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【観劇レポ】やっぱり凄い 劇団四季「オペラ座の怪人」

観劇レポ。note始めてからは初めての劇団四季です。7/29昼公演の「オペラ座の怪人」

前にオペラ座を見たのはたぶん高校生くらい…10何年か前の京都公演でした。あのときも衝撃がすごくて、その後DVDで映画版を何回も見たし、英語の課題で読書感想文があったときは、迷うことなくオペラ座を読んで書きました(※英語が読めていたかはさておき)。

もうさすが名作。見たことない人はぜひ一回見てほしいし、何なら連れていきますよ(真剣)。

某ウイルスのせいで公演中止が続く中、例に漏れずオペラ座もいっとき中止になっていたのですが、ちょうど僕が行く公演から復活でした。奇跡。もう本当にありがとうございます
しかも前から6列目。ポルノのライヴで一度6列目があったんですが、それに並ぶ僕史上最前列です。ちなみに10数年前の京都劇場では、確か2階席でした。

キャストは写真の通り。

感想 of Music

一度聞いたらしばらく頭から離れない中毒性のある音楽。やっぱりオペラ座は凄い、と言われる由縁はここにあり。

僕は高校生のときに見たときは、華やかな「ハンニバル」「マスカレード」とかに目が行きがちでしたが、歳を取ると感じ方が変わるものですね。終盤の「ザ・ポイント・オブ・ノーリターン」とか、高校生の時は深く考えてなかったのに、今の自分にはこんなに刺さってくるとは。劇中劇だけど、現実の怪人とクリスティーヌとリンクしているのが切なく、哀しく、細胞一つひとつに染み込んでくる。

無論、「マスカレード」の高揚感は10数年前と寸分違わず。アンサンブルさんたちがイキイキしているので、舞台上のどこを見ても楽しいんですよ。一人ひとりの衣装にもこだわりが見られるし。一方で、ラストシーンにもかかわってくる重要な曲でもあるんですよね。

代名詞とも言える「オペラ座の怪人」も生で聴くとやっぱり良い。サビや冒頭のパイプオルガンのメロディが有名なので、オペラ座を観たことがない人でも知っている曲だと思います。この迫力と世界観は、ぜひ生で聴いてほしい。

「墓場にて」の怪人・クリスティーヌ・ラウルの3重唱は圧巻の一言でした。音圧でバトルが繰り広げられている。音圧で墓石割れるんじゃないだろうか、という冗談はさておき、声の、歌の綱引きみたいな感じでゾクゾクしました。

オーバーチュア(開幕オケ曲)とアントラクト(休憩明けオケ曲)も、歓迎初心者の高校生の時分は半分聞き流していたところもあるけど、色んなミュージカルを観てきて改めて良さを感じる。
たまにこの時までおしゃべりを続けている人もいますけど、全編通した曲の総集編みたいなところもあって超お得で聴きごたえがあるところなのに、もったいないですよね。

The Point of キャスト

僕は普段、東宝系とか大手プロダクションのミュージカルを見ることが多いので、劇団四季のキャストさんに精通していないのですが、今回の怪人役・清水大星さんには驚かされました

僕の中の劇団四季らしさのイメージをいい意味で覆すというか…。専門用語はわからないんですが、しゃくりとかフォールとか、あるいはコブシっていうんですかね。
節々にその歌い方が出ていて、いわゆる「ミュージカルっぽい歌い方」のイメージにはなかったので、新鮮な感じがしました。個人的にすごく好みで、僕にクリーンヒットストライク。

清水さんも、クリスティーヌ役の海沼千明さんも、比較的最近この役をつかまれた方のようですが、すごくお似合いだと思いました。

また、他と比べてというわけではないですが、主役のお二人はもちろんのこと、やっぱり四季はアンサンブルさんを含めみんな歌の基礎がしっかりしていて、きれいですね。いい意味でそれぞれの個性に引きずられないのが、四季らしさなのかもしれません。

Think of 10年前

10数年前の記憶なので確かなところではないのですが、印象として、①クリスティーヌが強くなった(か弱くない)、②マダム・ジリーのミステリアス感が増した、③怪人の人間味が増した、ような気がしました。

僕の記憶のクリスティーヌはめちゃくちゃか弱くて、ああもうどうしましょうラウル助けて…みたいなイメージだったんですが、違いましたっけ?怪人へのあたりも強くなったような…。か弱い悲劇のヒロインから、芯がしっかりした女性のイメージに変わってきたんですかね。
クリスティーヌ役の海沼さんの個性かもしれませんし、演出自体がそう変わってきているのかもしれない。怪人シンパの僕としては、怪人にもうちょっと優しくしてあげても…とは思わなくもないですが、これくらい強い方が僕は好き。

マダム・ジリーも、「もしかして怪人の味方?」って思わせるようなミステリアス感があって、不気味な世界観をより深めているように思いました。元々黒装束なので、魔女みたいな雰囲気はありますけどね。怪人への恐れゆえではあるんですが、怪人に従わざるをえないというより、触れることすら禁忌なのだという思想があるという感じ。

そして怪人。キャストの表現力、そして今回の席が舞台と近くて表情が良く見えたというのも多分にあると思うのですが、より心の機微が表れているように見えました。10数年前は「怪」人だったのが、怪「人」になったイメージ。先述の、清水さんの歌い方もあるのかな。

10何年も経つと、観る側の自分も多少色々経験したり、感じ方が変わったりするもので、また好きなところが増えるなあと思いました。だんだん歳を取るのもイヤになってくるお年頃なんですが、こと観劇だけで言うと、長く生きて観れば観るほどに審美眼的な何かが養われるんですかね。養われているということにしておこう。

劇団四季の勝利

ミュージカル好きを謳っておいて、四季はなんだかんだ今回で4回目。「美女と野獣」「オペラ座の怪人」「リトルマーメイド」と観てきました。

ミュージカルをあえて分類すると、「四季」「宝塚」「2.5次元」「東宝系その他大手」という具合になると思うのですが、僕はもっぱら「東宝系その他」が多い。
それぞれの良さはありますが、今回感じた四季の良さは、「劇団四季である」ということ(以下、四季と四季以外を比較して優劣をつけようとする意図ではないので悪しからず)。

「劇団四季である」とはどういうことか。

まずは「作品ありき」の姿勢。四季にも「スター」と呼べる人気俳優さんはいらっしゃると思いますが、宝塚をはじめとする他のミュージカルは、やはり俳優さんが目玉になることも多いと思います。この人が出るなら見に行こう、みたいな(俳優のネームバリューありきで作品は二の次、というわけではもちろんないです。そして反対に、四季俳優が没個性であるというわけでもないです)。

四季はあくまで作品ありきであって、どのキャストが演じようと、最高のエンターテイメントを届けるという姿勢。これはコロナ禍では一つ強みでもあって、公演中止からの再開がすごく早いんですよ。なぜならキャスト総入れ替えということすらできるから。
四季以外だと、Wキャストとかはありますが、色んな事務所から俳優さんが集まってカンパニーになっているので、万一の代役を探すのにも一苦労。四季は卒業生も含め、自前で抱える俳優さんがたくさんいるからある意味人海戦術もできちゃう。

今回本当に運が良くて、行く予定の公演が、公演中止明けの公演となりましたが、1週間足らずで再開できるのはやはり四季という劇団の力だと思います。

また一人ひとりの基礎力も、「劇団」の強み。ミュージカル=四季のイメージがある人も多いと思いますが、まさに代名詞になるくらい、歌やダンスの基礎は主役級の方もアンサンブルさんも、求められているレベルがすごく高いというのは見ていて感じます。

あとは自前で劇場を持っているというのも強み。演出や舞台装置は、やっぱり四季はすごいなあと思いますし、作品の世界観を最大限演出していると思います。あと座席の座り心地がいいです。

余談

いつもミュージカルを観に行くと、まあ一人や二人はマナーが気になる方と言いますか…はっきり言って迷惑な方もお越しあそばすんですが、開演5分ほど前にあれほど静かな会場があるとは驚きました。大概、誰かしらギリギリまで喋ってたり、会場が暗くなりかけてもスマホのライトが光ってたりするんですが、本当に「しーん」という効果音のごとく静かでした。

また休憩中も、ネタバレのような会話をする人は(少なくとも僕の周りには)いなかったし、俳優さんの悪口(本人は批評というんでしょうね)を聞くこともなかった。いるんですよね、「もうそれTwitterかカフェでやってくれ」みたいな会話を幕間でやる方。
こちらはいつも一人で観劇することもあって、周囲にそういう人がいると気になってしまうんです。しかもそういう人に限っていい席取ってる。性格が悪くてごめんなさいね、そういう方には来世でカエルに生まれ変わるようにおまじないをかけてます。

マナーは押しつけるものではないのですが、改めて周囲の人も気持ちよく観劇できるよう、お互い様の精神で気を遣いたいと思った次第です。

大阪オペラ座は来年夏までです

ということで10数年ぶりのオペラ座の怪人。「劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい」というキャッチコピーの通り、「オペラ座の怪人は凄かった」。

カーテンコールも7、8回はあった気がする。清水さんが右左見て「行くよ〜」って感じで後ろから前に皆で手を繋いで走ってくるところキュンとした。いたいけな男子の心をもてあそぶなんて…そんなことしたら涙が止まらないでしょう。

来年(2023)の夏まで大阪で公演するようです。あと何回観に行こうかな。違うキャストさんでも観てみたいですし、この機会を逃すと、次大阪(京都)に戻ってくるの何年後やねん、というのは四季あるあるなので、行けるうちに行けるだけ行かないと。

(あとがき:見出しタイトルをできるだけ劇中歌のタイトルにかけようと思ったら、こうなりました(上から順番に「エンジェル・オブ・ミュージック」「ザ・ポイント・オブ・ノーリターン」「スィンク・オブ・ミー」「ドン・ファンの勝利」)。伝わらないモノマネのノリやねんなあ…)

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