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医療データの倫理 ビッグデータ時代における医療倫理のジレンマ


PubMedを検索していたら以下の paper に出会いました

ビッグデータ時代における医療倫理のジレンマ

Dilemmas in medical ethics in the age of big data

Samuel K Ludwin, T Jock Murray

First Published July 26, 2017

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1352458517722056?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

私たちは、
人間の状態を改善する可能性を秘めた
驚くべき技術的変化の時代に生きている
この時代は、他の歴史的な発見の時代とは異なり、
これが急速に起こっていることで区別される

We live in an age of amazing technological change with the potential to improve the human condition. This period is distinguished from other historical eras of discovery, by the rapidity with which this is occurring.

と記載されておりこれが2017年の話であることに驚きを隠せません!

paperの文章には以下のことが記載されてます

数日でコンピューターが生成した
答えを導き出す

以下はpaper の内容となります
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新しいゲノムマッピング技術や人工知能技術であるワトソンは、
何千もの科学データ、論文、その他のレポートのスキャンを容易にし、
通常なら何ヶ月も何年もかかるような疑問に対して、
わずか数時間あるいは数日でコンピューターが生成した
答えを導き出すことができるようになった

このことは、科学全般、特に私たちの目的、
医療行為、研究の進歩に当てはまります

病院、診療所、製薬会社、政府の保管庫のストレージバンクに存在する、
生物学的およびデータベースの膨大な患者情報は、
新たな倫理的問題を提起している

これらのビッグデータバンクと膨大な量の情報を
目にも止まらぬ速さでスキャンする技術は、

我々の倫理観に深刻な問題を投げかけている
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倫理観に深刻な問題


世界的なガイドラインや規制がないため、
倫理的なコンプライアンスについては各国のIRBで評価されており、

その規則や結果は大きく異なっているのが現状である

Institutional Review Board, IRB

倫理委員会とは,
日本ではしばしば「医の倫理委員 会」と言われるものに相当します
おもに医学研究や治療行為において,
その妥当性の判断をおこなうことの
独自性を保証された組織内機関のことをさす
日本に定着する以前に,先行して存在していた,
欧米とくに米国における,施設内委員会,
施設審査委員会(共に Institutional Review Board, IRBの翻訳)
や,独立倫理委員会(Independent Ethics Committee, IEC)を
模倣して作られ定着したと考えられている


現地のIRBが直面する問題について

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倫理学者である著者は、成果研究にデータベース資料を使用する際に、
現地のIRBが直面する問題について論じている
その中には、データベースの種類、匿名化、データの二次利用、
同意などが含まれる
また、研究者が「ビッグデータ」バンクを使用する場合でも、
臨床研究に関する地元の研究提案を評価する際の
IRBの規則にはばらつきがあることを強調している
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Dilemmas in medical ethics in the age of big data 
の paper では上記のように記載されてます

例えばですが日本では
2018年に次世代医療基盤法が施工されましたが 
2022年 現在でもなかなかビックデータ解析した
学会発表はまだ少なく社会実装システムは少ない現状があります

2017年の時点ではまだ、次世代医療基盤法もなかったため
現在とも状況は違うことが想像できます

文献や立法・行政機関では、プライバシーに関する現行法を超えて、科学的進歩を最大化するために

今回紹介したpaper では
最後に以下のように記載されています

In fact, there is considerable discussion in the literature and within legislative and administrative bodies to search for ways of going beyond the current laws on privacy, to allow for certain exemptions from the “consent or anonymise” model of medical research to maximize scientific progress.4 The European Union4,7 and other organisations1 are starting such initiatives, but the problems are many and will require widespread agreement and fine balancing of the personal risks and the public good1,4,8 including possible changes to the Common Rule.1 These arguments have been gathered under the term of “big data exceptionalism.” However, others have championed the need to retain informed consent to satisfy the pivotal principle of patient autonomy.6,7 A case is even being made for privacy protection of algorithmically constructed big data–derived groups, as opposed to individuals.9 In addition, a central question still persists—who “owns” the patient/participant’s data and specimens?6 Is there a societal duty to make this information available to all? Some ethicists have argued that individuals have an ethical obligation to participate in research. What are the ethical implications of a company profiting from the use of someone’s data? Finally, in addition to the ethical principles of privacy and informed consent, there are also implications for the principle of justice, especially in the field of public policy.3 Will the access to big data only be available to those individuals and populations able to afford them?

Security of the databanks must be ensured. Data stored in the cloud or elsewhere are always at risk, and as reported by the Ponemon Institute, security breaches and threats by malware have risen steadily.10 Security breaches in the context of big data could be disastrous.

Society faces a period of tremendous introspection and debate dealing with these ethical and legal issues; physicians, scientists, and patients will be at the forefront of this discussion. We must develop coherent approaches to anticipating rapid advances. The diverse nature and uncertain etiology of MS necessitate that those of us living with or treating and researching the causes and management of multiple sclerosis will be an important part of this journey. We owe our patients and their families, present and future our unique contributions to the debate.

実際、文献や立法・行政機関では、
プライバシーに関する現行法を超えて、
科学的進歩を最大化するために、
医学研究の「同意または匿名化」モデルから
一定の除外を認める方法を模索する議論がかなり行われています4

References 4.
Mostert, M, Bredenoord, AL, Biesaart, M. Big data in medical research and EU data protection law: Challenges to the consent or anonymise approach. Eur J Hum Genet 2016; 24: 956–960.


欧州連合4,7やその他の組織1がこのような取り組みを始めていますが、
問題は多く、共通規則の変更の可能性も含めて、
個人のリスクと公共の利益のバランスを広く合意して
微調整する必要があるでしょう1,4,8

References 1.
Metcalf, J. Big data analytics and revision of the common rule. Commun ACM 2016; 59: 31–33.

References 8.
Kolman, JM. The ethics of biomedical big data: Busting myths. J Sci Law 2016; 2: 18–23.

しかし、患者の自律性という極めて重要な原則を満たすために、
インフォームドコンセントを維持する必要性を唱える人もいます6,7

References 6.
Rothstein, MA. Ethical issues in big data health research. J Law Med Ethics 2015; 43: 425–429.

References 7.
Auffray, C, Balling, R, Baroso, I. Making sense of big data in health research: Towards an EU action plan. Genome Med 2016; 8: 71.


倫理学者の中には、
個人には研究に参加する倫理的義務があると主張する人もいる
企業が誰かのデータを利用して利益を得ることは、
倫理的にどのような意味を持つのだろうか?
最後に、プライバシーとインフォームド・コンセントの倫理原則に加えて、特に公共政策の分野では、正義の原則への影響もある3 

References 3.
Fox, M, Vaidyanathan, G. Impact of healthcare big data: A framework with legal and ethical insights. Inform Syst 2016; 17: 1–10.

データバンクのセキュリティが確保されなければならない
クラウドなどに保存されたデータは常にリスクにさらされており、
Ponemon Instituteが報告しているように、
セキュリティ違反やマルウェアによる脅威は着実に増加している10

References 10.
Ponemon institute fifth annual benchmark study on privacy and security of healthcare data (and quoted in3, Fox, M, Vaidyanathan, G.), 2015,

ビッグデータの文脈におけるセキュリティ違反は、
悲惨な事態を招く可能性がある

社会は、これらの倫理的・法的問題に対処するための
多大な内省と議論の時期に直面しており、
医師、科学者、そして患者はこの議論の最前線に立つことになるでしょう

私たちは、急速な進歩を予測するための首尾一貫した
アプローチを開発しなければならない
MSの多様な性質と不確かな病因から、
多発性硬化症の患者や治療者、原因や管理について研究している者は、
この旅の重要な一部となることが必要である
私たちは、現在および未来の患者とその家族に対して、
この議論に独自の貢献をする義務を負っているのである

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました

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社会にとって必要なインフラを考え 
まだ世にない新しいものを生み出す


私個人的には
今後は日本は労働生産人口が減る
と同時にテクノロジーがアメリカや中国を中心に
発展する為 

5年後には仕事の定義も変わり

想像と問題解決が仕事となり

完全な単純作業はロボットの仕事となり

予期せぬトラブル対処等が人間の仕事と変わる可能性があります

人間は 社会にとって必要なインフラを考え 
まだ世にない新しいものを チーム医療で 生み出す
事が重要となってくると思われます

患者様にとって最善の次世代医療を提供するためにも
データの倫理を考え
ビックデータ解析を実施し
何千もの科学データ、論文、その他のレポートのスキャンを容易にし、
通常なら何ヶ月も何年もかかるような疑問に対して、
わずか数時間あるいは数日でコンピューターが生成した
答えを導き出す
本当にそれがあっているか 
臨床のプロフェッショナルが最終判断する

そんな未来が来るかもしれません

2022年以降 医療従事者の業務効率化が重要

2022年以降の日本には
医療従事者の業務効率化や
負担軽減に資するソフトウェアが必要になってくることが
予想されます

それにはエンジニアと医療に 橋を架ける人も必要です

例えば これまでは分業体制でしたが 自動車に自動運転が入ってきて
機械学習の概念がわかる人が必要になりました
これからは様々な業界がコングロマリット化するので
それを繋ぐのも仕事として重要になってくると思います!

今回の論文から

2017年と約5年前のpaperですが 今回の論文から

患者様のために最善の治療には 大量のデータの活用が重要

しかし
データバンクのセキュリティが確保されなければならない
日本は次世代医療基盤法や倫理委員会など
とてもセキュリティに関して慎重な国だと思われます

この仕組みを活用し
私たちは、急速な進歩を予測するための首尾一貫した
アプローチを開発しなければならないでしょう

例えばwebの繋がりも加速しています
集合知を実施できるクラウドは多くの可能性を秘めていますし
セキュリティが確保されるよう
その領域に明るいエンジニア様の意見をもらいながら
開発していく

2022年は医療とIT領域が

ますます歩み寄るタイミング


上記の考えのもと臨床工学技士で実際に動き始めている方も沢山います!

医療機器を駆使して社会にとって必要なインフラを開発し

医療従事者の負担軽減に寄与できるよう取り組まれています

今後はますます 医療とITが歩み寄り

個人間のwebの繋がりと そのような活動への理解 

そして多くの方の意見が重要だと思われます

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