見てはいけない夢を見てしまった話


「将来やりたいことが見つからない、どうしたらいい?いつまでみつければいい?」
私のTwitterに設置している質問箱に先日届いた質問です。こんばんは、佐波 苑佳(サナミソノカ)です。
どうやらテンプレ質問の様ですが、これに対して非常に複雑な気持ちを抱えているのと、なかなか長くなりそうなので、このnoteにて私の気持ちを書こうかなと思います。
凍てつくように暗く冷たいですが私が感じている100パーセントです。
自己責任でお願いします。



質問箱とは、匿名で相手に質問を送れるツールです。こちらからはまるで誰が送ってきたかは分かりませんし、あらかじめ用意されているであろうテンプレートな質問もあります。

そして、調べてみたところこれはテンプレ質問の様です。
回答しようとすると「一時的にアクセスできないか、削除されている可能性がある」と表示され、同じエラーが起こっている方が沢山いました。

テンプレ質問なんだし、そんな深く答えなくていいんじゃないのって思われるかもしれませんが、私の心奥底で蠢いてるダークな気持ちもきっと共感してくれる方もいると思うし
単純に、やりたいことが見つからない人に何か伝わるものもあるのかな~なんて思うのです。


私は、小学4年生頃から声優に憧れて、高校卒業後養成所に入るため上京し
複数養成所に通った後、舞台に立たせていただいたり、歌を歌わせていただいたりしています。
この舞台も、歌も養成所とは関係ないです。


時々自分は「見てはいけない夢を見てしまったんだな」と思う時があります。
それは少なくとも自分が親不孝者であると自負しているから。

私にとって「見ることが許される夢」だと感じているのは、医者や教師の様な「証明や免許」がある職業です。
何故ってある程度ゴールが見えるから。
ゴールすればきちんとした収入があるんです。
そのための勉強を誰が否定するでしょう。


でも私が見た夢は違います。
資格もないし、なれるのも少人数で、売れるのはひと握り。
それまでバイトで食いつないで、なったとしてもバイトを続けなければいけない。
安定した収入は見込めない。

情けないですが、わたしも両親に頼っている部分があります。
それを援助してくれる両親は一般的に「応援してくれている親」ですし、それに莫大な感謝をしています。

でも母が言うんです。
何気なく一緒にアニメを見ていて、
好きなアニメの話をして、
声優さんのこんなところが凄かったなんて話していたら
「へー。どうしたらこんなふうになれんのかね。」と。

1度や2度なんかじゃないんです。
私にはもうその言葉は、責めているような嫌味にしか聞こえないんです。

ひねくれてるでしょうか。
そうかもしれません。

夢を本格的に追ってから、自分なりに頑張りました。向き合いました。
自分らしさって、自分のセールスポイントって、なんだって、永遠に就活しているような数年でした。
といっても就活したことないんですけど。
オーディションに応募しても結果は得られませんでした。
養成所でも望むほどの所には行けませんでした。
その度に力も無い癖に落胆して、自分を貶しました。
どんどん自分の良さなんて分からなくなって、自分が素敵な人間だなんて思えなくなりました。
自信も夢も希望も、歳とともにどんどん薄くなりました。

老いて行くと、割り切って進んだはずなのに
自分の中の「世間様」が日毎に私を責め立てます。親不孝者だーと。
両親もこんなのが産まれるつもりなんて無かっただろうとか。
考えたところで、いい案なんてそんな精神状態で生まれるわけもなく、度々何時間も泣いて
オーディション情報を見るだけで激しい胃痛に襲われます。

結果私は、今疲れちゃってます。
何がしたいかどうしたらいいのか、頭も身体も心も全部バラバラで考えるだけ無駄なので
ただ心を守るように生きています。

先日25歳になりましたが、24歳最後の夜あまりにも歳を取りたくなくて実家の布団の中で泣きました。
24歳と25歳。押し寄せる現実感が一際重くなる気がしたんです。
誕生日おめでとうって言葉がすごく辛かったです。
そんな悲しいこと親には言えませんけど。

そして思うんです。
私は見てはいけない夢を見てしまったんだなー。と。

けれど私は、ラッキーな方の人間です。
そんな夢でも追うことを許されたのだから。
100%全力で応援してくれる訳では無いけれど、反対はされ無かったんです。
親からも、教師からも。
周りを見ると私よりいろんな才能のある子でも、親や教師に反対されてたりもしました。
私の場合、高校の時朗読で全国大会に出てるって成績が結構後押ししてくれたと思うんですけど。
双方から諦められてました。笑


と、重苦しい自分語りはこの辺にして、
私の周りにもいるんです、
やりたいことが見つけられないのがコンプレックスなんだ、って人。

気持ちは分かります。
若者はやりたい事を見つけてそのための輝く未来に踏み出していけーみたいな風潮ありますもんね。

でも、やりたい事を見つけて踏み出した人間が幸せかって言う問題は、どこを基準にするかで全然違うと思うんですよ。

見つけられなかったのがコンプレックスな人から見たら、私みたいな夢を追いかけてる人ってキラキラしているように見えるかもしれないけど、歩んだ日常全てがそうだったわけでは勿論ないし。
最初は学べる事が嬉しくて、楽しくて、進ませてくれてありがとうって思ったけど、
好きな事をやっている時だけ幸せでその為のほかの時間を悶々としてる事が大半で。


私からしたら、真っ当に過ごされて、ご家族に心配をかけてない人をほんとに尊敬してるんです。
嫌味とかじゃなくて、本心で、偉い、凄いって。

だから、何も悪いことじゃないと思うんです。

それでも何か見つけたいなら、自分の好きな事、興味のあることから広げて行ったりしてみてはどうでしょう。

私の場合は受け身でいる事に収まって居られなかったから、憧れました。
あと馬鹿みたいになんの根拠もない自信がありました。
なんかやれっかも!くらいでも全然いいと思うんです。


そして、「いつまでに見つければいいですか」
これは結構シビアだなって。
「見てはいけない夢」を見てしまった場合。
貴方は今いくつですか?

夢を見つけてキラキラしていいのは、若者の特権だなと私は身をもって知りました。
最初は、10代の頃はたくさんの人が応援してくれると思います。
けれどその応援はすぐ減っていくんです。
20歳を迎えたあたりから。
悲しいことに、身内から。
それは愛ゆえではあるんですけど。

世の中の大多数の人ってもしかしたら一握りの天才、ダイヤモンドの原石しか認めないんじゃないかって気になります。

夢を追うには、天才である、センスの塊である、ダイヤモンドの原石である、華がある、運がいい、可愛い、カッコイイ、
それらの素晴らしい要素を持っている人以外はみんな「思うように行かない時期」が必ずあります。

みんな、頭では分かってるんですよ。
応援してくれるひとも。
でもね、許さないのよきっと、みんなの中に住まう、心の中の「世間様」が。

20代前半…大学を卒業するような歳になると、
途端に手のひらを返してくるんです。
家族、親戚、友達、先生。
「まだそんなことやってんの?」って。


中堅の売れっ子声優さんが、売れるまでに10年かかったと大多数の方が仰っていました。
でもそれは当時の話で、デビューしてから、10年。
デビューまで、何年かかった?
そして今は声優戦国時代。
高校卒業後たった5年で、成し遂げられる?
すごく難しいですよね。
でも、みんなその5年くらいが判断基準なんです。
一般的な社会人になる年齢まで。
これは声優だけじゃなくて、例えば音楽とか、表現者の世界に多いんじゃないかなって思うんだけど。
ゴールが見えてくるより圧倒的早くタイムリミットが押し寄せて来るんですよ。


やりたい事をやるのに、早いも遅いも関係ない!みたいな台詞あるじゃないですか。
極論そうなんですけど、
じゃあ今活躍してるアスリートの方いくつくらいから競技やってるんですか?って話じゃん。
結局時間じゃん。(努力才能他にも必要なことはたくさんあるけど)
何かを目指すなら、やるなら、若い方がいいに決まってるって思います。
若い方がまだタイムリミットまで時間あるんです。

やりたい事にもよるけれど、ある程度年齢が行ってしまうと、余計に色んな壁にもぶち当たるような気がします。
ただ、お金はもしかしたらあるから始めやすいのかもしれませんが。


覚悟がないならやめろよ!みたいな人、いますよね。
間違ってないとは思うんですけど、
そう簡単に全部振り切れなかったですわたしは。

だって私の人生は私のモノだけれど、
私の人生の年数分、私の両親、祖父母の人生の一部でもあるんです。
愛しているから、振り切れませんでした。

そういう簡単に極論、理想論、根性論語る人怖すぎます。
人の気持ち考えれる?って思います。
私は今後関わりたくないです。極力。
会ったことないですけど。まだ。


めちゃくそ暗くてシビアな話しましたけど、
じゃあ夢なんて追わない方がいいのかって話。

うん、ふつーに生きてれば痛めなかった部分は絶対あります。
私もこんな暗い人間にならなかった!(笑)

でも、これを読んでる、貴方は私じゃないし
貴方の未来なんて誰にもわかんない
だからやるしか無いんですよ。

私はね、やってみたい事があるなら、ちょっとでもやってみて欲しいんですよ。
色んな友達に思います。
すごく素敵なモノ持ってるよ!って。


あと、夢があるって凄い生きる活力になります。その為に生きれます。それだけで価値あります。


私は苦しい思いも今してるけれど、
コレだって得て良かった経験だと思います。
だって、じゃないときっと私もすぐ手のひらを返す人間になってた。
最後まで応援してあげる人になれなかったと思います。


もし、子供が生まれたら私はやらせたいです。好きな事。夢追ってもらいたいです。
見つけられないなら、無理して見つけろなんて言わないです。


今私は分岐点に立っていて、めちゃくちゃ悩んでブルーになってますが、こんな私にも、
「自分は夢追えなかったから頑張って欲しい」
「着実に夢に向かって頑張ってんじゃん!」
「凄い、頑張って欲しい」
って心から言ってくれるとても暖かい人がいます。
嬉しいし、できるだけ応えたいと思います。


去年、同じ様に役者をしている子と高校に遊びに帰りました。
アポ無しだったので、自分たちに関係ある先生にはほとんど会えないで、副教科の先生方とお話しました。

今何やってんの?就職は?大学は?
て質問に
「まだ夢を追ってます」と答えたら
とある女の先生に
「ご両親が可哀想」と言われちゃいました。
私が親にまだ情けなくも頼っている部分があるからだと思いますけど。
自分で自分をそう責めて居たからこそ、凄く凄くその言葉がショックで突き刺さりました。
今では担任でもないお前に関係ねー!!くらいに思うようにしてるんですが(笑)

その後に会った男の先生にも同じ様に聞かれて
同じように返して。
だださっきの件があったので、自分でも傷つきたくなくて
「でも、決着は自分の心でいつか決めます」って言ったんです。
そしたら、

「何言ってんの。夢叶えて決着つけるんでしょ!!!!」

って。

自信がないからこそ、出てしまった情けない恥ずかしい言葉でした。
でも、すぐに先生が訂正してくれて、凄く凄く凄く凄く嬉しかったし、ビックリした。
この歳でそんな風に背中を押ししてくれるなんて思って無かったからです。


こういう人になりたいなって思いました。
最後まで人を応援できる人。
心を支えてあげる人。
一生感謝します。


特に質問に対してアドバイスにも回答にもなってないかも知れません。
でも私はタイムスリップしても同じ様に「見てはいけない夢」を見て、同じ様に進んでくると思います。後悔はしてません。


だから、やりたいことがあって、やらなくて後悔しそうなら、手をつけてみる。
やりたいことが見つからないのがどうしてもコンプレックスなら探してみる。
若くてもそうでなくても、人の可能性は分からないので。後悔しないように、ひょっとしたら!?くらいの気持ちで触れてみていいんじゃないかなって思います。


ちなみに、私数々の占いで大器晩成型って言われてるんで、まだ可能性信じたいです。



終わり。