10年以上前からサイバーエージェントで語り継がれる伝説の営業本__1_

10年以上前からサイバーエージェントで語り継がれる伝説の営業術

こんにちは、村田泰祐です。最近、同じ部署の同期の間では「SPIN」という言葉が流行って(?)います。

この「SPIN」という言葉の正体ですが、マイクロソフト、IBM、ゼロックスなど世界的大企業で導入された営業術です。ニール・ラッカム氏が行動心理学に基づいて編み出した営業術。

その営業術について書かれた本は、10年以上前に入社されたサイバーエージェントの先輩社員たちも読んでいたそうで、オススメして頂いたので読んでみました。

今回のブログでは一部内容を紹介しようと思います。

前提:そもそもプロの営業パーソンとは

そもそもプロフェッショナルの営業パーソンとは何か。この本は、そこから問いが始まります。

色々な回答があるかと思いますが、この本におけるプロの営業パーソンとは「ビジネス上の解決提案のプロ」であるとされています。

自社製品が他社製品より優れていることを上手に話せる人、ではなくてクライアントの課題を自社製品を使った解決提案できる人が真の営業パーソン。

SPINとは、ある4つの頭文字

「SPIN」とはいったい何なのか。それは相手に様々な質問を投げかけながら意思を確認し、ステップを踏んでいく基本的なプロセスのこと。

状況質問=Situation question.状況質問で顧客を理解する

問題質問=Problem question.潜在ニーズを明確化する(顧客に問題に気付かせる)

示唆質問=Implication question.問題の重要性を認識させる

解決質問=Need-payoff question.ニーズを自覚させるようになる

の頭文字を取ったものを「SPIN」と呼んでいます。

先ほど、プロの営業パーソンとは「ビジネス上の解決提案のプロ」であると書きました。解決提案をするために、顧客の課題を知り、顧客が課題とニーズを知る必要があります。だから、営業が喋りまくるのではなく、顧客が沢山喋るのが理想です。

SPINは顧客が話をするために、それを引き出す質問方法なのです。

クロージング技法には限界がある

営業のクロージング技法(顧客が何らかのかたちで購入の意思表示をせざるをえない状態にすること)には「推定承諾法」「イエス・バッド方式」などの技法があります。(ナンパのメソッドで紹介されてたりするw)

しかし、顧客によっては過去にクロージング技法を学んだ人もいるでしょうし、小手先のテクニックでは通用しない、信用されないケースがあります。

また、調査からクロージング技法は有効でないというデータもあります。SPINを考案したニール・ラッカムを中心としたチームはクロージング技法を多く使用したケース、少なかったケースで成功確率を比較。

なんと結果は前者が成功確率36%、後者が70%とクロージング技法を使わない方が成功確率が高いと明らかにしました。

クロージング技法が役に立たないわけではなく、単純・低額な商品であれば有効的ですが、IT系のプロダクトなど複雑・高額商品のセールスにはマイナス効果であるそうです。

顧客のニーズは2つあり、それを見極める

顧客のニーズは2つのパターンに分かれます。「潜在ニーズ」「顕在ニーズ」です。潜在ニーズとは前向きな購入意欲がない状態。顕在ニーズは購入意欲を感じさせるもので売り手の説明のタイミングだと判断してよいもの。

営業は質問をしていき、顧客の回答が潜在ニーズ、顕在ニーズかを見極め、顕在ニーズに膨らませるように会話をするのです。ニーズが変化させていく術を持っているかが重要です。

S:状況質問のコツは絞ること

状況質問とは顧客の現状・環境についての客観的事実を聞く質問。前置きをして「いくつか教えていただきたいのですが、お尋ねしてよろしいでしょうか?」と聞くのが礼儀。

「サーバーの台数はどのくらいですか?」
「専任の管理者はいらっしゃいますか?」

しかし、やたらめったら質問をするのではなく、事前に調べられることは調べて、顧客の核心を知る質問だけにとどめる。

P:問題質問は難易度がグッと上がるがマスターすれば成功確率も上がる

問題質問とは顧客の不完全な状況(問題・障害)や不満を聞く質問。

「お使いの管理ソフトの評価は?」(不満)
「管理者がいないとのことですが、どのように対応されていますか?」(問題)

などの質問。しかし、顧客は自社の課題を簡単にしゃべってはくれないし、質問も聞き方によっては失礼。

しかし、ニール・ラッカムの調査によれば「問題質問」を数多くしている営業の人の業績は比例して良いそうです。

顧客の課題を全力で解決するために、問題質問をする心がまえが大切。

I:示唆質問はニーズ顕在化の第1ステップ

示唆質問とは買い手に新たな発見を促す質問で、顧客が深刻に感じていない問題を明らかにして、一緒に解決していくためのもの。しかし、使いこなすのが飛びぬけて難しい。パッと出てくるものではないからです。

しかし、示唆質問をするためにパターン化できます。

①時間(遅れ、間に合わない)

②労力(無駄な仕事、二重作業)

③経費(コストアップ、無駄な出費)

④責任・立場(会社の責任)

⑤他者・他部門・他企業(迷惑、顧客の信頼)

この5つのどれかを聞けるように質問をしていく。

N:解決質問は顧客の心理をポジティブにする

解決質問とは顧客が気づいた問題が解決したときに得られる、望ましい状態を確認する質問です。

解決質問には3つのパターンがあります。

①問題解決によって得られる顧客のより大きな付加価値に気づかせる

②顧客の顕在ニーズを繰り返し、その内容を確認する

③顕在ニーズを、買い手自ら表明してもらい、その内容や重要性を明確化する

顧客は問題質問で自社の不完全な状況を知って不安になっているので、解決質問でポジティブになってもらう必要があります。そのため、顧客に利益を語ってもらうことが重要です。

以上がSPINの概要です!知っていると出来るは差があるのでこのSPINを使いこなすにはかなりの場数が必要そうです。皆さんもSPINを意識して、顧客の課題に向き合ってみてください!



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