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【観劇レポ】幸せな虚構 ミュージカル「BARNUM」

2021年の観劇2作目。ミュージカル「BARNUM」観劇レポ。

雨と低気圧で頭がおかしかったのか、座席間違えて座ってました。ご婦人、失礼しました…。めちゃくちゃ申し訳ない&焦りました。こういうことがあるので余裕をもって会場入りしてよかったです(理由になっていない)。本当すみませんでした!届け謝意。

概要

映画「グレイテスト・ショーマン」で知られているP・T・バーナムの半生を描いたミュージカル。サーカス的な要素が多数散りばめられていて、まさにエンターテイメント。
プロジェクションマッピングを利用した演出で見た目も華やか。幕間の休憩時間中もスクリーンでジャグリングやクラウンのパフォーマンスを放映。

いきなり余談ですが、僕はピエロが苦手=怖い。でも今回映像出演されているフィリップ・エマールさんは全然怖くなくて大丈夫でした。むしろかわいいおじさん。メイクが派手じゃないのでピエロとクラウンは違うのかもしれないけども。
観客を、劇場を楽しい気持ちにさせてくれる作品でした。見終わった後の気持ちのいい爽やかな疲労感。

KAWAII

主演は2020年12月に見た「ローマの休日」以来の加藤和樹さん&朝夏まなとさんペア!相変わらずきれいな二人…。御御足の長いこと…。

「ローマの休日」ではアン王女役の朝夏さんの方が天真爛漫、どちらかと言えば振りまわす役でしたが、今回は加藤さんが夢を追って振りまわし、朝夏さんは半分呆れながらも寄り添う妻という役どころ。

正反対の夫婦ですが、それを互いに自覚した上での関係性がなんだかキュンでした。正反対、だがそれでいい
「正反対のカップル、似た者同士のカップルどちらが幸せか」というランチカフェで女子大生が話してそうな話題がよくありますが、結局どれだけ相手を受け入れられるかってことなんでしょうね。意見は反対ながらもお互い理解しあっている感じが出ていて素敵な夫婦役でした。

そして加藤さん演じるバーナムがかわいい。カワイイじゃなくてかわいい。文字通りチャーミングというか、頬を膨らませたり拗ねたり「子どもか!」とツッコミたくなる無邪気さ。実際バーナムは心が永遠の子どもなのでしょうけど。

妻チャーリーとのやり取りは夫婦でもあり恋人でもあり親子のようでもある。ジェニー・リンドとのカタコトでのやり取りも面白かった。半分アドリブっぽかったけどどうなんでしょう。

それにしても大人の男性にかわいいという感情が芽生えるのは、なんか母性(?)がうまれたのでしょうか。当方成人した独身男性なんですが。おかしいな。新たな扉開いた?

エンターテナー

劇中キャストさんたちがジャグリングをはじめとしたパフォーマンスを披露されるシーンが多数ありました。さすが木下サーカス協賛。
舞台は生き物なので毎公演、技が決まるかどうかプレッシャーを感じながらそれぞれ演じられていたと思いますが、一方で演者さんたち自らも楽しむ気持ちで作品に向き合ってきたんやろうなあと感じました。初めから終わりまでエンターテイメント。

パンフレットを買ってから気付きましたが、キャスト交代もあったんですね。惜しくも降板された方の分を1人2役でカバーされた矢田悠祐さんに拍手!

ミュージカルは作品によってしんみり聞き入るものもあれば、観客も一体となって楽しめるものもありますが、この作品は後者。
「ローマの休日」や「マリー・アントワネット」では世界観に浸って涙しましたが、今回はその空間そのものが楽しすぎて泣きました(どっちにしても泣く男)。来てよかった~という余韻が帰りの電車でも僕を包んでくれました。

人を幸せにするためのウソ

妻チャーリーから「人を騙すような仕事ではなく、人から尊敬されるような仕事をしてほしい」と言われてもなお、「騙しているんじゃない。エンターテイメント」と言い切って様々なネタで興行を成功させるバーナム。

基本的にウソというのは悪いものとして扱われますし、間違いではないですが、一方で「お金を払ってでも騙されたい」と思う瞬間はあるよなあと思ったりもします。
サプライズなんかも仲間で口裏合わせた上での広義のウソですし、テーマパークはそのコンセプトを守り夢の世界を作るために、キャストも演技やセリフで「ウソ」をついているのかもしれません。客はむしろ騙されに来ている。某ディズニーとかはまさにその代表ですよね。

バーナムの場合、終盤では興行をやめて市長となり、妻の望む「お堅い」職について一定の成功を収めるわけですが、妻の死後結局エンターテイメントの世界へ戻った。人を喜ばせること、人を楽しませることに一種の使命感を持つ一方、自分自身も夢の世界に浸っていたかったのかなあ。

カーテンコール

カーテンコールだけで白米3杯はいける男、僕。バーナムのカーテンコールも良かったです。何がいいってカーテンコールまでエンターテイメントなところ。

他の作品ももちろんカーテンコール含めて一作品なんですけど、もうその空間と時間が楽しいと思わせるんですよ。拍手で手は痛くなるけど。キャストさんたちが全員晴れやかで楽しみ切った!というような表情をされていたのが印象的。

千穐楽ということでカーテンコールが4回。怒涛の4回ですよ。フィナーレから引き続き楽しい雰囲気で、中尾ミエさんが首で輪投げしたり、それぞれが劇中でも披露した曲芸をしたりとカーテンコール自体もまさにエンターテイメント。

そしてそして、最後は朝夏さんから加藤さんへのキス。胸がキュンして心筋梗塞になるかと思った。もしかしたら軽くなっていたかもしれない。一瞬呼吸という現象が僕の体から消えていたのは間違いない。
加えて観客への投げキッスもいただきました。ん?惚れてまうやろ?なんでそんなことするん?そんなことされたら倒れちゃう。(嬉しさが度を越えると不思議なことに特殊な怒りに変わる現象)。

最後に

コロナ禍での公演、中止や延期も多い中で無事公演されたことだけでも胸いっぱい。パンフレット記載によると、本来は劇中だけでなく会場入り口などでも観客を楽しませる要素があるらしいのですが、コロナの影響で叶わなかったのだとか。
ぜひ再演、再々演と続く作品になり、その時はそんな要素も触れられたらいいなと思います。

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