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映画『天外者』を観た

★ストーリー
時代の指導者五代友厚と、その役に情熱を注いだ三浦春馬の生き様を描いた『五代春馬』の物語。

★女優
森川葵25歳。
『ある閉ざされた』のときに感じた、女藤原竜也の片鱗は見えてる(笑)
正直、僕は天外者のキャストに名を連ねるまで、名前だけを知っているかどうかの女優だったけど、とにかく人柄の好さは目立っていた。それが、今後の彼女の最大の武器になる。
ビジュアル的なか細さより、ずっと、フィジカルもメンタルも強い演技をするのは、このころからも今も変わらない。大物感はある。

蓮佛美沙子29歳。
僕が劇中共演した女優さん。
監督の「武家の娘だから、もう少し気品を持たせて」と一言のアドバイスで、次の芝居は、ガラッと変わった。
僕も「相手は武家の娘だから、少し気圧されてから」と監督から助言があるや、「はい、本番!」って、えっ、役者って、「役者って、この数秒で芝居考えるんや⁉︎」とあたふたした。いや、僕、役者ちゃうし、そんな引出しないで…の嘆きは堪えての本番だった。ま、一発OKやったけどね(笑)
劇中の蓮佛美沙子は、少し三浦春馬を立たせすぎかのように思った。
もちろん時代背景としての女性像も考えただろうし、五代豊子の史料が少ないから、役作りが常識的な女性で演じたのだと推察するけど、蓮佛美沙子らしさが薄れていた気がしてならない。
彼女の演技は明暗のコントラストをハッキリと演じ分けられるところが魅力で、好きな女優だけど、明と暗の中間での芝居となったように思う。
それはもしかして、「武家の娘」という設定が狂わせてしまったのかもしれない。

★長澤まさみ研究
森川葵の藤原竜也感は、長澤まさみにはない。どちらかと言うと、真逆のタイプだろう。
藤原竜也の芝居は、非日常的な創作美を求めているように見えるが、長澤まさみはあくまでも自然美のように映る。
藤原竜也的な芝居には、例えば狂気を演じたとき、その人物への恐怖は強く感じるが、それは観賞中の一時的なものであったり、自分とは全く違う人間の話のように思えてしまう。非常にエンタメ的な要素が強い。
だが長澤まさみが狂気を演じると、それが、どこか自分にも内在しているのではという未知の恐怖と、すでに自分の知っている小さな感情の延長線上に、その狂気が存在していることを知る。エンタメに違いはないけど、もう少し文学的な要素が強い。

★まとめ
天外者はもう何度観たかは分からないが、この映画は、五代友厚の伝記としては、少々物足りないのは否めないし、三浦春馬の主演作としては、どうしても悲しいことが思い返される。
だから僕は『五代春馬』の映画という位置づけにしている。

五代友厚というあまり語られることのなかった明治期の指導者を、三浦春馬という若い俳優が、五代に心酔し、懸命に演じたことにより、その功績が見直されようとしている。
これはふたりの力によるもので、五代だけでも、春馬くんだけでも成し得なかったことだろう。
『天外者』は五代春馬の物語だ。

尚、今やシネコン時代に、個人経営の映画館は稀少な存在となりました。天外者がこの3年毎日上映されている奇跡も、土浦セントラルシネマズだからこそ可能だった快挙です。
そんな土浦セントラルシネマズを微力ながら応援したいと思います。

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