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待つことでしか変わらないもの

前回の台風上陸は夜から朝にかけてだった。
その日僕はある音楽会の公演千秋楽のチケットを取っており、台風が迫っているという状況下の中、そこに参加した。

公演終了後、数人のお客さんと軽くお茶をして解散し、一人メトロなので日比谷か二重橋前を目指し、有楽町駅やビックカメラを通り抜け、丸の内中通りへ。


いつもは開いているお店や、歩いている人達、走る車があるけれど、台風の接近のせいでどれもなく、高層ビルが建ち並んでいるだけに、一層静けさが際立ちました。

傘はダメだろうと、シェルパーカーを来て歩いていたおかげで手ぶらで、身体が自由だったので、ふとジャンプしてみました。

気分が良くなったのを感じたので、次は摩天楼に向かって叫んでみました。

また気分が良くなったので、今度は拳法の真似事みたいのをしてみました。


そうやって一人で誰もいない街を風雨の中歩いていると開拓者のような気分になったり、踊ったり、叫んだりしていると、なんだか楽しくなってきているじぶんがいた。

しかしそれとは対称的に、風雨はまったく変わりなかった。


じぶんが変えられることはじぶんの中のことが多くて、じぶんの外のことは変えるのが難しく、大体時間が経つのを待つことがほとんどだなぁと感じました。

そうしていると日比谷も二重橋前も通りすぎていて、気付くと東京駅に着いていた。

誰も外にいないであろう雨の日には、人を解き放つ不思議な魔力を秘めているのかもしれません。


今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。
「花とアリス」のアリスが雨の中、舞っていた気持ちが少しわかった気がしたよ、気持ちいいよね。

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