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長澤まさみ主演ドラマ『高校入試』をFODで見た


長澤まさみの25歳。2012年のドラマ。

★ストーリー
全13話あるが、ほぼ高校入試当日1日の物語。合格に向けて純粋無垢に勉学に励む生徒の話ではなく、入試に関わる先生、生徒、親兄弟、友達と、何かしらの企みを抱えている、どこか陰湿な話だった。

★この歳の長澤まさみ
前年の映画『モテキ』で、「20代の一番かわいい長澤まさみを撮った」大根仁監督の影響か、2012年の長澤まさみは、テレビで引っ張りだこになる。
高校入試のほかにも『都市伝説の女』(4月)とWOWOW『分身』(2月)と3本の主演ドラマを撮った。
都市伝説こそ、それまでの長澤路線を踏襲したが、分身ではふた役に挑み、この高校入試も「かわいいだけのお飾り女優」からの打破に挑んでいるように見える。
高校入試で明らかに変わったのは、滑舌だ。
『GOLD』(2010)のときに、劇中で天海祐希に「舌っ足らず」と何度も言われていたように、滑舌の甘さが長澤まさみの個性でもあり、そこに可愛げの演出もあった。
だが、高校入試の長澤まさみは、ずいぶんと舌っ足らずな感じは失せて、教師らしく〝きっちり〟と話している。
とは言っても、それ自体は大した進歩ではない。
例えば、そうした舌っ足らずな人でも、吃音の人であっても、講談の修羅場読みを学ぶだけで、滑舌は良くなる。だから、長澤まさみがやる気になれば、滑舌は良くなるだろう。
ただ、都市伝説の女は、長澤まさみにとって初めてのシリーズとなり、翌年もつづくのだが、そこはやっぱり滑舌は甘い。
ということは、2012年の長澤まさみは、お飾り女優の長澤まさみとそれから打破しようともがく長澤まさみが同居していたことになる。
その使い分けがすごい。
そこは、やっぱりセンスがあることが証明されているんだろうな。

そして、この高校入試では、台詞と表情の表現にバリエーションが増えているように見える。
今に近いものを感じる場面が幾つもあった。ただ、今とは全然違うものがある。今の長澤まさみの芝居は、ひとときも目が離せないが、まだこの時分は、そこまで没入はさせない。
まだ〝繋ぎ〟の演技がないということだとわかってきた。
静から動へ、陰から陽へ、一つ一つの表現は出来ているけど、言葉や表情の変容が、オンオフのスイッチしかない感じだ。今はその変容が表情と台詞に表現出来ている。
もうひとつ、生徒役の山崎紘菜の存在が、長澤まさみを成長させたのではないか。ゴシップによると、長澤まさみは姐御肌という記事が多い。自分より若い役者との共演は、教師役という立場もあり、長澤まさみの心持ちを強くさせたように思う。

高校入試
県立橘第一高校。通称、一高。 在校生が続々と帰宅していく中、校内は殺気立っている。 明日、入試を控えているからだ。 過去のトラブルを参考に、完全なマニュアルを作り、校内の貼り紙や忘れ物などを...


★まとめ
面白かった!というほどのラストでもないが、見出したら引き込まれるというか、次が見たくなる構成で、飽きずに見られた。
僕の世代が教師ドラマに求めるような、人生訓みたいなことは何もなくて、ま、教師も普通の人間でしかないという現実的な部分を、コミカルに見せながら、サスペンス的な要素を核としたドラマだった。

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