大学ラグビーはどうすれば面白くなるのか

帝京大73-20早稲田大

2023年1月8日に行われた大学選手権決勝の結果である。

これをみて私はどう思ったか「早稲田情けない」「帝京素晴らしい」?

違う。

「大学ラグビー面白くないな」である。

もちろん選手一人一人が頑張っているのはわかっている、帝京大学の選手やその強くなるための文化は素晴らしい、早稲田も選手層で劣る中知恵を使って頑張っている。彼らには彼らの物語がある。この大学ラグビーでの経験は人生の糧になるだろう、自分がそうだったように。

だが、面白くないのである。
これは構造的な問題で、選手や今関わっている監督やスタッフの方々は関係ない。

何が問題なのか。
私の考えは大学ラグビーのセミプロ化である。
ジャパンラグビートップリーグが開幕したのが2002年、ほぼ同じ時期に早稲田がアディダスと契約。この頃からトップリーグと肩を並べるように大学のセミプロ化が始まった。

まず時代を作ったのは早稲田大学。2000年代のラグビー界を席巻した。ただこの時はまだ金額的には大きな差はなく、どちらかというとマーケティングの勝利であったように思う。構造的にはまだ90年代までの大学ラグビーをひきづっていた。

そしてそこに革命を起こしたのが帝京大学だ。当時他の大学が使っていた10倍もの予算を使い、大学の全面支援を受けて、徹底的な強化を行った。結果が皆が知る9連覇である。もちろん岩出監督をはじめとする帝京大学の方々のリクルート活動をはじめとする徹底的な努力が身を結んだ結果ではあるが、構造的には金額規模の勝利だと私は思っている。

流石に他の大学もそのままにするわけではなく、各校それぞれお金をさらにかけ、リクルートにも力をかけ、帝京の牙城を崩し始めたのがここ数年である。しかし各校中途半端なのは否めない。

そして今日の結果である。おそらく9連覇した頃のような圧倒的な結果はもうないと思うが、帝京時代が続くのは明らかなように思う。

これは何が問題なのか、それは大学ラグビー自体の魅力の低減である。今日の大学選手権を見ても客入りが以前より少なくなっているのは明らかだと思う。その分リーグワンに流れたのではないかと思うが、今のリーグワンの惨状を見るにそうは思わない。ラグビー全体の客数が減っていると思う。今人が入るのは代表戦くらいであろう。これは一見悪くないように思うが、その下のリーグワン、大学の下地がない中では継続的な強化は望めない。

大学間の構造の違いで実力に違いが出る。その結果魅力が減り、客足が遠のく。そして選手たちにとっても魅力的な環境ではなくなる。負の連鎖にはまっていくようである。

ではどうすれば良いか。

「大学ラグビーを弱くする」

これだと思う。荒唐無稽に思うが端的に述べるとこうなる。
大学ラグビーが日本一強かったのは遥か昔30年以上昔のことである。その頃の栄光をいまだに引きずり、金を掛け強さを追い求めていった結果、大学間の格差が開き、大学がリーグワンの育成組織のような役割だけを持ち、面白さを失っている。

大学間の格差をなくしていく必要がある。具体的な策としては大学ラグビー部の予算の制限やプロスタッフ人数制限、チケット売り上げの各大学への分配の強化などだろう。大事なのは大学生たちに自治をさせ、社会人以降の大人たちの関わりを減らしていくことだと思う。大学ラグビーは大学生たちのものなのだ。その中で自分達で知恵を絞り、優勝を目指す、それが大学ラグビーのあるべき姿ではないだろうか。

そんなことして日本ラグビーが弱くなるではないかと思うだろう。そのためのリーグワンである。大学が日本一だった頃と違い今は立派になるべきプロリーグがあるのである。現状では正直期待通りに行っていないが、リーグワンがしっかりプロ組織と機能させていくことで日本ラグビーの強化ははかれるはずだ。プロ化を促進し、高校からリーグワンに行く子が増やすことが日本ラグビーの強化に今必要なはずだ(もちろん大学からも選手は引き続き行くことになるはずである)。今のリーグワンの中途半端さには正直ガッカリしているが、しっかりプロ化を進めていってほしい(これは社会人ラグビーとしっかり分けていくことも表す)。

私はラグビーの真の魅力はアマチュアリズムにあると思う。お金のためでなくプライドのために、拮抗した実力同士が知恵と力を出し切って凌ぎ削る。その中で語り継がれるような魅力的な試合が生まれる。

ではリーグワンのプロ化は意味ないのかというとそういうことはない。リーグワンは代表強化のために必要で、その代表試合はアマチュアリズムの流れを汲むと思う。みんなお金のためでなく名誉のために戦っている。そのためにリーグワンをプロリーグとして強化していくことは必要だ。

そして大学ラグビーや高校ラグビーは真のアマチュアリズムとしてプレイする人たちがぎりぎりの戦いを楽しみながら人間として成長していくことに主眼をおき、その成長の結果を毎年見せてもらう場として公式戦があるのが望ましいと思う。

私にそんな改革をしていく力はないが、大学ラグビーに関わった一人の人間として提言をここにまとめる。

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