは前半と変わらずチャンスを生み出す。後半12分に土館が、14分には宮内が、エリア内でシュートを放つも2本ともビクトルのスーバーセーブに阻まれる。完全に当たっているビクトルによって松本は耐える時間が続いたが、耐えた松本に味方したのは20分。
17分に初先発の住田に変わって投入された同じルーキー・菊井悠介がディフェンスラインから強めのグラウンダーのパスを小松へ展開。小松はうまくはたいて左サイドの佐藤和弘へ出すと一気にカウンター発動。佐藤はエリア前までドリブルで進むと、YS横浜DF3人をすり抜けるグラウンダーの芸術的なクロスをドンピシャで小松の元へ。小松はあとは左足で流し込むだけ。耐えた松本が貴重な追加点をゲットした。
追加点を奪われたYS横浜だったが34分、再三奪っていたCKからCBの藤原拓也が角度のないところから頭で合わせて1点を返し、しぼみかけていた反撃ムードを呼び戻す。さらに藤原は最終ラインでもゴールから7分後の41分、小松の決定機を足を伸ばしてゴール前で懸命のブロック。意地を見せる。
YS横浜は最後まで攻め立てるも、最後は松本が小松と35分に投入したFWの榎本樹の足下もしっかりしている大型FWコンビと、DFのベテラン・橋内優也も投入し何とか時間を使い、そのまま1-2で試合終了。苦しみながらも松本は開幕2連勝。結果としては最高の形でホーム・サンプロアルウィンに帰還することとなった。

ざっくり感想

Y.S.C.C.横浜

松本相手に1歩も引くことなく、地上戦でのボール回しは完全に上回っていたと感じる。特にクオリティの高い中盤を軸にした攻撃スタイルは非常に好印象で、特にボランチコンビのキャプテン・土館賢人と古宿理久が光った。土館はときにエリア内に侵入していったり、ミドルを狙ったりする形でゴールを襲い、古宿は力強いドリブル突破で再三松本の守備陣を慌てさせた。

あと個人的に気になったのは、脇坂峻平。彼のお兄さんは川崎フロンターレで今や中村憲剛の14番を引き継ぐ絶対的な存在となった脇坂泰斗である。
ポジションは兄とは違ってサイドだが、確かにパスセンスや視野の広さはお兄さんに似ているなと。サッカーのスタイルを見るとすごく合っているのではと感じた。

もったいなかったのはエリア内でのシュート精度か。ビクトルが当たり日だったのは仕方がないが、決めるべきところを決めた松本との差が出てしまった。
とはいえ、開幕戦の守備を軸とした戦いと、松本戦の攻撃を軸とした戦いの2つの顔は構築できた。昨年の成功体験の自信は監督が違っても、ちゃんと生きていることがいずれ結果でも証明されるだろう。

松本山雅FC

確実に研究してきた前節のYS横浜の内容の対策とは違ったはずで、相手の攻撃には苦しんだ。ビクトルの再三の神がかったスーパーセーブの数々がなかったら、とは思うものの、それでも今は内容を求めてはいけない。最低限必要だったアウェー連戦の開幕連勝スタートを掴んでホームへ帰れることを喜ぶべきだ。

攻撃陣で光ったのは小松蓮だろう。ルカオのアクシデントでの投入となったが、相手より分がある高さやボールキープ、そしてエリア内での仕事ぶり、ゴール。これらの自らに与えられたタスクを忠実にこなしたことが素晴らしかった。だいぶ金沢や山口のレンタル移籍で成長を遂げたことが伝わる内容だった。

さらには、昨シーズンのボランチからサイドに回った佐藤和弘の仕事ぶりも良かった。もともとキック精度は高い選手だったが、サイドでうまく味方を使えていたなという印象。小松へのアシストのボールは100点のこれ以上ないコースだった。

前節と今節で思うことは、昨シーズンよく見られた先制されたあとや、点は入れられずも流れが悪くなってしまった空気をズルズルと引き伸ばしてしまうことはなさそうだなと思う。前節は外山、今節は小松と、途中投入の選手がゴールという目に見える結果で応えていることも大きいし、ゴールはないもののルーキーの菊井はいずれも途中投入から得点に絡んでいて、スタメンでも見たいと思わされた。
ジュビロ磐田を指揮していたときも、後半からの逆転劇は再三あった名波浩監督は修正力はある監督だと思う。これからまだまだ簡単ではないJ3のシーズンにおいて、そこはしっかりと継続していってほしい。

MOM

ビクトル(松本GK)

前半から再三のビッグセーブでチームを救った。特にYS横浜の攻撃陣が侵入してきた至近距離からのシュートストップは無敵状態。股を狙われた時の足下、そして強烈なミドルを確実にゴールの外へ弾き、こぼれ球を拾わせない技術も光った。最後のCKでかぶってしまい失点したのはもったいなかったが、確実にチームに勝ち点3を引き寄せた存在となった。

やはり簡単ではない「戦国J3」
それでも面白いと感じた現地観戦

名波監督も試合後のコメントで口にしていた「戦国J3」の通り、もう格下とかそんなことが禁句なぐらい年々突破することが難しくなっているJ3。それは順位予想の記事でもあげたとおりかとは思う。
2節を終えて連勝スタートは松本と福島。個人的には福島が昨シーズン磐田でヘッドコーチをしていた服部年宏監督、松本は名波浩監督と、どちらも磐田OBであることは嬉しい限りだ。
そして新参者のいわきFCも、優勝候補にも挙げられる相模原をホーム開幕戦で破り、Jリーグ参入後初勝利を飾った。開幕戦もJ2経験のある鹿児島相手に早い時間に先制点を奪い引き分けた。私の予想の「台風の目になる」というのも時期尚早かもしれないが、現実味を帯びてきた。

はじめの項目でも触れた通り、J3の試合を現地で見るのは2年ぶりだったけど、正直めちゃくちゃ楽しかった。応援している松本の降格によってJ3の試合を見に行くこともこれから今年は増えるだろう。
今まで横浜FCの試合でJ1・J2の観戦で割と足を運んだ三ツ沢のバックスタンドに人がいない光景はちょっと違和感を感じたけれど(苦笑)、何度も書いたがYS横浜の内容が良かったこと。そして松本のサポーターが相変わらずの客入りで、完全にホームジャックになったこと。この日の観衆は1.968人。J3の試合としてこんなに入ることはあまりないのでは。YS横浜の試合運営の方々が松本の客入りを見越して入場を通常とは違った形にしたり、キッチンカーを増員したりして機転を効かせて動いてくれたことも大変感謝しないといけない。

そしてやはり、好きなクラブの勝利の喜びはどのカテゴリーでも変わらず嬉しいこと。昨シーズンは松本で1度も勝てなかったので2年ぶりに味わった勝利の味。声は出せないけれども2018年の熱心に松本の試合を見に行ったときの熱が少し戻ってきた気がする。あの時を知るパウリーニョが今年帰ってきて、自らキャプテンマークを巻いて先頭に立つ姿は、やはり格好良く頼もしいなと。
松本の弾幕にもある「俺らは常に挑戦者」の気持ちをいくら多くのサポーター、頭一つ抜けた戦力がいつつも、忘れずにJ3を突破していってほしい。

ゴール裏の密集度はこんな感じ。
J3でも大旗5本投入は圧巻の光景
ハーフタイムに通路から見た感じ。
三ツ沢のアウェーは埋めると結構気持ちいい
外山の先制ゴール後。すぐにゴール裏に来てくれて嬉しかった
小松の追加点。開幕戦も今節も一体感は確実に昨年以上のものがある。名波さんはそういうチーム作りを大切にする印象
勝利後のアルプス一万尺。早くこれを声を出して知らない人とでも肩を組んでできるようになりたい。パウリーニョが率先して若手を引っ張りだす光景も良かった(笑)
インタビューを受けていたため、一人遅れてやってきた小松が疲れていても踊らされている光景(笑)

試合結果

得点
【YS横浜】藤原拓也(後半34分)
【松本】外山凌(後半3分)、小松蓮(後半20分)
🟨
【YS横浜】橋本恭輔(前半39分)、宮内寛斗(後半45分)
【松本】米原秀亮(前半22分)


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