【本気】TikTokマーケティングの参考になる神運用アカウント100選
SNSがデジタルマーケティングの“一丁目一番地”になっている……という話は、もうする必要がありませんね。みなさんもご存知のことだと思います。
Twitterが「X」になったり、YouTubeがshortsを始めたりと、各種SNSで日々変化が起こっていますが、やはり注目すべきは「TikTok」です。引き続き、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しています。
とはいえ、運用に悩みを抱えている方がほとんどだと思います。実際、毎日のように「どうやったらバズるの?」と質問をいただきますから。
質問をいただく度にかなり丁寧に回答しているのですが、そろそろ手が回らなくなってきたので、いよいよ最終手段です。
悩みだらけのTikTokマーケティングにヒントを提供すべく、TikTokマーケティングの参考になるアカウントを100個ピックアップし、それぞれの優れた運用ポイントを解説しました。
SNS運用のポイントは「見ること」です。とにかくバズっている動画を見て、動画の中から共通項を見つけ出し、それらを言語化できると、おもしろいようにバズらせられるようになります。
つまり、SNSの歴史を10年以上見てきた私の解説をすべて取り込めば、動画をバズらせるためのノウハウを会得したといっても過言ではありません。
以下に続くのは、腱鞘炎になりながらスマートフォンに入力し続けた、渾身の解説コメントのアップデート版です。この解説さえあれば、ぶっちゃけ他の有料コンテンツを買わなくてもいいと思っています。
読み終わりましたら、ぜひ「スキ」していただき、感想をX(Twitter)でシェアしてください。エゴサして、すかさずリポストしにいきます!
ちなみに、僕が特に推したいアカウントは(1)(4)(15)(32)(40)(55)(78)(94)(96)です。
TikTok神運用アカウント100選
(1)ど素人ホテル再建計画 @沖縄県恩納村
多くのTikTokerがベンチマークにしているアカウントといえば「僕は沖縄の大赤字リゾートホテルの再建を託されたど素人」の一言からから始まるあのアカウント。
ゼロからアカウントを立ち上げるときは新規からの認知が兎にも角にも重要であり、この目と耳を引く挨拶はあまりにも効果的です。
当たり前ですが、適当にキーワードを並べても意味がありません。ど素人さんは、「ど素人が経営」「視聴者と経営」「大赤字から再建」「成功までの過程」という“バズる匂いがプンプンする4つの切り口”を重ね、唯一無二の個人として差別化し、視聴者からの認知を獲得しています。
それだけでなく、ど素人さんはプロデュースの能力も非常に高く、いくつものアカウントで“万バズ”を達成されています。X(Twitter)ではノウハウの発信もされているので、SNSマーケターであれば思考停止でフォローしておきましょう。
(2)アノニマス/Anonymous
今となっては定番となった「ストリートスナップ撮ってるんですけど……」シリーズの生みの親。
彼が撮影するストリートスナップは初期からバズっていて、ただのファッションスナップよりも断然人気があります。その理由を自分なり分析してみると「雑誌カルチャーをうまく引き継いでいる」という結論に行き着きました。
ストリートスナップは表情やポーズをつくるポートレートとは違い、被写体が自然体でありのままであることが求められます。実際、ストリートスナップ文化の発端である雑誌には、名前や所属、趣味をはじめとするライフスタイルが必ず書かれていました。
アノニマスさんはこの“雑誌カルチャー”をうまく引き継いでいます。カメラを意識せず歩いてくるところ、今日はなにをしていたのかという会話、それぞれの個性がわかる私服……。それらが一本の動画にすべて入っているんです。
SNSでなにかを始めるときは、とにかく新しいことを考えがちですが、アノニマスさんはストリートスナップの価値や立ち位置を理解して、つまり、伝統を引き継いで新しいフォーマットを開発しています。だから、ファッションに強い関心があるわけじゃない人も見てしまうんです。
SNSという新しいフォーマットでも、やはり守破離が重要。アノニマスさんの投稿には伝統を理解する「守」があり、そこにオリジナルを足して「破」「離」をしています。
アノニマスさんがバズってから、彼のフォーマットを丸パクリする人が急増中。どれだけ真似されても、オリジンであるアノニマスさんは有名になっていきます。ある人の「破」「離」が、ある人の「守」になっていく面白い事例です。
(3)青春ストリートスナップ【そら】
2023年を賑わせたTikTokアカウントといえば「アノニマス」。海外で流行っていたストリートスナップを日本にに輸入し、瞬く間に時の人になりました。彼のアイデアは再びパクられまくり、そのうちのいくつかもメガアカウントに成長しています。
とはいえ、パクり方が下手くそなアカウントが大半です。クオリティが低くただの劣化版になってしまったり、最初から地域を絞ってアカウントを運用してスケールダウンしていたりと、メガアカウントの踏み台になっているアカウントを多数見ました(戦略として地域を絞った可能性は十分にあります)。
時代はいわばストリートスナップ戦国時代なのですが、後発でもファンを獲得しまくっているのが「青春ストリートスナップ【そら】」さんです。
そらさんは未成年の男女カップルを撮影しています。これがすごくて、つまり彼は「青春」を撮影しているのです。 これがただカップルを撮影しているだけなら、これほどファンが付くことはなかったはずです。撮影できる組数は減るけれど、それゆえ希少性が高まりアカウントの価値が増しています。
後発で勝ちたいなら、コンセプトが重要。散見された「地域縛り」はコンセプトというより小さく事業を営む戦略であって、早く目立てるけど大きく勝てない。コンセプトをつくりたいなら宮崎とか茨城みたいに縛るのではなくて、例えば西成という縛りにしないといけない。
でも、そらさんの戦略なら早く目立って大きく勝てる可能性がある。よく考えられているなと思いました。
懸念があるとすれば、カップルには別れが付きものなので「動画消してもらえますか」が多発すること。最悪の場合、撮影したすべてのコンテンツを失うことになるので、そのあたりの交渉は重要そうです。
(4)コンクリのGEN🪨
ライフハック系の投稿は「バズりやすいが消費されやすい」。つまり情報やコンテンツに価値があるのであって、アカウントのファンにはなりにくいわけです。
しかし、「コンクリのGEN」さんは違う。“6畳のコンクリート部屋”という分かりやすいコンセプトで視聴者を引きつけ、インフルエンサーとしてのポジションを獲得しています。
特筆すべきは「投稿がウザくない」ところ。インフルエンサーは情報の発信量が多いので、特にInstagramはフォローすると目に付きすぎてしまうところがある。
でも、GENさんを実際にフォローしてみてほしい。ノイズのない投稿を心がけていることが、見ているだけでも分かります。 PR投稿も彼にマッチしたものしかないし、彼がオススメしてくれたものはノールックでも購入できる。
こうした細かい積み重ねがフォロワーの急激な増加とファン化を促しているはずです。 先日お話しさせていただきましたが、人間性も素晴らしい方でした。もともとファンでフォローしていましたが、引き続き応援し続けたいです。
(5)街頭ルームツアー
TikTok界に新たなトレンドを吹き起こした「街頭ルームツアー」シリーズ。生活者のインサイトをうまくキャッチアップされているうえに、バズるための工夫が施されていて感心します。
まずは、動画の入り。アノニマスさんのストリートスナップ動画と同じくインタビュー形式で「街行く人に声をかける」という設定が引きをつくっています。
これまで街頭インタビューシリーズで「最後に家賃を尋ねる」コンテンツはあれど、さすがに家まで着いていく展開はありませんでした。ここまでやることでコンテンツとしての濃さがグッと増し、最後まで見てしまうのではないかと思います。
引っ越しの予定がなくとも「SUUMO」を見てしまう人がいるように、そもそも「ルームツアー」というコンテンツには魅力があります。インサイトをしっかり拾いつつ、バズっているフォーマットに乗っかることで大ブレイクしているのではないでしょうか。
さらに付け加えると、演者のチョイスも同アカウントのポイント。家が特徴的な人、仕事が特徴的な人、実は知っているあの人……。視聴者が興味を持つような部分を動画に残すことで、コメント欄が盛り上がります。
(6)87子 イメチェンさせる人
TikTokで数ある大変身シリーズのなかでも、とりわけ強烈なアカウントが「87子 イメチェンさせる人」。
インパクトのあるサムネイルとコピーライトは、思わずスワイプする手を止めてしまいます。大変身系のコンテンツはとりわけ目新しいわけではなく、どちらかといえば既にレッドオーシャンですが、トレンドのフォーマットに乗っかり、そこへアレンジを加えて自分だけの色を出すのがめちゃくちゃうまい。
マーケの鉄則だけど、他業界からアイデアを横展開すると引き出しの数が増えて成果が上がる。これをナチュラルにやれているのは強い。モデルは公式LINEから募集をしているようで、そのあたりもセンスを感じます。
(7)モテたい俺は、バーに行く。
ショートムービーの破壊力を感じさせるアカウント『モテたい俺は、バーに行く。』、まさかのバカルディの公式です。冴えないサラリーマンが美人な先輩にバーに誘われあたふたし、対応する様子がドラマに仕立てられています。
ストーリーとしても楽しめるうえに、動画内で解説される「バーでの振る舞い」は非常に参考になる。さらに、ドラマ内に自社商品を登場させ、自然な流れでPRに成功しているあたりもさすがです。
学び取るべきは「自分が持つ知識は誰かの役に確実に立つ」ということ。バーはカッコつけたくなる場所の代名詞であるため、立ち振る舞いの解説にはニーズがある。
ニーズのある発信を客観的に捉え、それをトレンドのドラマに仕立て上げるあたりが「分かっているな」と思います。
(8)土の精霊おじさん
コンセプト設計が天才的なTikTokアカウント「土の精霊おじさん」。応援したくなるキャラクター設計や「子どもたちの未来を守る」というワーディングでフレンドリーな立場を主張するスタイルが参考になります。
同アカウントでは化学肥料の危険性や不健全な業界構造について発信しており、こうした「不都合な事実」は陰謀論的に受け取られたり、健康志向が高い変わり者として扱われたりしがち。
しかしながら、視聴者と関係性を築いた上で発言しているので「偏った人ではないと見なされ」、炎上されたり、叩かれることはありません。レッドブルを例に挙げながら化学肥料を否定する動画では、「とはいえ美味しいな」と言いながら実際に飲んで、攻撃性を緩めている。
敵をつくらず伝えたいことを発信するのがめちゃくちゃ上手なアカウントです。
(9)覗き見グルメツアー
Z世代を中心にGoogleではなくSNSで検索するユーザーが増えていて、なおかつインフルエンサーの投稿は実際の値段と違ったりメニューがなかったりと不信感があるなかで、街ゆく人に「おすすめの飲食店」を聞いて回っていて信頼できます。
インフルエンサーにNo. 1を聞いても頻繁に足を運べるような店じゃなかったりするけど、市井の人が選ぶ店は日常使いの参考にできる。これがすべて仕込みだったとしても、普通の居酒屋がピックアップされていたりするのでヤラセ感が全然ない。
一般人の声がこれほどチヤホヤされる時代がこれまであったでしょうか。「尖りがある(本音である)情報がなにより強い時代が来ている」ということを頭に入れておくだけで、SNSマーケティングを有利に進められると思います。
また、このフォーマットはかなり応用がききます。No. 1の映画とか、デートスポットとか、AVとか……可能性めっちゃありますね。
(10)モブ子と後輩
コーデ紹介動画をメインに投稿しているTikTokアカウント「モブ子と後輩」のTikTok運用は学びの宝庫です。SNSでフォロワーを集めるためのテクニックが凝縮されています。
黒髪で眼鏡をかけた冴えないOL「モブ子」が、一瞬にしてオシャレな女性へと変身する姿は、あまりのギャップに視聴者を釘付けに。
ビフォー・アフターで振り幅を持たせ、視聴者の感情を揺さぶるコンテンツは、エンゲージメントが高まりやすく、短い時間でも印象に残りやすくなります。
さらに、ユニクロやH&Mなど、誰でも真似できるブランドのアイテムを取り扱っている点もポイントです。大衆的なブランドを扱うことでターゲットの数が広がるため、必然的に視聴者が増える。ここで変に見栄を張ってブランド物とか扱っても仕方がありません。
また、着用アイテムの値段が一目で分かるよう編集が施されているなど、視聴者目線の工夫がしっかりあるのもGOODです。
(11)箱崎 愛佳
アイドル・箱崎愛華さんのTikTokがおもしろい。動画内で撮影者が「どこから見ても可愛くない」と箱崎さんを罵倒し、そこに反抗する様子が印象的ですが、これはアルゴリズムをよく理解したテクニックです。
撮影者が罵倒することで、コメント欄では「可愛いじゃん」「いや可愛くない」という論争が起き、エンゲージメントの向上につながっています。
さらに箱崎さんは「誰がどう見ても可愛くない」ルックスではないので、視聴者はつい何度も動画を再生して可愛さを確認してします。結果的に複数回再生されるので、アルゴリズムによく評価されます。
可愛い訴求をやめたことで、かえってファン化に成功している天才的なテクニックだといえますね。
(12)彼氏をつくらせない
僕は口酸っぱく「SNSはコンセプトが命」と言っていますが、それを見事に体現したアカウントが「彼氏をつくらせない」です。
アカウント名が一言でコンセプトを表現しており、女性に彼氏がいないこと・彼氏を欲しがっていることを表し、視聴者の興味を引くことに成功しています。「友達に彼氏が出来るまで続けます」という設定も素晴らしい。
持ち前のビジュアルアセットを武器に勝負していくことも可能ですが、オリジナルなコンセプトで独自のアカウントとしてやっているのがうまい。完全にコンセプトで勝っているアカウントです。
さらに投稿フォーマットは他撮りを採用しており、直接的に「私可愛いでしょ」と可愛い訴求をしないところもミソです。
(13)友達がかわちぃ
彗星の如く誕生し、バズりにバズってアイドルデビューした「友達がかわちい」のSNS戦略には衝撃を受けました。
一般の女子高生が日常の様子をアップしているような素人感満載のコンテンツを投稿しており、キャプションも何もかもがその世界観に合わせてつくり込まれています。
しかし、動画内には飛び抜けたルックスを持ち合わせた女の子ばかり登場するので、コメント欄には「これは一般人なのか?」といったコメントが殺到。
そして運用開始から数週間後「みんなが有名にしてくれたおかげでかわちぃ友達みんなとアイドルデビューできることになりました!」と投稿。 デビューまでの道のりを追うのではなく、デビューが決まっている状態で戦略的にフォロワーを伸ばしていたわけです。
ちなみに1本目の「ほんとに何百回もかわいいって言ってるのに認めないからバズって本人まで届け!!!」というキャプションもヤバい。
(14)ながの社長
TikTokでバズるために重要とされる「意外性」を完璧におさえたアカウントです。
① オフィス × 料理
② 社長 × いじられキャラ
③ 部下 × なまいきキャラ
といった規格外な組み合わせに、視聴者は思わず手を止めて見てしまいます。
さらに、社長の親しみやすく憎めないキャラクターがファン化につなげています。 「おいおい.....」という決め台詞のようなリアクションもクセになる。
料理コンテンツのようなレッドオーシャンでは、掛け合わせによって差別化を図るのが重要です。
(15)kj【料理人】
SNSで応援されるのは「素直でいいやつだけど情けない」タイプ。この原理原則はずっと変わっていなくて、インターネット黎明期に社会現象を起こした電車男もそのタイプでした。
見下したくなるけれど、ひたむきに頑張っているから応援しちゃう。この法則にピタリと当てはまるアカウントが 「kj【料理人】」さんです。
赤字で倒産寸前のレストランオーナーが、実情を赤裸々に公開して視聴者に助けを求める。すると「清潔感がない」「髪の毛を結べ」「タトゥーを見せるな」と非難やアドバイスが殺到。それらの指摘に共感するコメントが付き、そのままプチ炎上してバズる。
そして、ここからがすごい。オーナーはそれらの指摘をひとつひとつ改善して、その姿も公開。「僕なりに清潔感のある見た目に変えてはみたが、果たしてこれで合っているのだろうか」と視聴者にアンサーを求めるのも素晴らしくて、「素直でいいやつ」というポジティブな印象が持てるんです。
結果、売り上げはどんどん増加。バズるだけでなく、しっかり事業成長につなげていて素晴らしいです。
(16)ぴた⁑20代人生の迷子
バズりたいなら、応援されてください。応援されたいなら、“素直でダメな奴”を演じてください。
先ほど紹介した「kj【料理人】」さんよろしく、社会不適合者の25歳女性「ぴた⁑20代人生の迷子」さんを見ていると、応援される人の特徴がよく分かります。
投稿内容は「職を失ったズボラな女性が、タダでもらった一軒家をリフォームしていく過程」。「無職」「ズボラ」「料理・片付けできない」といった
マイナス要素がいくつも並べられており、徹底的にダメな奴という印象が付くので、応援せずにはいられなくなってしまいます。
これ何度も言っていますが、人間は自分より下だと思う人にしか、応援したいという感情が生まれません。情けくてどうしようもなかった「電車男」がまさにそれです。
マウントも、お節介も、助けてあげたいという感情も、すべては「見下す」という感情が根底にある。SNSは、そんな人間の心理が垣間見えてしまう、人間社会の縮図そのものだと理解しておいてください。
(17)幼馴染と共同生活中【おさ活】
幼馴染とのルームシェア生活がコンセプトの「幼馴染と共同生活中【おさ活】」はご存知でしょうか。
幼馴染の付き合いそうで付き合わない関係性は、視聴者は思わず興味を持ってしまうもの。このコンセプト設計ができている時点でほぼ勝ちが決まっています。
そして、この“白黒つかない関係性”には、視聴者による議論が起こりやすい。AbemaTVの恋愛リアリティーショーのようなもので、あえて白黒つけないグレーなところに「余白」が生まれ、視聴者はどっぷりと浸かっていくのです。
結果的に「俺だったらこうするのに」「私もこんなこと言われたい」と口出ししたくなり、それがアルゴリズムに働きかけ、さらにバズる。
運用は停止しているようですが、コメント欄を見ると復活を望む声もありますね……。
(18)アイリスオーヤマ【公式】
数々の企業公式アカウントを見てきた僕が、思わず感動した「アイリスオーヤマ」の公式アカウントを紹介します。
自社商品を用いたライフハック系のコンテンツを投稿し、自然に自社商品をPRすることに成功。 一般人のアカウントに溶け込むことで、公式感をなくしているのがさすがです。
ライフハック系の投稿は情報として役に立つため、共有や保存など高いエンゲージメントが期待できます。それを「お堅い」イメージのある企業アカウントがやることによって「公式が!?」とギャップを生むことができています。
(19)Red Bull Japan
かの有名なレッドブルさんのTikTokを見たことがありますか?
ひたすらエキサイティングな動画を投稿し続けており、「Red Bullはおいしい」とも「翼を授ける」とも言うことはありません。言葉を使わずとも“イケてる飲み物”であることを見事に訴求できているあたり、さすがです。
使われている映像もおそらくTIkTok用に撮影したものではないので、コストパフォーマンスの面でも最強。やはりプロモーションがうまく、マーケティングの天才だなと思います。
(20)ちゃんちゃんまる
綺麗な女性が、パリピな音楽とともに和室でキレキレのダンスを踊る姿がバズりにバズっています。
ヤリラ系音楽 × 和室という意外な掛け合わせ、清楚な女性と奇妙なダンスのギャップがバズりの理由。
あまりの様子のおかしさに、視聴者から「様子のおかしい美人」と名付けられ、それが共感を呼び「様子のおかしい美人シリーズ」としてシリーズ化していきました。
視聴者にキャラクターが設計されてバズるパターンは、コンテンツに余白(=解釈の余地)があったから生まれるものです。あえて自分では触れずに、動画にツッコミ要素を残しておくことで、視聴者のエンゲージメント率も各段と高くなります。
みなさん「余白のあるコンテンツはバズる」と覚えておきましょう。
(21)ivipets
TikTokアカウント「ivipets」さんは、犬の爪切りや歯磨きする様子をASMRコンテンツとして発信。トレンドに関係なく人気があるASMRとペットを掛け合わせた結果、とんでもなくバズっていました。
鳴き暴れることもなく、飼い主にされるがままの犬の様子が可愛らしくて、思わず何度も再生してしまいます。 さらに、非言語コンテンツのため、言葉の壁を取っ払ってバズらせられるのもヤバい。
すでにあるフォーマットやジャンルで大バズを生んでいる様子は、まさに「イノベーションは枯れた技術の組み合わせから生まれる」という言葉そのものです。
(22)悪いが今は青春中
今や戦国時代であるショートドラマ市場。数あるアカウントの中でも強烈なエモさを放つ「悪いが今は青春中」をご存知でしょうか。
アカウント名のセンスが神がかってるのは言うまでもないですが、僕が感動したのは同アカウントの「役」と「演者の関係性」。
演者が同じでも「役」と「関係性」が毎動画に対して変わる場合がほとんどでありますが、同アカウントでは、一話ごとに内容が完結しながらも、演者の「役」が変わらないのです。その結果、視聴者が勝手にストーリーをつくり始め、エンゲージメントも高まっている。
コメント欄を見ると「付き合っちゃえ」「本当は好きなんじゃない?」などといったコメントが多数寄せられていて、視聴者の間で議論が生まれています。
さらに、ほぼワンカットかつBGMなしで、ドラマにリアル感が増しているのもミソです。
(23)ひげドレッド
街ゆく人に「今日のコーディネート」を自己採点してもらい、次に声をかけた人に、先ほど声をかけた人のコーディネートを採点してもらうという新たな企画。視聴時間を伸ばすテクニックが隠れています。
注目すべきは「自己採点させたのちに、第三者にもう一度採点させる」という仕組み。自身のファッションを自慢げに評価した人が、数秒後にどのような評価を受けるのか。人々はその姿が見たいので、必然と視聴時間が伸びるのです。
さらに、一本の動画で完結することなく全ての動画がつながっているので、続きが気になりフォローしたくなります。
トレンドの「街頭インタビューフォーマット」を採用することで、視聴者の視聴ハードルを下げる。そこに「ファッションチェック」、次から次へとバトンをつなぐ「わらしべ長者形式」を掛け合わせることで、唯一無二のアカウントに。よく考えられています。
(24)炊飯器ブラザーズ
レッドオーシャンの「料理ジャンル」で、後発ながらバズりまくっていた「炊飯器ブラザーズ」さんがすごい。空いたスペースを見つけてポジションを確立するのがうますぎて、眼から鱗です。
「炊飯器だけでできる」という天才的なコンセプトは感動ものですよね。
インパクトがあるかつ、料理ジャンルで一番重要な「マネしやすい」「誰でもできる」という手軽さも兼ね揃えていて最強。料理ジャンルは「共有」や「保存」が増えやすいため、簡単レシピはアルゴリズム的に有利です。
アカウント名もキャッチーだからフォローにつながりやすい。「炊飯器に食材を入れて、ボタン押すだけで完成、しかも美味い」ってのはあまりにもキャッチー。
(25)炊飯器ギャル
「炊飯器ブラザーズ」をオマージュした「炊飯器ギャル」のアカウント設計が天才的です。二番煎じアカウントが登場したかと思いきや、しっかりと自分の色を持ったオリジンなアカウントとして成り立っています。
「炊飯器に材料を入れるだけのレシピアカウント」というコンセプト自体は二番煎じであるが、そこへ「ギャル」というキャラクター性と、オリジナルな編集を加えることで、見事にポジションを獲得。
炊飯器をデコってギャルを象徴させるの最高です。顔出しなしでここまでキャラを立てられていることに感動です。単にパクるだけでなく独自のテイストを加えているので、オリジナル性が高まって認知とフォローを獲得できています。
(26)世界一のゆっけ、
「世界一のゆっけ、」こと酒村ゆっけさんは、日常をテーマにした動画でバズっています。
YouTubeは日常Vlog風で、TikTokはルックスのかわいらしさを全面に生かす。巧みなメディアの使い分けや真似できない文章など、強みをかけ算して唯一無二の立ち位置を確立している
ちなみに、ゆっけさんはボドゲ「ウェイウェイらんど」の企画制作を担当された方。「マス」のテキストに文才があふれていて、このパワーが動画にも出ているんだと納得です。
伸びるインフルエンサーには「誰でもできるように見えて、実は真似できない」特徴があるものですが、ゆっけさんはそれは文章力だと思います。
(27)かとゆり(上智)
飛ぶ鳥を落とす勢いで伸び続けている「かとゆり(上智)」さんのTikTok運用は目が離せません。
ただ可愛いだけでここまでバズっているわけではありません。かとゆりさんは演者力が高く、また上智大学理工学部の学生という肩書きもあって、好感度が爆上がりしています。
ルックスが美しいのはいうまでもなく、自身のビジュアルアセットを客観的に把握したうえで、キャラクター設計や立ち回りを考えているのが天才的。
生まれ持ったビジュアルをどう生かすか、つまり配られた手札でどう勝負するかがSNSであり、人生です。
(28)バズるまでコメントに従い続ける女
これまたTikTokの特徴をうまく活用したアカウントを発見しました。広報アカウントかと思いきや、バズるまでコメントに従い続けるネタアカウントに。
最初の投稿で「なにから始めたらいいか分からないので視聴者に従います」と宣言。何度も言っていますが、人は見下せる人にしか応援しようと思えない、マウントが大好物の生き物。彼女のように“情けないけど素直な人”を演じることによって、応援されるのです。
応援される要素をしっかりと理解した秀逸なキャラ設定とパンチのあるコンセプト設計が参考になります。
(29)アプリで会った男がしんどすぎる
コンセプト勝ちしているアカウントを紹介します。「アプリで会った男がしんどすぎる」というセンスしか感じないアカウント名。たった一言でコンセプトを伝え切ることができていますよね。
さらにプロフィール文には「彼氏に浮気にされたのでマッチングアプリ入れました」という一言。現代人によくある話で、ネタとはいえ共感が得やすいストーリー設定があまりにも秀逸です。
そして男性のイケメンなビジュアルとはかけ離れた奇妙な行動言動の組み合わせからなるキャラ設定が天才的。イケメンが奇妙な行動ばかりしていると、嫉妬の感情が生まれにくく、むしろ応援されたり、ファン化につながりやすい。
演者の男性はこのテクニックで、男女を問わず視聴者のファン化に成功しています。
(30)わかさ生活【公式】
わかさ生活のTikTok担当者さん、もはや会いたいレベルです。同社の主力商品はみなさんご存知のひとみケアサプリ「ブルーベリーアイ」ですが、ニーズが顕在化していない視聴者に「欲しい」と思わせるのがうまい。
「動体視力トレーニング」なる動画はやっぱり見てしまうし、「自分は目が悪いかもしれない」という気付きを与えて商品購買につなげている。
また、目がどれだけよかろうが正解できないクイズを投稿しているのも素晴らしい(僕の目が悪いだけかもだけど)。正解した人は嬉しくて、思わずコメントしちゃうもんね。
(31)ナインだよ
突如誕生し、今や大人気のアカウントとなった「ナインだよ」の運用テクニックがさすがです。
トレンドになっていた「着替えていきます」フォーマットに乗っかり、タイ人の女性が自国の文化を紹介していくコンテンツが原点なのですが、どの動画も見事にバズっています。
これほど伸びるのには、理由がある。まず、女性の演者力です。持ち前のビジュアルアセットと独特な日本語遣いが視聴者の興味を引きつけています。
さらに「タイのカルチャー紹介」という企画自体にインパクトがあります。コンテンツの引き出しが多い上に、日本のカルチャーとかけ離れすぎているために、ただ事実を述べるだけでも面白くなってしまう非常にコスパの良い企画です。
実際にこのフォーマットが活用してバズっている店舗や企業のアカウントをちらほら見かけるように、再現性があるフォーマットなので、ぜひ参考にして見てください。
(32)推しのために整形したJK
SBC湘南美容クリニックがスポンサードしている「推しのために整形したJK」というアカウントを知っていますか?
これまで美容外科のSNS運用といったらビフォー・アフターの症例コンテンツが一般的でしたが、同アカウントでは女子高生が二重整形をするまでの過程を「100日後シリーズ」フォーマットで発信しています。
「100日後にシリーズ」を筆頭に、毎日継続するコンテンツは、「最後はどうなるんだろう」と続きを気にならせることができるため、視聴者がフォローする理由につながります。
さらに、SNSにおいてコンプレックスは武器になるため、同じ「一重」というコンプレックスを抱えた視聴者からの共感が得られる。多くの女性が二重整形に関して悩んでいるため、情報自体に需要があり、参考になるアカウントになっています。
企画一つひとつが秀逸なのですが、なかでも父親へ二重整形を説得する動画は控えめに言ってヤバいです。父親を説得をしているようで、実は、整形を考えている視聴者に対して合理的に二重整形の訴求をしています。
整形をした後には「整形して○日」というコンテンツに切り替えて、継続しているのもうまい!
(33)ELSA Speak Japan
タイムラインに流れてきた動画を見て思わず「やられた!」と唸りました。
TikTokアカウント「ELSA Speak Japan」のコンテンツが非常に秀逸です。
同アカウントでは、英語学習アプリ『Elsa Speak』で使える機能をコンテンツに落とし込み、広告感を匂わせずとも視聴者へ「アプリを使ってみたい!」と訴求することに成功しています。
実際にコメント欄を見ると「なにこれ!」「使ってみたい!」といったコメントが殺到しており、広告にもかかわらず多くの視聴者が群がっています。
さらに、見ているだけで英語の勉強になるのでフォローする理由しかない。アプリPRでここまで面白いコンテンツを出せるのは「さすが!」の一言。
(34)お弁当ホスト
SNSでバズる要素を詰め込みまくったTikTokアカウント「お弁当ホスト」さんはもうチェックしましたか?
ホストのSNSアカウントはすでに飽和していますが、「料理」という一定数需要のあるジャンルを掛け合わせ、唯一無二のアカウントとして確立している点が秀逸です。
ホストがわざわざお弁当をつくり、「お金がない」と印象づけるあたりセンス抜群。また、自身を「売れていないホスト」と名乗り、視聴者が応援したくなる要素をしっかりとコンセプトの中に取り込んでいます。
大事なことなので何度でも言いますが、SNSで勝つためには「独自のポジショニング」が非常に重要です。空いたポジションを一度占領してしまえば、勝てる。
さらに、プロフィール文の「アフター用のお弁当作ります」という一言もうまい。集客につながるコンセプト設計として、ぜひとも参考にしたいです。
(34)リノベマニア
不動産ジャンルでトップをとっている「ないけんぼーいず」さんのリノベ特化アカウント「リノベマニア」が秀逸です。
関東圏を中心としたリノベマンションの物件を投稿しており、「リノベ」というコンセプトを確立することでオリジナルなアカウントとして成功しています。
物件選びは人間の終わりなき欲求であるため、ついつい見てしまう。もともとコンテンツとして一定の需要がある上に、「リノベ」に特化したのがさすがです。
賃貸不動産という大きな市場の一部でも、特化することで尖ることができる。空いたポジションを見つけて早期に占領してしまえば、そこで培ったノウハウやブランドでより大きなチャレンジができるようになっていくと思います。
(35)🍊りさ🦋🫧
TikTokでは「転落人生」すらもバズりの燃料になる。「🍊りさ🦋🫧」さんは、コロナ禍によって生活の水準が下がってしまった様子を投稿。結果、かなりの再生数を叩き出していました。
コメント欄を見ると、そこには人間のインサイトがよく表れていました。過去と現在の暮らしのギャップが大きくて、すごく強い画に引きをつくれている。
悲しいかな、人間は他人の不幸が大好物で、転落していく過程に興味を持ちます。哀れんだり、同情したりといった感情の起伏が、アルゴリズムに働きかけてバズっています。
(36)アダム🪽
街で見かけた人に似顔絵をプレゼントするという、あったようでなかったコンテンツ。ストリートスナップ同様、毎回異なる人との出会いがありドラマがあり、一期一会な部分がよりコンテンツに深みを出しています。ちなみに、一本目からミリオン再生を達成。
似顔絵を描いてもらって不快になる人はいないはず。つまりこの動画を取り巻く感情は、ほぼすべてが「幸せ」なわけです。人は幸せをシェアしたくなるもの。不快な感情がコンテンツを炎上させるように、幸せの数だけシェアされるのがSNSです。
資本主義社会において、仕事の対価は金銭であり、金銭価値を高めるには「ありがとう」の数を増やせばいい。それと同じで、SNSをやる際は他人の幸せを願って「ありがとう」の数を全力で増やしにいくのも一つのテクニックです。
(37)いぶへよスカッシュ
ショートドラマ市場が戦国時代となっていますが、「いぶへよスカッシュ」さんは他アカウントとの差別化に成功している。
ショートドラマは短尺でストーリーを伝え切る必要があるので、恋愛やホラーなどジャンルが限られてきますが、彼らはその限りではない。現代への風刺要素も取り入れた独特の世界観で視聴者を引き込んでいます。
少し長めのコンテンツでも視聴率を維持できているのは、自分の中にある見栄や虚栄を突かれてしまったり、ループさせる細かいテクニックがコンテンツに散りばめられていたりするから。
連続性のあるストーリーで引っ張らず、一話完結で観させきるのも技術があってこそです。
(38)ミシェルマカロン
人気アパレルブランド・ミシェルマカロンのTikTok運用がさすがです。
運用担当者が天才なんだろうな。
トレンドの「フォロおごチャレンジ」を取り入れ、自分なりにアレンジを加えたコンテンツで見事にバズり、驚異の速さでフォロワー獲得。おそらく、アパレル系アカウントの中で、初めて街頭系を取り入れたアカウントのはず。
自社ブランドのアイテムを着用している人に声をかけるという自分なりの色も出しつつ、既視感のあるフォーマットで視聴者の見るハードルを下げることに成功しています。
(39)修一郎
我々にTikTokドリームを見せてくれる「修一郎」さん、バズるのにはやはり理由があります。ホワイトスペースを独占するのが非常にうまいです。
修一郎さんは「僕は東京の大学生」の一言で、「東京の大学生=修一郎」というボリュームのあるポジションを獲得。今ならよくあるポジションだけど、修一郎さんの学生だった当時は、しっかりそこが空いていた。
その後に 「早稲女の日常」 などの自己紹介も生まれてそれなりにバズりましたが、やはり修一郎さんには届かない。
つまり、大きなポジションが埋まるとニッチな領域で尖る以外に勝つ方法がなくなっていくので、いかに早く大きなホワイトスペースを見つけるかが重要なわけです。
一度でかいポジションを占拠すれば後は何をやってもバズる。経営もYouTubeもTikTokも実質的に戦う場所がすべてです。
(40)100日後にかっこよくなる人
「100日後に〜」シリーズはバズるフォーマットとして知られていますが、なかでも「100日後にかっこよくなる人」の運用はかなり参考になる。
アカウント開設当初は「100日後にかっこいい部屋をつくる人」をコンセプトに、一人暮らしの部屋アレンジ動画をメインに投稿していました。100日が経過して部屋が見違えるほどオシャレになったところで、今度は「100日後にかっこよくなる人」にコンセプトチェンジ。
「100日後に〜」というテーマはそのままに、よりPR案件が受けやすい、つまり稼ぎやすいコンセプトへと移行しているわけです。
これだけのフォロワーがいれば、パーソナルトレーニングも医療脱毛もホワイトニングもすべてPR案件で実施できる。「肌に悩んでいる」というコンプレックスを武器に変えている点もポジティブで、それができるのはご自身のビジュアルアセットを理解されているからこそ。
美容チャレンジが終われば、今度は「100日後にかっこいい起業家になる」と銘打って、事業を立ち上げることもできますよね。いきなり「金を稼ぐ」なんていうと印象が悪いけど、部屋をかっこよくして、自分をカッコよくして、今度は稼げる男になりたいという流れなら、みんなから応援されるはずです。
彼は、人にお金をもらいながら人生を豊かにしていく切符を手にしたわけです。
(41)実況ベイビー
TikTokアカウント「実況ベイビー」さんは、赤ちゃんというコンテンツの引きの強さを利用しつつ、アナウンサーという職業を武器に唯一無二のアカウントとして成功しています。
意外な掛け合わせが独自のポジションを確立し、とんでもないシナジーを生んでいる。
よく見ると実況してほしい赤ちゃんを募集しているので、レパートリーが一が尽きないのもポイントです。
今後は赤ちゃん以外のコンテンツ、たとえば犬でも猫でもバズれるはず。自分が丸々コンテンツになる必要がなく、強みをうまく抽出しているあたり、TikTokの勝ち方を理解していると思います。
(42)つねおファミリー
「つねおファミリー」はコンテンツとしておもしろいだけでなく、コンセプト設計が天才的です。
同アカウントのキラーコンテンツである「家族定例会議」のコンテンツは、お父さんのキャラクターがポイントになっています。
視聴者がどのように感じるかを見事に把握しており、会議でのあるあるを家族ネタにうまく落とし込んでいるあたりがさすがです。
また、お父さんの聞き取りやすく、落ち着いた話し方や声もポイント。ほっこりコンテンツは見ていて不快にならないので、PR案件を受けやすいアカウントとして伸ばしていくこともできそうです。
(43)らぴです
数々の身に起こる不幸を燃料とし、見事インフルエンサーへと成り上がった「らぴです」さんのコンセプトが秀逸。
「私は4姉妹貧乏育ち」「34歳独身」と、彼女の背景アセットはどれもSNSで応援される要素が詰まっています。それを前面に押し出した上で「貧乏なので助けてください」ではなく、自分にできる精一杯をやり切っているから炎上せずに応援されるわけです。
コメント欄をみると、人々が彼女に「賞賛」と「同情」の二つの感情を抱いていることが分かる。この二つの感情が合わさることで「応援」につながっています。
(44)poo_382
このアカウントは控えめに言ってマジでヤバいっすw
「日本国民のほぼ全員が感じているストレスを思い切り叫ぶ」というシンプルなコンテンツがバズりにバズっている。SNSでは共感が重要で、視聴者が当事者意識を感じたり、共感を感じられるとバズります。
ただ憂鬱になるのではなくて、もう面白いくらい全力で叫んでいる点がミソ。そのハツラツさが笑いに変わり、「つらいのは私だけじゃない」と勇気をくれるので、ファン獲得に成功しています。
コメント欄を見ると「この方の叫びを鬼リピしてから出勤するルーティン出来てるWW」「みんなが思ってること叫んでくれてありがとうございます」とあり、そのコメントにも多くのいいねが集まってます。
「車の中で動画をまわして思いっきり叫ぶ」というあまりにコスパの低い企画設計も、見ていて悔しくなっちゃいますね。
現在は更新が止まっていますが、復活したら復活したでバズると思います。
(45)クレジットカードあるある
SEO勝負だったクレカのアフィリエイトを、TikTokというプラットフォームに切り替えたのが斬新。
TikTokアカウント「クレジットカードあるある」さんは、トレンドのインタビューフォーマットを活用し、街ゆく人にクレジットカードの使用額と種類を聞くコンテンツを投稿。お金の話は誰もが興味をもつため、ついスワイプする手を止めて、最後まで見てしまいます。
「クレジットカードあるある」というアカウント名もTikTokに溶け込んでいる感じも最高。カード会社からのPRがなくても無料カード診断 → 高単価アフィリエイトでしっかりマネタイズ導線も用意されていて、賢いなあと。
TikTokはすでに民主化したプラットフォームだと思うけど、そうはいってもまだまだ新しいプラットフォームなんだろうな。SEOでは埋め尽くされた案件も、まだまだ飯が食える。
(46)うちのこフィギュア®︎南青山店
南青山のペットフォトスタジオのアカウント「うちのこフィギュア®︎南青山店」さんのの企画がうまい。
トレンドのインタビューコンテンツに変えた途端にバズを連発。既視感のあるフォーマットに立ち止まってしまい、誰の話かと思いきや犬の話。今までにない発想がおもしろい。
僕がコンテンツのTTPを推奨しているのは、こういう突然変異が起こるから。“既視感のあるフォーマット”の活用は結構重要で、トレンドに乗っかるだけで見てもらえる可能性がグッと高まる。そこにアレンジを付け加えることで、ポジショニングに成功し、認知を獲得することができるのです。
トップに固定された動画では、しっかりと自社のサービスが紹介されており、集客にもつながりそうな感じ。さすがです。
(46)サモエドりんたろう
トレンド乗っかりで見事にバズったアカウント「サモエドりんたろう」がうまい。
同アカウントでは、炊飯器だけで作れるペットのご飯のレシピを紹介しており、ミリオン再生を連発しています。トレンドとなった「炊飯器料理」のコンテンツをまさかペットと掛け合わせるとは......。
さらに動画内にツッコミ要素を残し、「余白」のあるコンテンツになっている点もポイントです。犬が待ち切れなそうな様子で炊飯器を覗き込むカットが可愛らしく、つい動画を見てしまいます。
材料を食べてしまったり、水を飲んでしまったりする視聴者の予想していなかったカットも入れることで、飽きずに見られる。さらにはツッコミたくなってしまうので、エンゲージメントの向上にもつながります。
毎回犬がどんな反応をとるのか気になるので、何本も動画を視聴したくなり、最終的にはフォローしてしまうという流れができています。
(47)Qrazy Chocolate
「Qrazy Chocolate」さんのTikTokは控えめに言って神アカウント。運用担当の方、出てきてください。自己紹介文の「食べられる未確認生物」というコピーにもセンスしか感じません。
一見、風変わりなアニメのようなコンテンツ。コマ撮りであることから、ついスワイプする手を止めて見てしまいます。まさかすべてお菓子でつくられたアニメーションだなんて、最初に見たときは気付かなかった。
冷静に考えて、動画編集にかけられている工数が半端じゃない。コンセプトをつくるだけならアートの領域だけど、そこにクラフトの視点も入ってる。これを一人でやってるならとんでもないこと。
さらに、オンラインショップに遷移すると、商品数が絞り込まれてるのも上手。動画からアクセスしたユーザーなら迷いなく購入しちゃうと思う。「食べ物を売る」ことの常識をひっくり返しているね。
(48)仁★クズ男製造ch
僕が好きなアカウントの一つである「仁★クズ男製造」さんを紹介します。恋愛コンテンツのようなレッドオーシャンでの戦い方が参考になる。
レッドオーシャンでは、尖りに尖って、埋まっていないスペースを占領する戦い方が賢明です。彼は恋愛という広い市場の中で、「クズ男」にフォーカスすることで見事に差別化に成功しています。
そのうえで、差別化要素に「クズ男」を選んだところが注目すべきポイント。クズ男は、共感、批判、憧れ……とさまざまな感情を起こすので、視聴者の反応率が高まる傾向にあるからです。
さらに、男性なら誰しもがクズ男に憧れる時期があるため、参考書のような存在として繰り返し閲覧される。
コンテンツを単なる情報として消費されず、見事にファン化につなげていく点が参考になります。
(49)Chiirio
TikTokアカウント「Chiirio」のりおなちゃんは、ハンディギャップを背負って生まれてきた女の子。その背景を一切感じさせない彼女のキャラクターに感激してしまった。
彼女のすごいところは、ハンデキャップを売りにするのではなく、自分が生まれ持った「トーク力」というギフトで戦っているところ。SNSを使って、絶望を希望に変えようとしている。それも、6歳という年齢で。
動画では見ている人が思わず笑顔になるくらい明るく振る舞っていますが、テレビの取材では「私はずっとつらいんだけどさ、ママが絶対、頑張って足を治したいって言うから、絶対治るって信じてるからって言うから。本当はいつも足が動かないのが、いつ治るんだろうって思ってる」と。
視聴者に元気と笑顔、そして勇気を届けるアカウントです。
(50)100円娯楽
コンセプトが設計マジでうまい。アカウント名にある通り、彼の動画は100円を使って楽しむ動画がメインコンテンツになっています。
「100円で何ができるんだ?」と冒頭で興味を引きつけた結果、視聴者は最後まで動画を見てしまいます。そして、100円という誰からしてもお手頃な価格で娯楽を生み出して楽しむ姿は、視聴者を虜にします。彼の気取らないキャラクターもファン化させる要因に。
参考にすべきは「とにかく突き詰める」ということ。毎日毎日同じことを投稿し続けるだけで、フォロワーが100万を超えるアカウントにまで成長できる。運用者のみならず見習うべきです。
(51)名前募集中
いろいろあってファンたちを騒がせていた「名前募集中」さんがアカウント設計の観点で参考になります。
同アカウントでは、24時間同じ食生活を続けるという企画を投稿しています。このコンテンツが見事にバズり、フォーマットとして確立。
一度バズり、それが型になれば、レパートリーは無限。まずはバズってなんぼですが、「ネタが尽きないフォーマットをつくれるか」がいかに重要かも分かる。
さらに付け加えるなら、視聴者のアクションを獲得しているのもデカい。コメント欄には「24時間○○生活やってください!」とまるで大喜利のようにコメントが殺到しています。アルゴリズムに多大なる好影響を与えているはずです。
視聴者のリクエストに答えて動画をつくっているのもうまい。ファンは濃いファンに進化し、アカウントの良質化が止まりません。
(52)beauty salon EARNEST
人は自分が信じたい情報を信じる生き物。だから、「ラクして痩せる」「スマホだけで稼げる」といった「あり得ない情報」さえ余裕で信じます。
この原理原則に従えば、「いかに耳障りのいいことを言うか」がマーケティングで成果を上げる手っ取り早い方法なのですが、その逆をいく発想でバズっています。
エステは「痛くない」「誰でも簡単に」を謳うのがセオリーだけど、そんなものは存在ないことをユーザーが理解しはじめたタイミングで、「痛いからこそ痩せる」と正直に公開していて感心。
お客さんが痛がる様子をしっかり出すことで、引きをつくれているのもGOOD。「痛い痛い」という女性の声が入っているのもリアルさを出しています(そして、セクシー要素も相まって視聴時間が伸びている)。
(53)あの日の放課後
エモさ全開の「あの日の放課後」さんの動画フォーマットは天才的です。
帰り道の学生たちの会話をコンテンツにしているのですが、このフォーマットマジでうまいんです。帰り道の何気ない会話が、誰もが経験したことのある学生時代を想起させ、強烈な「懐かしさ」の感情を呼び起こしています。
さらに顔出しすることがないので、自分ごと化しやすい上に、ビジュアルで勝負する必要がない。さらに、視聴者は普段聞けない会話を盗み聞きしているかのような感覚になり、つい最後まで再生してしまいます。
すでに、多様なジャンルでこのコンテンツが使われているのを見る限り、再現性の高いフォーマットです。
(54)➳♡ ゆん
昨年、結婚と妊娠で世間を沸かせたゆんちゃん。料理コンテンツへ切り替えてTikTokを始動した途端見事に大バズりし、ミリオン再生を連発させています。
まず、自分が「時の人」であることを理解し、そのウェーブにうまく乗っかったのが賢い。さらに「奥さん」「ママ」というワードを連想させる料理コンテンツにするあたりが自分のアセットを全力で使いこなしている。
世間の文脈を掴み、切り取り、乗っかる。著名な人ならば、これだけでバズることができる。
(55)保育園 キートス
これほどSNSを使いこなす保育園あったでしょうか。
TikTok経由で30名以上の採用に成功した「キートス」さんの注目すべきコンテンツはショートドラマ。大衆に届くストーリーでありながら、現役の保育士のインサイトを非常にうまく突いています。
女性広報がダンスを踊ったり、男性社員が上裸でポーズ決めたり、たしかにバズるかもしれないけれど、バズることを目的にした結果、誰も得をしないコンテンツを投稿している企業もたくさんある。
SNSにおける採用広報で重要なのは、まず大衆に届くこと。ターゲットを絞り切るとアルゴリズムが評価しにくいコンテンツになるので、まずは見てもらう。
そのうえで、琴線に触れること。インサイトを拾い、ちゃんと刺さないと、アカウントを運用する意味はまったくありません。
(56)サカ/坂【ストリートラーメン】
「サカ/坂【ストリートラーメン】」さんは最高のアカウントです。街ゆく人に声をかけ、家までついて行ってルームツアーして、台所でラーメンつくって食べさせるというぶっ飛んだコンテンツ。一本目の動画から見事にバズっています。
街頭系がバズるのはもう分かったけど、ルームツアーにラーメンをつくるというアイデアは斜め上。鉄板コンテンツにこれほどパンチの効いたオリジナリティを加えてきたら、そりゃあ無双するだろうな。
差別化したいなら、コンセプトはこれぐらい稀有性がないとね。
(57)ロート製薬【公式】
今や多くの企業がTikTokに参入してきていますが、「ロート製薬【公式】」さんはどこよりも早くTikTokを使いこなしていました。
企業アカウントのなのにしっかりバズっている理由は、中途半端なことをせず、トレンドのフォーマットにどっぷり浸かっているから。
大企業はお堅いイメージがある分、トレンドに乗るだけで親近感がグッと湧いて勝ち抜ける。視聴者に「公式がこれやるのwwwww」といわせたら勝ちです。
くわえて、バズった企画をオマージュする姿勢も大尊敬。フォーマットを真似た当人とコミュニケーションを図っているのも最高です。
(58)HATAKEの暮らし
無農薬・無化学肥料で野菜を育てるオーガニックレストラン「WE ARE THE FARM」のTikTokアカウントが秀逸です。
野菜の新鮮さを訴求するために畑の野菜を「直食い」。言語化して伝えるのではなく圧倒的なビジュアルインパクトでぶん殴るコンセプトで、視聴者へ衝撃を与えています。
TikTokにおいて広告感のあるコンテンツは毛嫌いされるため、自ら「新鮮です」と謳ったところで響かない。いかにPR感をなくして魅力を発信できるかが鍵となります。
その点「直食いしちゃおう」となる発想力には思わず感心してしまいました。
(59)14年後のしずかちゃん
「14年後のしずかちゃん」という衝撃的なアカウント名でなにもかもぶち抜いてる同アカウント、コンセプトのつくり込みがすごい。
持ち前のビジュアルアセットを生かし、アカウント名で勝ちにいってる。
ここに「しずかちゃん」っていう永遠のヒロインを持ってくるの、さすがですよね。
お風呂上がりのシーンで「のび太さんのえっち」の一言を放てば、優勝確定です。
(60)アイドルと同棲する男子大生
「アイドルと同棲する男子大生」というアカウント、コンセプト設計がうまくできています。「アイドル=男の影がない」という世間のイメージの真逆をいっているからです。
そして、僕の解説で度々登場する「付き合いそうで付き合わない」最強の関係性を演出していて、コンテンツの中身までインパクトが大きい。
この「付き合いそうで付き合わない」パターンは、かつては高橋留美子作品、最近ではヴァンゆんがいた。時代が進もうが、このパターンは変わらず人々の人気を絶やさないのです。
(61)オレンジくん/沖縄で動画つくる人
ちょっとありふれてしまったけど、「オレンジくん/沖縄で動画をつくる人」のコンテンツが当時はフレッシュで興味深かった。
冒頭にトレンドの街頭系フォーマットを取り入れることで既視感を出し、視聴ハードルを下げている。そのうえで、「1万円をあげるので○○してくれませんか」というよくある切り口ではなく、「1万円か、動画制作か」と二択で声をかけるのが新しい。
トレンドに乗りつつ、オリジナリティを出すことで軸をズラし、唯一無二性を獲得しにいったわけです。
実際に製作した動画を見せることで店舗のPRになり、認知拡大に貢献できる。投稿主の方も「動画を制作してくれる人」として認知をとることができる。
コメント欄を見ると「動画作ってください!」ときており、案件獲得にもつながりそう。WIN-WINな関係性、最高です。
(62)かまぼこやの娘
会社を畳むまでの期間をカウントダウン形式で動画にしていたアカウント「かまぼこ屋の娘」。
倒産を回避できた瞬間に「出来レースだ!」とアンチコメントが殺到。それに対して「出来レースだと言われてしまいました」と自分たちから動画で説明し、ファンが離れていくことを巧みに防いでいます。
このようなプロセスエコノミーコンテンツは、成功までの過程に向けて走るため、「出来レースだ!」とアンチコメントが湧くのは仕方がない。
どうせ湧いてくるアンチをうまく燃料にして、いかに視聴者をファン化させていくかが重要なのだと理解できます。
(63)蛙化彼女と別れたすぎる
「蛙化彼女と別れたすぎる」さんのコンセプト設計は本当に賢い。まず、強烈なアカウント名が、コンセプトを一瞬で伝え切る役目を果たしています。
そして、演者女性のビジュアルと「蛙化」という対比構造が興味を引きつけ、ついつい見てしまう。女性のキャラが視聴者に親近感を持たせ、どんどんファン化していくのです。
「ぶりっこ」「陰キャラ」なそ無数にキャラクターがある中で、トレンドになった「蛙化現象」に乗っかるのにはセンスを感じます。
ただ可愛いだけで勝負していたら、ここまで伸ばすことは難しかったはず。
認知を取るにしても、ファンを付けるにしても、やはりコンセプト設計が重要です。
(64)この中から推しを見っけて
コンセプトのつくり込みが巧みなアイドルのアカウントを見つけました。
まず、「この中から推しを見っけて」というアカウント名が秀逸。見つけてと言われたら気になって最後の女の子まで見てしまいます。
コンテンツは恋愛ゲームのような編集テイストで、女の子が一人ずつコメントしていくといったスタイル。お題はTikTokではお馴染みの恋愛ネタを引っ張ってきており、視聴者の共感を生みやすくなっています。
やはりコンセプトとポジショニングがしっかりできているアカウントは伸びやすい。可愛い女の子が飽和状態の今、勝ち上がるためには、オリジナルなコンセプト設計とポジショニング、視聴者の先をいくSNS戦略で攻めていきましょう。
(65)庵野なつみ
「庵野なつみ」さんのアカウントコンセプトは、控えめに言って天才です。自身の武器である「ビジュアル」と職業である「書道」をうまく掛け合わせた天才的なフォーマットでバズっています。
鏡に書道をするという発想、天才すぎだろ。書いている途中の様子がしっかり映るもんな。武器であるビジュアルと書道を、一度に訴求することができているのがあまりにも賢い。
アニメのキャラクターの名前を引っ張ってきて、海外リーチを狙っているのもさすがだなと。
TikTokでバズりたい人が最初にすべきは“自身のアセットを理解すること”です。自分を客観的に把握して、視聴者が求める姿を理解できるようになれば、間違いなく無双します。
(66)AMATERAS
広島にあるキャバクラ「AMATERAS」さんのコンテンツが人間心理をよく理解しています。
顔出しなしで視聴者を引きつけられる、なおかつ再現性が高いこのフォーマットはあまりにも天才的。素顔を出さずともバズらせることができる上に、「この女性はどんな顔なんだろう」と視聴者の興味を引きつけることができる。
さらに、お客さんへの電話は、普段聞けないことを盗み聞きしている気分になり、面白くて最後まで見てしまいます。
あらゆるジャンルで再現が可能であると思うので、企業アカウントの運用担当者は必見です。
(67)たすく
良くも悪くも話題になっている「たすく」さんがすごい。持ち前のアセット「モノマネ」と社会のトレンドを掛け合わせた彼のコンテンツは、誰しも一度は見たことあるのではないでしょうか。
トレンドネタは鮮度が命と言われますが、トレンドの収集の速さで彼の右に出る者はいません。ネットミーム的なニッチネタを取り上げるところもクセになるポイント。
彼のモノマネのクオリティの高さには、バカにしているながら相手へのリスペクトを感じてしまいます。痛烈な炎上ネタをいち早く拾い、「モノマネ」という手法で表現する彼の動画はいわば“現代の風刺画”です。
(68)rin_streetsnap
ストリートスナップ界に彗星の如く現れた「rin_streetphoto」さんのコンテンツがヤバい。
ストリートスナップ先駆者の「アノニマス」さんを筆頭に、沢山の類似アカウントが誕生。その中にも他とうまく差別化を図りバズり始めているアカウントです。
彼は動画の軸でうまく差別化を図っています。多くのアカウントが被写体のファッションやビジュアルを重視しているなか、同アカウントは人の人生や人間性にフォーカスしています。
そうすることでコンテンツに深みが増し、まるでドキュメンタリーを観ているかのような感覚になります。人は人はストーリーに興味を持つ生き物なので、やはり最後まで観てしまうのです。
ただ地域を絞ってニッチ化するわけではなく、軸を変えて尖る......。非常に参考になります。
(69)ラーメン翔
コンセプトメイキングとコンテンツが神がかっていて衝撃を受けた「横浜ラーメン翔」のアカウント。マーケ担当の方、ぜひ参考にしてください。
ギャルが店長に電話する動画では、「店長の人柄」「バイトの働きやすさ」「バイトと店長の関係性」「店舗のメニュー」など、様々な情報を間接的に訴求することに成功しています。これほど店の認知拡大・PRにつながっているのに、信じられないほど広告感がない。
コメント欄を見ると「こんなところで働きたい」「店長に会いに食べにいきます」といったコメントが来ており、ただバズらせるだけでなく、採用や集客の効果も期待できる。
ド直球に魅力を訴求しちゃうギャルの破壊力、見習いたいところです。
(70)dojippeeee
バズるテクニックの一つに「目標を掲げて過程を見せる」、つまりプロセスエコノミーがありますが、それを活用した「dojippeeee」さんの動画は一度目を通しておくべき。
定年退職後の優しい雰囲気のおっちゃんが「定年後にやりたかった100のこと」に次々とチャレンジしていくというコンテンツを投稿しています。男なら誰もが一度は夢見るような「あんなことがしたい」「こんなことがしたい」を次々と叶えていく姿は、見ていて最高に気持ちいい。
さらに、おっちゃんの無邪気で少年心を忘れていないようなキャラクターが、良い味出しまくっています。見ていて気持ちいいうえに、応援したくなる要素まである。
さらに1動画につき1チャレンジしており、毎回内容が異なるため「今日はどんなことをするんだろう」「最後のチャレンジは何するんだろう」と気になり、フォローする理由につながっているのもお見事。
何回も言っちゃいますが、コンセプト設計ってマジで大事だと改めて思いますね。コンセプト設計を制する者は、確実にバズる。
(71)フィルムエスト
企画が面白すぎる「フィルムエスト」さん。一回動画を見てみてください。
分かる人にはフェイクだと分かるのですが、ある視聴者は「昭和はそうだったのか」と勘違いしてしまう。昭和の番組を感じさせる画質の悪さがいい味を出しています。
僕ら世代はあまりのネタ感に感心してシェアしちゃうし、若い世代は「これが昭和か!」と面白がれる。視聴者への配慮があるなの感じるのは、動画が進むにつれてフェイクみが強くなり、最後には明らかなネタだと理解できるところ。当然悪意はないものと分かります。
世代を横断してウケを狙っているところに企画者の才能を感じるなー。
(72)ふさえ@87歳
企業アカウントには見えないアカウント名とコンセプトにはセンスしか感じない。
そもそも、高齢者とSNSの相性は抜群です。TikTokにお年寄りが登場すること自体にもの珍しく感じて見てしまいます。さらに、「高齢者はテクノロジーに疎い」というバイアスがあるので、ネタがなくてもバズってしまう。
内容が微妙でもなんか許せるし、的を射ていたら驚くし、なにを伝えようがバズるという無双モードに突入するんです。
なにも、特別なことをしなくても大丈夫。長い時間を過ごしてきた人の話には深みがあるため、大真面目に人生を語るだけでもバズります。
ふさえさんの個人アカウントのような見せ方をしているのもうまい。こうすることで、アカウントにファンが付きやすくなっています。
(73)大好物は高カロリー🐷୭*゚
レッドオーシャンのグルメアカウントで、これだけエグい再生数を稼げるのはヤバい。完全に僕の見解ですが、「大好物は高カロリー🐷୭*゚」さんの他の競合アカウントと異なるポイントは、動画の軸です。
多くのグルメアカウントは、完成形を披露して「映え」を狙う中で、同アカウントでは完成形ができるまでの調理過程を軸に動画を制作しています。
工場見学と同じ理論で、普段見ることのない裏側の光景に、私たちは釘付けになってしまう。さらに、パンケーキをプルプル揺らすなど食べ物に動きをつけることで、冒頭で興味を持たせやすくする工夫を施しています。
激戦の料理ジャンルの中で、勝ち上がるにはまだまだ僕たちの気づかない工夫がたくさん詰まっているんだろうな。
(74)街頭オフィスツアー
大人気アカウント「街頭ルームツアー」さんの運用者が立ち上げた、企業の認知採用を目的とするNEWアカウント「街頭オフィスツアー」。控えめに言ってヤバイです。
前から歩いてくる人に家賃を聞くというお馴染みのシーンからスタートし、そのままルームツアーかと思いきや、まさかのオフィスを紹介するという企画。
オフィスの中や働く人の声、様子......。視聴者が企業を知る上で抑えておきたい情報をまるっと、一本の動画で伝えることに成功しています。広告感がまるでなく、ばっちりPRできている。
ルームツアー同様、「この人は一体どんな職場で働いているのだろう」と気になるので、視聴者はついスワイプする手を止めて見ちゃう。職業問わず、あらゆる業界で再現性の利くフォーマット間違いなしです。
(75)事務所にバレたら即終了
「事務所にバレたら即終了」のコンセプトがマジで秀逸です。TikTokでのバズり方を完全に理解している。
コンテンツは「女性がカラオケで撮影した動画」なのでシンプルですが、アカウント名を「事務所にバレたら即終了」に設定し、引きをつくるあたりはセンスしかない。
自己紹介分の「友達がいないので一人カラオケでストレス発散」というのも、コンセプトの世界観をつくる重要な役目を果たしています。
コメント欄には「絶対⚪︎⚪︎だ」「⚪︎⚪︎に似てる」といった、投稿主が誰なのかを予想するコメントが殺到。
すべてを語りきらず「余白」を残しておくと、SNSでは議論が起きる。ここまで視聴者の心理を掌握しているとは……。それにしても、誰なのかは気になる。
(76)大人の学校 🏫
無数にある教育系アカウントの中でも、10万人近くのフォロワーを抱える大人気アカウント。「大人の学校 🏫」さんが大人気の理由を大解説しちゃいます。
多様な企業の戦略や方針について解説するという内容は、お堅いものにもかかわらず、「情報の発信形式」が秀逸であるから最後まで見れてしまうのです。
教授が視聴者に対して語りかけるような切り口ではなく、生徒さんとのやり取りの中で間接的に視聴者へ発信するというフォーマットがさすが。
「やりとり形式」にすることによって、視聴者は一緒に考えながら動画を見進めていくことになる。教授が生徒に対して「これは何でだと思う?」と投げかければ、視聴者も一緒に考えるようになるので自然と視聴継続率も伸びていくというわけです。
内容も分かりやすく、誰が見ても理解できるレベルに噛み砕かれていて、視聴者目線なコンテンツだなと。
さらに、誰もが知る大手企業やチェーン店などを中心に取り上げることで、視聴者への興味づけと親近感を持たせることにも成功しています。いわゆる「ユニクロ理論」ってやつです。
(77)ポチ田としんちゃん
カップルYouTuberから始まり、TikTokでもカップルアカウントがどんどん誕生。コンテンツが飽和するなかにあっても、「ポチ田としんちゃん」の人気は絶えない。
日常の切り抜きのようなコンテンツだが、二人の言い合いのテンポ感の良さが視聴者を釘付けにしています。一見しただけでは「普通の動画」に見えても、よくよく見れば見飽きさせない工夫がたっぷり詰まっている。
プロモーション動画も、動画内に商品が出てくるまでPRだと気づかないほど自然な作り込みです。
レッドオーシャンになりつつあるカップルアカウントでは、幸せ微笑ましいキラキラした部分だけを見せていても差別化drきない。やはり、このぐらいのインパクトがないと唯一無二のアカウントとして突き抜けられない。
自身のアセットを理解して、求められているものになるのがポジショニングのカギです。
(78)田舎民カイジ
編集のクオリティが無駄に高すぎる(笑)。彗星の如く現れ、しっかりバズっている「田舎民カイジ」さん。コンセプトもキャラ設計もナイスなうえに、編集技術で視聴者を引き込んでいく天才です。
ビジュアルアセットを生かしつつ、田舎ネタで視聴者の興味、共感を得ることにも成功しています。
TikTokはコンテンツゲーだと思っていたけれど、これだけ編集のクオリティが高ければ「編集が上手いアカウント」としても認知されるようになり、武器として使っていける。
田舎民という設定を裏切らない身なりや話し方、世界観の創出もお見事です。
(79)20代のあなたへ
「20代のあなたへ」っというアカウント、これまたコンセプトメイキングが秀逸です。投稿されているコンテンツはアカウント名通り、高齢者が今の20代に向けて伝えたいことを発信するというもの。
このコンセプトでのミソは「高齢者」からの発信というところ。物申す系は、お年を召した方々の方が説得力もあり、視聴者は効く耳を持ちやすい。胡散臭い起業家の発言よりもスッと聞き入れることができるのです。
そして、お年寄りコンテンツはTikTokとの相性が抜群です。なぜなら、ITリテラシーが決して高くないはずの世代の方々がSNSに登場することが物珍しく、つい興味を持って見てしまうから。
「20代のあなたへ」というアカウント名も、視聴者に一発で興味を持たせる最強の一文です。
(80)べべちゃん🇫🇷🇯🇵
バズり要素しかない動画を発見。「フランス人シェフがおにぎりを食べる」。シンプルだけど視聴完了率が高いのは自明です。
おにぎりは日本を象徴する食事であり、これを外国人が喜んで食べるシーンはやはり嬉しいもの。さらには「フランス人シェフ」という権威性が嬉しさを爆増させる。
この動画にあるバズり要素を分解すると、「違和感」「期待」「共感」。
日本人の国民食をフランス人が食べるという違和感で引き留め、自分たちが毎日のように食すおにぎりを「おいしいと言ってほしい」という期待で視聴を続け、最終的に「美味しい」と言ってもらえた感動で「分かってるね」と共感してコメントする。
おにぎりを食べる動画はバズらないけど、外国人が食べるだけでバズる。「誰をアサインするかでこうも変わる」ということが学べる動画でした。
(81)あやのは元カノ
元カレが元カノを載せるという、分かりやすくも強烈なコンセプトでバズっています。この付き合いそうで付き合わない二人の距離感に、人はどうしても興味を引き付けられてしまう。
コメント欄を見ると、「復縁してもうまくいかないよ」「ほんとは好きなくせに」といった二人の心情や関係性を予想するコメントで溢れています。曖昧な関係性を見せることで、視聴者に好き勝手言わせているのです。
人間心理をうまくついている賢いコンセプトだと思います。
(82)同期と同棲中
事実としては「同期の家に居候している」だけなんだけど「彼女と別れて、同棲を解消した日に同期の家に転がり込んだ男」と説明することで強いコンセプトを持ったアカウントに進化している。
なぜかイチャつく動画も少なくないかずあり、“ゆるBL感”が生まれて人気になっています。 キャプションに「彼女ではなく、同期です」とあえて入れているのも腐女子の感性をくすぐってるよね。「付き合っちゃえばいいのに」という気持ちが起こり、その後の展開が楽しみになっちゃう。
コンセプトが強ければ、企画で負けても視聴者を獲得できます。逆にコンセプトが弱いと、企画で勝たなければいけない。
後者だと毎回産みの苦しみを味わうことになるけど、前者なら人気企画をなぞるだけでも一定の視聴数を維持できる。今後もアカウントの数は増え続けていくので、これからも「SNSはコンセプトが命です」ということは言い続けていきたい。
(83)Club Lalah | 六本木
用に困っている会社(つまりほぼすべての会社)の採用担当者は以下のコンテンツに目を通すべきなのかなと思いました。
ものすごく高い再現性で自社の魅力を伝えられるようになります。 あまりにも自然に自店舗で働く魅力をアピールする「club lalah六本木」さんのTikTokアカウントを見てみてください。
「黒服が他店で働くスタッフを引き抜こうとするも、すでに働いている店舗の魅力に圧倒される」というフォーマットで、ナチュラルに労働条件のよさを訴求できています。
現代は企業が声高に語る魅力より、第三者のレコメンドが刺さる時代。この流れをうまくつかみ、自然なフォーマットで表現する発想に脱帽です。労働環境に自信があるなら、絶対的に活用すべきかなと。
ちなみに採用活動以外でも、商品の販売なんかにも生かせると思います。ぜひ参考にしてみてください。
(84)けい
おそらくカップルアカウントをそのまま引き継いでいる「最近別れた元カップルTikToker」に感情移入せざるを得ない。
基本的にカップルインフルエンサーの動画を見ている視聴者は女性。彼氏側は別れたら用済みになっちゃうんだけど“振られた側”に振り切ってアカウント運用してるの賢い。
アカウントに視聴者が残るし“残された男”の人生は新規視聴者も楽しめる。コメント欄見ても分かる通り同情の声がめちゃ多くて、世の中の弱者男性が応援しやすいコンテンツになってるんだよね。
ど素人さんも言っていたが、SNSでは“雑魚キャラ”が武器になることを忘れずに。
(85)西本たける
ただ演技力が高いだけならここまで伸びていないはず。芸人・西本たけるさんのTikTokアカウントが“神は細部に宿る”を体現していて参考になります。
彼のスペシャリティは「マッチングアプリに実在した男たち」のモノマネ。背景透過でそれっぽい動画をつくるのではなく、実際に街を歩いたり、居酒屋の中で撮影したりしているから、デフォルメしているとはいえめちゃくちゃリアルです。
ハガキ職人の心理と同じで、ポインティのアカウントに性事情を投稿したくなるのと同じで、自分の激ヤバエピソードを採用してもらいたくて女性たちはどんどんネタを提供します。だからネタに尽きることがなく、それでいてリアルなネタを投稿し続けられ仕組みもよくできている。
彼のアカウントが教えてくれるのは「同じようなアカウントが山のようにあっても、動画のつくりこみで頭ひとつ抜きん出ることができる」という学び。 ただでさえ演技力が高い人がこんなにも動画をつくり込んでいるのだから、素人が勝とうと思ったら細やかな創意工夫をしないと限界があるよね。
(86)ぶんちゃん /俳優👯♀️🥦
あるあるのチョイスに女性のリアルな視点が入っていて、共感性が非常に高い。そこに演技力の高さが重なってコントではなく日常の裏側を見ているような気持ちになる。コンテンツがバズるのにも納得です。
ただ、コンテンツというかシチュエーションにファンが付いているので、もしかすると本人にファンが付きづらいかもしれない。SNSは、ここが本当に難しい。
恋愛系で伸びやすいのは、例えば二人組で恋愛観を語るようなコンテンツ。共感を集めやすいので、そのぶん人の目に触れる可能性も増えます。「蛙化」がバズワードになっているのも、語られた恋愛観に強い共感が集まっているからです。
内面をさらけ出すことで、獲得したフォロワーをファンに変えていくアプローチもできるけれど、新規のリアクションが最重要視されるTikTokでは難しい。ファン向けのコンテンツは伸びにくいので、プラットフォームを横断しながら戦っていく必要があります。
(87)さかみか
声を大にして言いにくいことは、つまり声を大にして言えばバズる。これをポップに実現しているアカウントを見つけました。さかみかさんです。
「世の中の男子に物申す!」から始まるこのフォーマットに名前を付けるなら“江頭フォーマット”。でかい声で「物申す!!」と宣言すれば、おおよそのことがポップに言えるようになる気がします。
ジャンルをずらして無双するなら、学校の先生をはじめとする教育者とか思い付きますね。生徒に向かって「声を大にして言いにくいこと」は無限にあるはずで、燃えるリスクはありつつバズりそう。
仕込みをしっかりやるなら、部下が上司に向かって不満を叫ぶのもいいですよね。風通しのいい会社としてアピールできそうです。
(88)理容師のあいざわさん🪒
美容師にはできない「剃る」にフォーカスしてエンゲージを集めている理容師が賢い。「顔剃り動画」でミリオン再生を連発するなど、自分の強みを明確に理解している立ち居振る舞いが勉強になります。
顔剃り動画の強みは過程を見せられること。美容師の鉄板フォーマットであるビフォー・アフターは前後のインパクトで勝負するので、大きな変化がないことには飽きられる。
一方、理容師の顔剃り動画は過程を見ているだけで楽しめる。聴維持率を保つためのテクニックが不要なのです。
特に「うなじ剃り動画」はゴミ屋敷の掃除動画よろしく、一度見たら最後まで見てしまう中毒性があると感じました。
「うなじを綺麗に見せたい」という欲求を持った女性は多く、つまりはコンプレックス訴求ができているのも強い。
美容師がレッドオーシャンでやり合っている中で、ひとりブルーオーシャンをスイスイと泳いでいて賢すぎる。
(89)みんなのマーケット株式会社
無条件でスワイプする手を止める方法のひとつが「ニュース番組風のフォーマット」。緊急速報的にコンテンツをつくれば、無名のアカウントでも見てもらえるチャンスがあります。
事実として、ただの企業アカウントのコンテンツもタイムラインで話題になっている。 ただフェイクニュースといえばフェイクニュースなので、これが社員の悪ノリコンテンツだと間違いなく炎上してしまいます。
みんなのマーケットは落とし所を猫にしているのが上手で、だから燃えずにバズっている。
これらの組み合わせは最強で、注目を集めつつ怒りの矛先がなくなるので、最後はほっこりして視聴を終えることができます。
このコンテンツがブランド価値向上につながっているかといえば微妙だけど、View数を稼ぐにはいいフォーマットだなと思いました。
(90)オムライス兄さん🍅🐣🍚
バズりたいなら、人生を変えたいなら、なんでもいいから365日継続すればいい。365日継続すれば、たいていバズるから。
オムライスネタを投稿し続けるヤバいアカウント「オムライスお兄さん」のタイムラインは、見事にオムライス一色です。
もちろん細やかな戦略はあるだろうけど、彼がやっていることを一言でまとめると「オムライスをつくり続ける」。それだけ。
誰にでもできることを誰よりも大真面目にやり続けて、SNS総フォロワー数100万人超えのインフルエンサーになっている。ブルーオーシャンは、まだまだ無限にあるといえます。
(91)かにの仲間です🦀
「オムライスお兄さん」と同じ香りがします。100日レモン生活をしていたこちらのアカウント、日に日に投稿のクオリティが上がっていて面白いです。
唐揚げにレモンを絞るのではなく、レモンに唐揚げを絞る動画はさすがに吹き出した。
この動画でファンになったし、100日達成までのストーリーを最後まで見届けたくなってしまった。 人は人のストーリーから目を離せない生き物なので、過程を晒し続けるという行為はSNSとの相性が抜群です。
また「見られている」という意識が継続をサポートするので、これを利用して人生を変えることも可能です。 漫然とすぎていく人生に退屈したり、通勤中に今の生活に疑問を持ったりしたら、100日間同じことを繰り返して発信してみましょう。
早起き、ヘアセット、爪磨き、料理、筋トレ、レモンを食べる……なんでもOKです。続けていればアイデアを考えるようになりますし、その試行錯誤は仕事や私生活を豊かにするヒントになります。
(92)LARME official
雑誌が読まれなくなり、雑誌の売上が落ちようとも、雑誌が持つ権威性はいまだ現在。それを表しているのが『LARME』のTikTokアカウント。
ブランド力を活用して人気インフルエンサーを次々とアサインし、バズって、タイアップして、季刊誌の売上も確保。紙からWebの流れを踏襲しても大きな利益は見込めないので、SNSにシフトチェンジするというのは賢い戦略だと思います。
紙の雑誌は店頭に並んでなんぼのビジネスなので、SNSが普及して嗜好が細切れになった今、デモグラで区切れば売れるなんてことはなく、そもそも大量に売ることが難しい。
これがWebになっても、読者は求めるものに対して自由自在にアクセスできるので、広さを取ろうとするとコストがかかる。
こうした潮流をみて、雑誌のファンだった読者たちは「世界観が壊れてしまった」というけれど、それは致し方ないこと。そもそも女性誌というのは、編集部だけでなくモデルたちと一緒に世界観をつくっていたから。
SNSに舵を切ると、雑誌づくりに参加するモデルはおらず、効率よくトラフィックを集めたい編集部と、権威性を求めるインフルエンサーがマッチしてしまうのは構造的なもの。
(93)🦋小悪魔ageha🦋
雑誌の権威性を引き継ぎ、再生数を伸ばしている『小悪魔ageha』。インフルエンサーをアサインするのは『LARME』と一緒だけれど、出演モデルに明確な色があるのが大きな違い。
LARMEと違いagehaは系統の幅が狭いので、そぐわない系統のインフルエンサーが出演すると違和感が出る。だから今でも雑誌のトーンを色濃く残している。
また、出演モデルたちの“裏側”にフォーカスするのも特徴的。ここには戦略もあるだろうけど、そもそもSNS時代のインフルエンサーは写真<動画カルチャー。得意分野で勝負するためにこのスタイルになっているのだと思う。
雑誌時代のように「写真で活動する人」たちじゃないからこそ、どういう人なのか、どんな性格なのかを積極的に打ち出したく、モデルたちとの絡みを多くしているのだと思います。
あと、うまいなと思うのは、スタッフとモデルが仲良くなっているところ。撮影できる素材が増えるので、運用のコスパは良くなる。ただ、それだと搾取になるので、ちゃんとモデルの夢を実現してあげたり、大型の案件を獲得したり、持ちつ持たれつの関係にならないといけない。
優秀なマーケターは演者のことを誰よりも深く知っているわけで。深く知っているからこそ叶えられる夢があり、マネタイズと自己実現を同時に叶えられる。
(94)神田ワンダーランド
マーケティングの本質を捉えているすさまじい素人を見つけました。TikTokで一旗上げたいなら「神田ワンダーランド」さんをフォローしてください。
マーケティングに天才的な発想や驚異的な閃きは必要ありません。世の中に受け入れられた事象やトレンドをキャッチして「なぜ受け入れられたのか」というコアを取り出し、それを別の事例に適応させることがマーケティングの本質です。
神田ワンダーランドさんは、それができている。とくに「カップル思い出ムービー風」シリーズはあまりにも痛快でバズらない理由がない。
SNSにおけるカップルコンテンツのファーストウェーブはミクチャ。カップルダンスやプリクラなどがシェアされ、セカンドウェーブではYouTubeのカップルチャンネルが始まった。 これらにはトレンディドラマや恋愛映画で描かれる「エモさ」「刹那さ」「キュン」がトレースされていて、ジャンルのファンたちにはとてつもないニーズがあった。
一方で、カップルで動画を上げることへのアンチもすさまじいほどいる。シンプルに動画のおもしろさが理解できなかったり、もしくは嫉妬心から執拗なまでの憎悪を持つ人もいる。このアンチたちが求めているのは、動画への批判でありチャカしです。
神田ワンダーランドさんは、これまでに流行してきたカップルコンテンツをオマージュして、しかしパートナーには「炒飯」を選びました。 カップルチャンネルという排他的コンテンツをめちゃくちゃイジることでアンチの期待に応え、それと同時に恋愛コンテンツ好きの「この人バカおもしろい」という反応もかっさらっているわけです。
コアを取り出す思考法はマーケターにとって必須です。神田ワンダーランドさんをフォローして、彼の脳内をインストールしましょう。
(95)desk-tour
固定的なフォーマットでも「バグ」を起こせばバズる。「有益でも見飽きられてしまったフォーマット」は、バグあれば見てもらえるようになります。
例えば、見飽きてしまった「○○5選」シリーズは、「○○1000選」にするとバグが起こり、本当に1000あるかどうか気になって見てもらえるようになります。かつ、中身がよければ保存もされる。
このバグはわりと有益で、ほかにも「まったく使えない英会話」などもあります。コンテンツの数が飽和するとユーザーが教育されて、一時期は有効だった「既視感」がバズを阻害してしまうので、そんなときはバグらせてください。
(96)りおレモン🍻🍋
若い女性が、一人で大衆酒場や赤提灯を巡るというコンセプトが新しい。グイグイ酒を飲んでいく姿は爽快で、思わず冷蔵庫のビールに手が伸びます。
激安の大衆居酒屋は常に一定のニーズがあり、動画を楽しめるだけでなく、行きたいお店を探せる意味でフォローしたくなる。
「食べログで探すより、りおレモンさんをフォローしておけばいいのでは?」と思ってしまうくらいには有用性が高いので、バズる理由にも納得です。
(97)【公式】ピザハット
ピザハット公式のTikTokアカウントが「惜しい」。トレンドに乗っかり大企業の雰囲気を崩した動画を投稿しているものの、本質はそこじゃないんです。
街中で声をかけてピザをご馳走する「ストリートピザ」はネタとしてGOOD。だけど本社に連れていくのではなくて自宅にお邪魔してほしかった。
ストリートネタのキモは相手の家に行くこと。ラーメンをつくることでもピザをつくることでもない。
もしこれが自宅について行って素人がつくれない本格ピザをつくる動画だったら……? トレンドのフォーマットをパクるのは大賛成だけれど、トレンドになっている理由のコアを捉える必要がある。
(98)梅田の親父
ここに来たらねみんなこう言うよ。“目覚める”って——。
大阪の風俗店『梅田ゴールデン倶楽部』のアカウント運用が神がかってました。コンセプトとコンテンツの2つの観点から解説します。
まずはコンセプト。アカウント名は「梅田の親父」でプロフィールには「おすすめの大人の遊園地を紹介していくぜ」の一言。個人を運用主に見立ててフォローのハードルを下げています。
肝心のコンテンツは、街頭インタビューフォーマットを応用した動画が秀逸。トレンドの街頭インタビューで視聴者の視点を釘付けにし、立て続けに予算とコースを追加質問することで「風俗店の紹介である」ことを暗に示唆。ここまでくれば、ターゲットは最後まで動画を観るでしょう。
そして、ここからもすごい。お店のコンセプトを単調に説明するのではなく「目覚める」「サンクチュアリ」などの言葉を使って想像させています。
そしてなにより、演技力がとんでもない。最後まで観ていられる最大の理由は演者のクオリティが高すぎることかもしれない。 お店の人なのか俳優さんなのか……。これがお店の人だったら半端じゃない。
(99)陈善福儿
「あなたの家で中華料理をつくらせてください」と懇願する中国人。実はバズる要素でいっぱいです。
まず、「異国の地で頑張ってる」「断られ続ける」という弱者ポジションなので応援したくなる。そもそも「中国人が知らない日本人の家で中華料理をつくる」というコンセプトも面白い。
さらに、断り続けられたシーンを見ている分、OKをもらった後の展開を応援したくて最後まで見ちゃう。TikTokなのに10分弱の動画を最後まで見させるのもすごい。
これ、ヤラセ感あったら最後まで見れないと思うんだよな。「バズりたければ弱者になれ」はマジで真理だなと思いました。2023年のSNSの学びの中でもトップクラスかもしれない。
(100)たかさきりょう(BAR Pomum)
「2023年最高のPRコンテンツ」と思ったのが、こちら。とやかくいう前に一度動画を観てほしいです。
SNSにおける商品のPRってインフルエンサーが「キレがすごい」「コクが深い」などと言って顔芸して終わるパターンが大半ななかで、もはや商品に口を付けることもなければ出てもこないというまったく新しい視点で視聴者を惹きつけているのがスゴい。
最初から最後まで商品が出てこないのに欲しくなる。再生数重視の編集で最後まで見てしまう。
メーカーが観せたいものを観せるプロダクトアウトな発想ではなく、ユーザーが観たいものを観せるマーケットインの発想。
実際のところどれくらい売上に寄与したかは分からないけど、少なくとも「こんなシチュエーションによく似合う」というブランディングには貢献しそうです。
バズりたいなら、とにかく見なさい
100アカウントの読破、本当におつかれさまでした!!
僕はいつも、「バズりたいならとにかく見なさい」と口酸っぱく言っています。バズっているコンテンツはTikTok運用の最高の教科書であり、見続けた者にしか見えない景色があるからです。
根性論で乗り切れと言いたいわけじゃないけど、アルゴリズムをハックすることよりも、自分の脳みそでバズる理由を理解し、自分の言葉でバズる理由を説明できるようになることのほうがよっぽど重要。
天才マーケターの江藤くんにもお墨付きをいただいたので、おそらく間違いありません。
◼️ 事業創造に関するお問い合わせ
バズるTikTokマーケティングを得意とするSI株式会社、プロダクト開発からSNSプロデュースまでマーケティングを全面支援するMisfits株式会社を経営しています。
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◼️ 自著『「ダメな自分』でも武器になる」のご紹介
コンビニのアルバイトをクビになった僕が、SNSの黎明期にインフルエンサープロダクション・VAZを立ち上げるまでの人生が書籍になりました。数々のトップYouTuberを見てきた僕だからこそ、失敗続きの僕だからこそ分かる「自分の特性を理解して生きていく方法」を余すところなく綴っています。少しでもご興味を持っていただけたらチェックしてみてください。
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Misfitsの森泰輝です!誰もがSNSのパワーを享受できる未来に向けて事業を創っています。書いてほしい記事のリクエストがあれば教えてください!