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「タヌキとキツネ」

パパの顔は真剣そのもの。隣には若い女性が座っている。
「どうかな?」
そんなことを言われても困る。私に拒否権なんてあるの?
それでも私の返事が大切みたい。
今までパパと二人でやってきたのに。

「私、頑張るから、仲良くやりましょう!」
女性の甲高い声がちょっとイラつく。
肩まで伸びた髪は金色に染められ、キツネみたい。
でも、笑顔がかわいいし、パパを気遣う仕草が随所に見える。

これで決めなきゃいけないの?

「パパさえよければいいよ」
パパも女性もほっとした表情だ。

「栄養バランスの良いものを作ってね。パパはタヌキのお腹だよ」
私がドリルをランドセルにしまいながら言うと、
新しい家政婦さんは照れる父を笑顔で見つめていた。

(2013年4月26日 297字)

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