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映画『オッペンハイマー』を観た

★あらすじ
原爆の父と謳われた、オッペンハイマーの半生。

★女優
エミリーブランド(41)…オッペンハイマーの妻。あの静寂の映画『クワイエットプレイス』の主人公か。モンスター系映画のヒロインとしては、身体的強さではなく、精神的な強さを感じさせる役で印象に残っている。その内面的な描写を、今作では怒りを抱えながらも夫を支える妻を演じた。

フローレスビュー(28)…オッペンハイマーの恋人役。ほとんど全裸で演じている。すでにアカデミー賞助演女優賞にノミネートされるなど若手の実力派だが、全裸に、この作品に懸ける覚悟は見えるけど、逆に演技としての存在感は薄れたように感じる。

★長澤まさみ研究
ほんまね、こういう史実に基づいた超大作に出てほしい。とは言っても、日本映画で、このスケールと深みを兼ねた史実の映画はなかなかない気がするなぁ。
最近の長澤まさみは、涙と怒りの芝居も増えてきた。泣きに関しては、バリエーションは豊富になった。怒りにはまだ余白がある。これまではマザーの鬼母は別として、正義に反することへの怒りは数々あるが、嫉妬、憎悪、悲哀といった醜い怒りは数少ない。この醜態の怒りをどう創り出していくのか、これからの楽しみだ。

★パンフレット
これは読み応えがあった。僕のような無知な人間は、時系列を整理して、少しの豆知識を入れて見る必要はある。
そんな大した知識でなくて大丈夫。その辺をパンフレットで補える。
横組なのが読みづらいけどね。

★まとめ
劇中、原爆が実用された惨劇にオッペンハイマーは顔を背けていた。
あの場面が何かを訴えっている。それが何かを、僕には明確にはわからないが、少なからず良心に動揺があったのだ。
戦地から母国に帰還した兵士が、心に傷を負うのは、戦場の恐怖からだけではなく、やはり良心からのものも大きい。
「原爆で戦意喪失させる」アメリカの理屈への賛否もあるが、そこにも多かれ少なかれ正義は含まれている。だから正義は危うい。
人間は、正義をかざすのではなく、良心を想像する力があれば、諍いは今よりも少なくなる。
オッペンハイマーは天才物理学者だが、その想像力が少し欠如していたのだろう。
映画自体はテンポも早く、音の迫力がすごくて、3時間超の長さは感じさせないが、先に書いたように時系列くらいの豆知識がないと、そのテンポの良さに前半置いていかれそうになる。
劇場へ早めに行って、パンフレットに目を通してから観賞するのが、おすすめです。

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