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【観劇レポ】おかしくなるほど愛したい! 劇団四季「クレイジー・フォー・ユー」

ミュージカル観劇レポ。秋の観劇ラッシュ第二弾は劇団四季「クレイジー・フォー・ユー」全国公演です。僕は枚方と彦根に伺いました。

ダンス、ダンス、ダンスの笑って楽しいラブコメディ。幸せすぎて泣けてくる。

キャストはこちら。

9/15枚方
9/24彦根

ダンスという人類の発明

最初に踊りというものを開発した人類は、どんな気持ちだったのだろう。

本作はミュージカル作品の中でもダンスがとにかく魅力の作品。ボビーが熱狂するのもダンス。みんなが影響されていく様を魅せるのもダンス。登場人物たちが心を通わせるのもダンス。タップダンスにラインダンス、これでもかとダンス、ダンス、ダンスです。

ことあるごとに申し上げていますが、ミュージカルはトップオブエンターテイメントなので、歌、音楽、表情、あらゆる表現を楽しめます。その中でもダンスというのは、言葉がたとえ通じなくても、伝え伝わる表現。これほどまでに、心が体に現れる表現はなかなかありません。

キャストのお一人おひとりの身体能力の高さもありますが、足先から指先までエネルギーに満ちたダンスを、生で観ることができるだけで生きている甲斐があるというもの。

主役のボビー・斎藤さんは、主役だけあって特に素晴らしかったです。演技にも虹色の表情がありますが、ダンスにも心がそのまま飛び出したかのような表情がある。
町田さんポリーは序盤のじゃじゃ馬娘感からの成長がすごい。ボビーとのフィナーレダンスは最高としかいいようがありません。

宮田さんのテスはしなやかさと力強さがあってステキでしたし、古森さんのパッツィも可愛らしさとキレが共存していてワンダフル。岡村さんアイリーンの艶っぽい声と2幕の色香漂うダンスも忘れられません。

男性陣がどんどんダンスの虜になっていく様子、女性陣のカッコよくて可愛くてキレッキレなダンス、ボビーとザングレーの鏡合わせのパフォーマンス、ラストの大きな羽を使った豪華絢爛なステージ。ダンスではなくアクロバットですが、ウエスタンごっこも。全キャストが見所で目が2つでは足りない。

フィナーレからカーテンコールの一連のダンスは、まさにミュージカルのフィナーレという感じで、心の底から楽しく幸せな時間でした。カーテンコールのラストでは、幕が上がる中でボビーとポニーが回転しながら舞台に登場して、客席を沸かせていました。…キスシーンもね。

最高のハッピー

コメディだけあって、笑いの要素もたくさん。その笑いの種類も豊富で、いわゆるウケを狙った笑いもあれば、皮肉っぽいアメリカンジョーク、パッツィの天然、アイリーンとランクが結ばれる「え、そうなる?」っていう意外性の面白さ、どこをとっても本当に楽しい。

そして何よりもハッピーエンド。僕は割りと重めの作品も好きなんですが、やっぱりハッピーエンドな作品もいいなと改めて感じたところ。観終えたあとの多幸感と余韻がすごい。

ストーリー自体はコメディなのもあって、「いやいや〜そうはうまく行かへんでしょ」と思うところもあるんですが、紆余曲折を経て、ラストのシーンでボビーとポリーが踊るところは、なんか観ているこっちが幸せすぎて涙が溢れるくらいです。ストーリーや展開をバッチリ抑えた上で観た2回目なんかはボロ泣きでした(※20代後半男性)。

おかしくなるほど

昨今は恋愛観や性自認に関して、様々な意見・考えが飛び交っています。発達した現代社会においては、たくさんの幸せの形があるから、恋愛に価値を感じないという人も少なからずいます。その意味で、恋愛がすべて、恋愛は至高、そういうことを言いたいのではありません。

僕自身も恋愛至上主義者ではないのですが、夢中すぎて、好きすぎて、そのことしか考えられないくらいに何かに思いを抱くというのは素敵なことだと思います。

主役のボビーは、ポニーに一目惚れするわけですが、ダンスというものにも熱狂的な想いを持っています。思わず体が動いてしまう。自分の今の気持ちを表したい。とにかくダンスが好き。そんな想いは作中の節々で感じます。

そしてポニーのザングレー(※ほんとはボビー)への想い、終盤のボビーへの想いも、「夢中」という言葉がピッタリ。ポニーのパパの亡き妻への想いも、ある意味取り憑かれているかのような強い想いです(ラストはボビーママとトキメキランデブーが生まれてますけど)。

何かに情熱を持ち、夢中になること。他に何もいらないと思えるくらいに熱中すること、愛すること。周りから見ると滑稽だったり、頭がおかしいと思われたりするかもしれませんが、何かにCrazyになれる人生はとても輝いて見えます。

クレイジー・フォー・ユーにCrazy

実に8年ぶりという今回の公演。見れば見るほど夢中になって虜になる作品だと思います。
ミュージカルは何回も繰り返し観ることで新たな発見があったりするのですが、お金的にもスケジュール的にも、中々通い詰めるのは難しいのも現実としてあります。四季はそんな中でも比較的繰り返し観やすい劇団だと思うので、ぜひ京都劇場くらいでやってくれないですかね…通い詰めるので。

クレイジー・フォー・ユーは絶賛全国公演中。まだまだ世の中が落ち着かない中ではありますが、無事に最後の公演まで終えられ、日本全国の観客をCrazyにさせてくれることを祈って。

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