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NTS近畿ブロックに参加。教わったことをヒントに気づきを得て欲しい話。

日本レスリング協会にジュニア世代からシニアへの一貫した指導体制に基づいたアスリートの育成・強化を実施するためのナショナル・トレーニング・システム(NTS)という制度があります。
毎年の年末に各地域に分かれてNTSの合宿が行われているのですが、僕はその合宿の講師として近畿ブロックに参加させてもらいました。

近畿ブロックの高校生たち

合宿の中の練習内容は主に技術練習とスパーリングです。
OBに全日本クラスの選手がいて帰省のタイミングで教えてもらう事があったり、大学に出稽古に行けるだけの実力や資金がある学校や選手は別ですが、地方の高校生にとって全日本クラスの選手に技術を教わったり、スパーリングで胸を貸してもらえる機会というのは滅多にありません。
僕の高校時代も、NTSで技術を教えてもらったりスパーリングをしてもらった経験はとても貴重な時間だったし、当時教えてもらった技術が今の自分のレスリングを構成している側面も多大にあります。
講師側として参加できたことを光栄に思うし、高校生のレスリング観に少なからず影響を与えることを考えると責任を持ってやらねばならないと思ったし、一生懸命やらせてもらいました。
また、講師側に立ってみて高校生の貪欲に学ぼうとする姿勢や、知らないことを知った時の目の輝きを見ると初心を忘れてはいけないなと思ったし、こちらも学ぶべきものがありました。
自分にとっても学びの多い合宿にさせてもらいました。ありがとうございました。


技術練習

技術練習では基本的な技術の大枠と、それぞれの技術で自分が意識していることをやらせてもらいました。
1つの技術に長い時間はかけられなかったので、技術の概要、触りの部分しか触れる事ができませんでしたが、限られた時間でその技術が技として機能する理屈や理論みたいなものが伝わってくれていたら良いなと思います。

オーソドックスな技術であっても、定説ではこうするべきだよねとされている事が、よく考えたらこっちの方が合理的で効果的だよね、みたいなことがレスリングの技術ではよくあって、そういった技術のステレオタイプみたいなものをなるべく解消できていれば嬉しいです。

高校生からしたら普段先生方に言われていることと違うことを言われて混乱をさせてしまったかもしれませんが、現時点でどっちがやりやすい、使いやすいかではなく、理屈としてどちらが正しいかを自分の頭で判断して、手っ取り早く使える技術ではなく長期的にみて自分が強くなるために理論として理にかなっているなと思う技術を日々反復練習して欲しいと思います。


教わったことをヒントに気づきを得てほしい

教わったことをヒントにして気づきを得て欲しいです。
気づきを得て欲しいというのは、教わったことを理論として理解するだけでなく、実際やってみて、なるほどこういうことかと体感でわかったり、より効果的な技術を発見したりして枝葉を広げて欲しいという意味です。

技術を理論として理解しているだけでは、実践の場ではあまりに物足りないのです。
自分の体を動かしてどんどん試してみることで発見や疑問があったり、本当の意味で理解を深めることができると思うし、そこでの発見や疑問が成長のチャンスだと思いますので、まずはやってみて何かを感じ取って欲しいです。

今回講師の皆さんが教えた技術は基本的なことが多かったと思うので、教わった基本的な技術を踏み台にしてどんどん技術展開を作っていって欲しいです。


教えるということ

僕の技術練習は、専修大学の総監督である佐藤満先生に教えてもらった技術を自分で咀嚼して、自分の言葉で説明しただけですが、人に教えることに関しては不慣れだったし改善の余地がありまくりだなと思いました。
大衆に対して、伝える技術や能力が足りていないのは言うまでもないのですが、それと並走して僕自身ももっと1つ1つの技術に対する解像度を上げて理解を深めていく必要があると感じました。
技術を教えるときは断片的なシュチュエーションですが、実際のレスリングは常に流れていて、レスリングの基本となる体系的な考え方をわかりやすく伝えてあげられるようにしたいと思いました。
僕自身もっと技術を整理してシンプルに伝えられるようにしていきたいです。

また教える側になって思ったことは、最初から細かく教えすぎるよりも、大枠を教えて実際にやってもらい、発見や疑問を体感レベルで感じてもらって、その中で出てきた疑問に細かく答えてあげる工程が良いんじゃないかと思いました。
今の僕のレベルではそもそも最初から細かく教えること自体が難しいのですが、発見や疑問などの気づきを得た方が記憶に残りやすと思うし、教えるという行為はある種、「気づき」を奪う行為とも捉えることができると思うんですよね。

教育の現場でも優秀な親や指導者は気づくまで待てるし、そうじゃない親、指導者は言いすぎてしまう印象があります。
わからせようとしすぎるのでなく、気づきを得るまで補助をする感覚で教えてあげるのが理想のように感じました。
逆に生まれた疑問や、質問に対してはできる限り丁寧に答えてあげたいとも思います。

大衆に対しての講習であれば一人一人に丁寧に教えることはできないのでそう言うわけにもいかないし、僕は親にも指導者にもなった事がないので偉そうなことは言えませんが、そう感じたと言うことを記しておきたいと思います。


まとめ

初めてNTSを教える側として参加させてもらったのですが、学びの多い有意義な時間を過ごさせてもらいました。
3分のスパーリングを30本中28本入ったのも良い思い出です。キツかったです。ありがとうございました。

休み返上で急に決まったNTS近畿ブロックでしたが、なんだかんだとても楽しかったです。
また機会あれば参加したいです。









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