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逆噴射小説大賞2023、最終選考まで残りましたの巻

ドーモ、タイラダでんです。

さて、このたび「小説の冒頭800字を投稿して最も続きを読みたくさせた物の勝ち」なる『逆噴射小説大賞2023』において、自作『戦争の最果て』が最終選考に残りました。

 大賞に輝いたジョン久作さん、本当におめでとうございます。

 で、ですね。どうもいろいろな方がライナーノーツやら振り返り記事やらを書いていらっしゃるご様子で。そういえば最近はそういうの書いていなかったなあ、などと考えたわけで。それで、せっかく2年連続で最終選考まで残ったことですし、たまには僕もそういう類いの記事を書いてみましょうか、などと思いまして。
 つまるところ、これはそういう記事です。
 しかしながら「最終選考に残った作品を書いた奴の振り返り記事だし、何かの参考になるかも」みたいな方のご期待には全く沿えないと思います。どうか皆様、肩ひじ張らずにだらだらとお読みいただければ幸いです。

 さて、皆さんの振り返り記事(今年のもですし、去年までのもですが)を読んでいると、みなさん本当にいろいろと考えて書いていらっしゃるわけです。それはもう、心底頭が下がるレベル。
 なぜこういうことを最初に書いたのかというと、今作『戦争の最果て』は、まったく逆のコンセプトで書いた作品だからです。
 考えずに書く、これが今作のコンセプトでした。
 と言いますのも、この作品を書いたときの僕は、考えすぎで脳みそがゆだってしまい、まったく書けないでいる状態だったからなのです。

 それは、1本目に投稿した『神饌を供す』の手ごたえがあまりにも悪すぎたせいでした(シェアもされず、話題にも上らず……で、案の定こちらは二次選考すら突破できませんでした。皆さんの「作品を見る目」に敬服します)。

 正直言って焦りました。『神饌を供す』は、僕なりに必死に考えて書いた作品でしたし、自信をもってお出しした「一本目」でしたから。
 2本目はもっといいものを書かなくては。当時の僕はそればかり考えていました。ひたすら「いい作品」「面白い作品」「すごい作品」をものにするために、考えに考えを重ね、書いては消し、書いては消し……でも一向に「これ」と言えるものができなかったのです。結局、10本以上没にしたと思います。
 迫る締め切り。書けないストレス。そこに仕事の忙しさも重なり、ちょっとよろしくない精神状態になりかけてしまっていました。
 で、ある日、ぷつんと切れたわけです。何かの糸が。開き直った、というほうが正解でしょうか。
 なんか、つまんないな。そのときの僕はそう思いました。
 僕は、頭の中でお話を考えるのが大好きです。それをひいひい言いながら形にするのも大好きです。
 そして「せっかくいい感じで書けたし、自分だけ楽しむのはなんかもったいない気がする」といった心持ちでネットに自作を公開しています。やっていることは、幼い子供が砂場で作ったお城をその辺の人に見せびらかそうとするのにだいぶん近いと思います。
 ようするに好きでやっているわけです。仕事でもなんでもなく、純然たる趣味100%で。原動力はその気持ちだけ。ああそれなのに、なんでこんなにつらい思いをせにゃならんのじゃあ!
 だから全部放り投げました。
 放り投げて、改めて一から書くことにしました。で、心の赴くままに書くことにしました。

 僕は自分の心に問いかけました。
 タイラダでんよ、お前が小説を書くのはなぜだ? 
 それはですね、徹頭徹尾「オタクが完璧に自分の趣味趣向とマッチした作品を求めるのであれば、それはもはや自分自身で作り上げるしかない」という切実な思いからです。
 では、お前の好きなものとはなんだ? ぱっと思いつくものを三つ挙げてみよ。
 ええと、剣と魔法のファンタジー! 戦場のスナイパー! 最新型に旧式装備で立ち向かう展開! 良い死に場所を求めるあまり、今まで死にぞこなってきた男! 
 では、それらを闇鍋の中に放り込みなさい。そして思うがまま、心のままに書くのです……さすれば道は開かれん……(フェードアウト)。

 とまあ、こんな感じです。だからかもしれませんが、今までの苦労は何だったの、と言いたくなるほどあっさり書きあがってしまいました。
 書きあがったのは締め切り時間の2時間前。細部にめちゃくちゃ心残りはあれども、そこを悩みだすとまた手が止まってしまうと思い、誤字脱字だけざっと見直して投稿ボタンを押しました。
 ですので、逆噴射聡一郎先生からはその辺りの「練られていなさ」を敗因として指摘するコメントをいただいてしまいました(さもありなん)。

 誤解のないように書いておきますが、「ぱぱっと書き上げたものが最終選考まで残った。おれはすごい」などというつもりは毛頭ありません。しかし「あまり深く考えず手癖で書いたようなものが最終選考まで残るなんて恥ずかしい」などというつもりもありません。
 
 手癖。そう、手癖です。『戦争の最果て』が手癖で書かれたものだというのは間違いない。でもその手癖というのはですね、要するに僕の執筆経験(6年前の第1回逆噴射小説大賞のときにはじめて「小説」と言えるものを書いた、という程度のものでしかありませんが)のなかで練り上げられてきた「手癖」なわけですよ。いや、それ以前からの、僕の人生において摂取してきた「超一流からゴミまで」そろった作品群から血肉としてきた「面白い」や「好き」の集大成であるはずなのです。たぶん。
 そいつがそれなりに評価されたということは、胸を張って誇るべきことではないかな、と考えます。考えることとします。手癖バンザイ。

 とはいえですね、最終選考どまりで大賞をとれなかったのも事実。まあ正直に言ってくやしいです。なにせ、昨年の大賞受賞者しゅげんじゃさんも今回のジョンさんも、僕と同じ「第1回逆噴射小説大賞」から本格的に小説を書き始めた方々ですから。
 まあその悔しさは、来年の逆噴射小説大賞で僕が大賞をとることで晴らしたいと思います。
 
 こんな感じですかねえ。本当に……誰にも、なんの参考にもならない!

【おわりです】

 

そんな…旦那悪いっすよアタシなんかに…え、「柄にもなく遠慮するな」ですって? エヘヘ、まあ、そうなんですがネェ…んじゃ、お言葉に甘えて遠慮なくっと…ヘヘ