やり切ったビール
どんなビールがうまいかといえば、
全力を出して結果を出し、疲れ切ったときに飲むビール、この一口目がなによりうまい。
想像してほしい。
あと数時間でプレゼン発表がある。
いままでほんとにたくさっんのことをやってきた。
たとえば、いままで全く行ったことがないところへ行った。そこでは自分の伝手が全く通用しなかった。だからなんども通って、通ってなんとか縁をっ繋いできっかけをいただいた。
そしてその縁を大事に、大事に。
「そこまで言うなら仕方がない」
この一言をいただけた。
たとえば、現場の方々と意見があわなかった。その方達は時給だから、ただ作業をこなすだけでお金がもらえる契約をしている。だから必要以上のサービスをする必要がない。というか、ただ最低限をすればいい。
「わたしが先頭にたって、ついてきてもらうしかない」
そう覚悟した。
一人でできる最大限の現場の理想を、そしてそれに共感してくれた仲間とできる最大限の理想を。そうやってだんだんと増えていった協力してくれた仲間とできる最大限の理想を作り続けた。
だんだんと全体がほんの少しずつ変化していって、最後には全員が、全員の理想の最大限を実現し続ける現場になった。
たとえば、チームメンバーと何度も意見があわなかった。みな今回の仕事はただの通過点だと思っている。ただの通過点。
そう、いつも通りなのだ。
ここが一番苦しかった。
プレゼンまで一週間なのに毎晩遊んでいるひとや、給料以上の働きは一切しないと決めているひと。そしてパートナーとの関係が第一だからとずっと連絡をしているひと。
こんなのがチームで本当に仕事はできるのかと思った。
たしかに自分が一番だからと、自分が一番仕事をしているからと下にみていたかもしれない。それほど、自分の仕事ぶりに自信があったのだ。でも、これはひどすぎるだろ!と思ってた。
そのチームで仕事を進めていく。
が、チームが全く協力してくれない。
私が慣れない地域にいったときも、現場で働いているときも、こんなもんでしょ。を淡々とこなすだけ。
彼らは悪くはない、悪くはないと思うんだ。
だけど、もっと、理想を求めてしまったんだ。
あるとき、プライベート重視のメンバーに
「全くチームのこと考えてないですね」
と言われた。
盲点だった。
慣れない地域でも、現場でもその場所で働くひとが最大限の力を発揮できるようにしていたのに、チームには全くそれをしていなかった。
それから、なにとなくチームメンバーに個別に話を聞いた。喫煙所だったり休憩時間だったり。ずっととはいえないが、空いた時間はチームとの関係作りにつかったんだ。
そうして少しずつチームが、きちんとチームになった。そして状況が好転していく、だんだんと良い流れがきている実感を肌で感じることができた。
あと数時間、数時間でそれらの集大成を発表するプレゼンがはじまる。
これまでの時間のすべてをぶつけるプレゼンが。
その帰りの打ち上げの席。
毎晩遊んでいるメンバーが、珍しくいい言葉を話して、乾杯の合図があった。
このときの最初の一口。これが一番うまかった。
よければ緑茶を1杯いただけませんか?